東京都による機能性表示食品の表示に対する景品表示法措置命令事案です。
3月27日、通信販売事業者(株)ヘルスアップ(千葉県柏市)と(株)ニコリオ(東京都世田谷区)の2社に対して措置命令を行いました。
両社ともSNS上のバナー広告から遷移したアフィリエイト広告に対するもので、不当表示認定されたのは、届出の範囲を著しく逸脱した痩身効果表示についての不実証広告規制(※)による優良誤認です。さらに、ヘルスアップについては商品の痩身効果を国が認めたとする表示も行っていました。
機能性表示食品の表示に対する処分が続いています。
2023年度は、6月にさくらフォレスト、12月にアリュール、ハハハラボと、すでに3社に対する措置命令が消費者庁から出されており、本件を含めて5社に対する処分となりました。
・さくらフォレストの機能性表示食品に景表法措置命令、届出表示の根拠認めず。同一根拠届出製品約90件も個別確認へ(消費者庁 2023年6月30日)
・機能性表示食品に3事例目の景表法措置命令、アリュール「スリムサポ」、逸脱表示と国の認可表示(消費者庁 2023年11月27日)
・続く、機能性表示食品4事例目の景表法措置命令。ハハハラボ「メラット」、逸脱表示とNo.1表示
(消費者庁 2023年12月7日)
処分のポイントを確認します。
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景品表示法に基づく措置命令
SNS上のバナー広告から遷移したアフィリエイト広告により不当な広告を行っていた通信販売事業者2社 (東京都 2024年3月27日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/03/27/17.html
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
【違反内容】
ヘルスアップ
対象商品:「シボローカ」と称する機能性表示食品
表示媒体・表示期間:
アフィリエイトサイト3サイト
少なくとも2023年5月29日~31日、6月1日、2日、
少なくとも2023年6月7日、18日、7月15日、16日、
少なくとも2023年6月13日、22日、27日、7月3日、7日、12日、14日、6月15日、25日、7月2日、11日
表示内容:
●表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている表示
例えば、漫画等において、「どんなに食べてもいいの!?」、「そう!魔法みたいでしょ!我慢しないでも痩せられるから,みんな成功しちゃうって話題だよ!」、「でも私すぐ痩せたくて・・・どれくらいで瘦せた?」、「私は1週間で9kgペースで痩せたよ!」等と記載。
あたかも、本件商品を摂取することで、誰でも食事制限や運動をすることなく、短期間で容易に顕著な痩身効果を得られるかのように示す表示等をしていた。
【表示例】アフィリエイトサイト
●商品の痩身効果等を国が認めたとする表示
例えば、漫画等において、「なんと、飲むだけで痩せると国が認めた成分が解禁されました!」と記載し、厚生労働省のシンボルマーク及び「「飲むだけで痩せる」と国が効果を認めた成分がある!?」という文言と共に、厚生労働省の庁舎と思われる画像を掲載。「その成分は臨床試験を突破 体重&体脂肪を大幅カットする結果が出たんです!」等と記載。
あたかも、本件商品について国が痩身効果を認めたかのように示す表示をしていたが、実際には国が認めた事実はない。
【表示例】アフィリエイトサイト
ニコリオ
対象商品:「フラボス」と称する機能性表示食品
表示媒体・表示期間:
アフィリエイトサイト
少なくとも2023年5月29日、30日、31日、6月1日、3日、5日~8日、11日、14日、17日、17日、20日、24日、29日、30日、7月1日~5日、8日、9日、11日、16日、17日、29日、30日、8月1日、2日、5日~15日、17日~20日、8月16日、17日
表示内容:
●表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている表示
例えば、本件商品と焼肉等の画像及び商品を手にした人物の上半身の画像を並べて掲載すると共に、「減り方、凄すぎ!」、「普段の通勤や家事でもお腹の脂肪が減らせるなんて驚きました!付き合いで酒を飲み機会も多いので、早めに出会えて何よりです。」等と記載。
あたかも、本件商品を摂取することで、食事制限や運動をすることなく、容易に顕著な腹部の痩身効果を得られるかのように示す表示をしていた。
【表示例】アフィリエイトサイト
実際:
2社に対して、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、2社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
ヘルスアップ、ニコリオは、東京都の調査や措置命令に対して異議を唱えていました。
2社の対応と最近の機能性表示食品広告での不当表示認定の傾向について、以下の記事で解説しています。
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《参考記事》
・「葛の花」16社に、機能性表示食品で初の景表法措置命令。届出内容と表示の整合性(消費者庁:平成29年11月7日)
・「葛の花」機能性表示食品9社に景表法課徴金納付命令。自主的お詫び社告の影響は?(消費者庁:平成30年1月19日)
・「葛の花」16社、特定適格消費者団体から返金申し入れ。課徴金だけじゃない被害回復裁判リスク!(消費者支援機構関西 22018年3月5日)
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