「No.1」表示に対する景品表示法の措置命令が止まりません。
2月末に太陽光発電システム等3社、月をまたいで3月に入ってモバイルルーターレンタル1社、注文住宅建築請負5社、更に畳みかけるように蓄電池等2社、計11社の「No.1」表示に対して、立て続けに処分が出されています。
・太陽光発電システムとその施行サービス3社、No.1表示に景表法措置命令
(消費者庁 2024年2月27日、29日)
・続くNo.1不当表示の処分。モバイルルーターレンタルのエクスコムグローバル、注文住宅建築の飯田GHDに景表法措置命令 (消費者庁 2024年3月1日)
今回の措置命令は消費者庁及び公正取引委員会事務総局の中部事務所と、近畿中国四国事務所の調査による事案です。
3月5日:
蓄電池を含む再生可能エネルギーシステムの販売施工業者
(株)エスイーライフ(名古屋市)
3月7日:
太陽光発電設備の販売、施工等業者(株)SCエージェント(大阪市)
アフターフォロー、コストパフォーマンス、サービス品質への満足度、口コミ評判などの項目に対するNo.1表示について、客観的な調査に基づくものとは認められませんでした。
また、実際を大きく上回る施工サービス契約件数の表示も優良誤認とみなされました。
処分の内容を確認します。
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株式会社エスイーライフに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2024年3月5日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/036563/
株式会社SCエージェントに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2024年3月7日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/036590/
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(株)エスイーライフ(名古屋市中川区)
対象商品・役務:
家庭用蓄電池及びその導入に係る施工
表示媒体・表示期間:
自社ウェブサイト:
2023年3月10日、16日、23日、4月10日、17日、24日、5月8日
違反表示内容:
a) 「エコでんちはおかげ様で家庭用蓄電池販売店 3冠 達成!」
「家庭用蓄電池購入後の保証・アフターサポート満足度 第1位」
「ネットで安心して蓄電池の購入ができるショップ 第1位」
「家庭用蓄電池購入口コミ評判 第1位」等と表示。
あたかも、エスイーライフ及び他の事業者が販売する家庭用蓄電池およびその施工サービスに関するa)の3項目について、実際に利用したことがある者又は知見等を有する者を対象に、それぞれ調査した結果において、エスイーライフの商品・施工サービスに関する順位がそれぞれ第1位であるかのように示す表示をしていた。
実際:
a)の表示について、エスイーライフが委託した事業者による調査は、a)の3項目について、回答者に対し、同社及び他の事業者が販売する本件商品と同種商品およびその施工サービスについて実際に利用したことがある者か又は知見等を有する者かを確認することなく、同社及び特定9事業者(委託事業者が、同種商品・サービスを販売する事業者の中から指定)のみを任意に選択して対比し、各事業者のウェブサイトの印象を問うものであり、それぞれ客観的な調査に基づくものではなかった。
また、当該表示は、当該調査結果を正確かつ適正に引用しているものではなかった。
b)「施工実績 12,000件突破」等と表示。
あたかも、エスイーライフが過去に販売した家庭用蓄電池およびその施工サービスに関する契約件数(太陽光発電に関する契約件数を含む。)が1万2000件以上であるかのように示す表示をしていた。
実際:
b)の表示について、エスイーライフが過去に販売した家庭用蓄電池およびその施工サービスに関する契約件数は1800件程度であって、1万2000件を大きく下回るものであった。
【表示例】自社ウェブサイト
(株)SCエージェント(大阪市中央区)
対象商品・役務:
蓄電池及びその導入に係る施工
表示媒体・表示期間:
「エコ最安値.com」と称する自社ウェブサイト:2023年3月10日、16日、23日
違反表示内容:
a) 「口コミ人気No.1 蓄電池販売会社」
「アフターフォロー満足度No.1 蓄電池販売会社」
「コストパフォーマンス満足度No.1 蓄電池販売会社」
「工事品質満足度No.1 蓄電池販売会社」と表示。
あたかも、SCエージェント及び他の事業者が販売する蓄電池およびその施工サービスに関するa)の4項目について、実際に利用したことがある者を対象に、それぞれ調査した結果において、SCエージェントの商品・施工サービスに関する順位がそれぞれ第1位であるかのように示す表示をしていた。
実際:
a)の表示について、SCエージェントが委託した事業者による調査は、a)の4項目について、回答者に対し、同社及び他の事業者が販売する本件商品と同種商品およびその施工サービスについて実際に利用したことがある者かを確認することなく、同社及び特定9事業者(委託事業者が、同種商品・サービスを販売する事業者の中から指定)のみを任意に選択して対比し、各事業者のウェブサイトの印象を問うものであり、それぞれ客観的な調査に基づくものではなかった。
また、当該表示は、当該調査結果を正確かつ適正に引用しているものではなかった。
【表示例】自社ウェブサイト
b)「「圧倒的受注数がお客様からの支持の証 『施工実績10,000件の信頼』」、「施工実績10,000件!! たくさんの蓄電池を販売・工事をしております」と表示。
あたかも、SCエージェントが過去に販売した蓄電池およびその施工サービスに関する契約件数が1万件であるかのように示す表示をしていた。
実際:
b)の表示について、SCエージェントが過去に販売した蓄電池およびその施工サービスに関する契約件数は、1万件を大きく下回るものであった。
【表示例】自社ウェブサイト
不当な「No.1」表示を排除しようとする、行政の厳しい姿勢
本件の「No.1」表示が不適正とみなされたポイントも、太陽光発電システム等3社およびモバイルルーターレンタル、注文住宅建築の事案と同様の指摘となっています。
「No.1」評価調査において不適切な「調査対象者」、「調査選択肢」、「調査方法」設計により、客観的な調査方法に基づく評価ではなかった点です。
今回の処分を受けた太陽光発電システムおよび蓄電池の販売施工業者は、福岡市、札幌市、名古屋市、大阪市と地方各地を拠点とする事業者ですが、消費者庁は公正取引委員会の地方事務所と連携して景表法の調査にあたっています。
不当な「No.1」表示を排除しようとする、行政の厳しい姿勢が読み取れます。
「No.1表示」を行う際の景品表示法上の注意点について、以下の記事で解説しています。
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≪参考記事≫
・プレスリリースのコンテンツ審査、2.4%に指摘。最多指摘理由は「最上級表現の根拠不足」((株)PR TIMES 2023年12月5日)
・続く、機能性表示食品4事例目の景表法措置命令。ハハハラボ「メラット」、逸脱表示とNo.1表示(消費者庁 2023年12月7日)
・ペット用サプリメントの白内障治療の暗示的表現、アフィリ、No.1表示、健食通販会社バウムクーヘンに景表法措置命令 (消費者庁 2023年6月14日)
・顧客による自主的な投稿ではない「口コミ」評価のNo.1表示に優良誤認。埼玉県 整骨院「くまのみ」に景表法措置命令(埼玉県 2023年3月14日)
・オンライン個別学習指導のバンザン、不適正な「満足度1位」と期間限定キャンペーンに景表法措置命令。(消費者庁 2023年1月12日)
・エステのPMKメディカルラボ、不適正な「満足度1位」表示に景表法措置命令。(消費者庁 2022年6月15日)
・埼玉県、家庭教師派遣(株)ワン・ツー・ワンに景表法措置命令。合格率や教師登録数、解約料等の表示に誤認認定 (埼玉県 2020年9月14日)
・FREETELのSIMサービス、「業界No.1」「通信料0円」表示に優良・有利誤認の景表法措置命令。打消し表示に注意を(消費者庁:平成29年4月21日)
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