「空間除菌製品」に対する処分が続いています。今回は、二酸化塩素(ClO2)の作用により『部屋に置いたり首にかけたりするだけで「空間除菌できる」』とうたった商品に対する景品表示法の措置命令です。
12月17日、消費者庁は日用品雑貨の製造販売業者の大木製薬(株)(東京都千代田区)と、除菌消臭剤の研究開発、製造、販売及び指導等を営む事業者(株)CLO2 Lab(兵庫県西宮市)に対し、2社が販売していた空間除菌剤関連商品の表示に、景品表示法違反の措置命令を行いました。
今回の違反も優良誤認で、不実証広告規制(※)を用いた処分となっており、表示の裏付けとなる「合理的な根拠」が認められませんでした。
また、各社、以下のような表示をしていましたが、打消し効果は認められませんでした。
「*除菌について1㎥または25㎥エリアの密閉空間におけるウイルス試験において99%の除去効率が証明されています。ただし、ご利用環境によって有効性は異なります。また全てのウイルス・菌に効果があるわけではありません。」(大木製薬)
「※外部試験機関において、溶液から放散された、二酸化塩素により、飛沫を想定したシャーレ内液中ウイルスが99.9%減少することを確認。全ての菌・ウイルス・カビ・臭気に対する効果ではありません。使用空間の環境状態により、効果は異なります。効果試験結果はこちら」(CLO2 Lab)
処分の概要と2社の対応、根拠資料の内容と消費者庁の「合理的な根拠」の見解について、2回に分けて取り上げます。
まずは、処分内容と2社の対応を確認します。
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二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の製造販売業者2社に対する
景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁 2021年12月17日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/027004/
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
【対象商品・表示期間】
大木製薬:
「ウイルオフ ストラップタイプ」2018年9月~現在
「ウイルオフ マグネットタイプ」2017年9月~現在
「ウイルオフ 電動拡散ファン」2020年9月~現在
「ウイルオフ 吊下げタイプ」2015年9月~現在
CLO2 Lab:
「オキサイダー 置き型 90g」2020年7月~現在
「オキサイダー 置き型180g」2018年10月~現在
「オキサイダー 置き型 320g」2018年10月~現在
「オキサイダー スプレー」2019年5月~現在
「オキサイダー 携帯用」2021年1月~現在
【表示媒体】
大木製薬:
商品パッケージ
「ウイルオフ」と称する自社ウェブサイト
テレビコマーシャル(地上波放送)
動画広告(YouTube)
CLO2 Lab:
商品パッケージ
「OXIDER オキサイダー」と称する自社ウェブサイト
テレビコマーシャル
動画広告
容器ラベル
【違反内容】
表示内容:
大木製薬
例えば、「ウイルオフ ストラップタイプ」の商品パッケージにおいて、「空間除菌」、商品を首から下げている人物の画像、「二酸化塩素のパワーで ウイルス除去・除菌 ※1 ウイルオフ ストラップタイプ」等と表示。
《打消し表示》
「※1 1㎥のエリアの密閉空間におけるウイルス試験において、99%の除去効率が証明されています。」
あたかも、対象商品を首から下げて身に着けて使用すれば、商品から発生する二酸化塩素の作用により、学校、塾、オフィス、外出先、病院、施設等の室内において、身の回りの空間に浮遊するウイルスや菌が除去又は除菌される効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。
表示例: 赤枠部分、打消し表示
CLO2 Lab
例えば、「オキサイダー 置き型 90g」の商品パッケージにおいて、「室内空間の菌・ウイルス・悪臭を除去!」、「使用場所」との記載と共に、「玄関」及び玄関のイラスト、「寝室」及び寝室のイラスト、「トイレ」及びトイレのイラスト並びに「その他 玄関・居室・事務所・病室・客室・トイレ・浴室 など」等と表示。
《打消し表示》
「・使用環境で、菌・ウイルス・カビ・ニオイ除去効果は異なります。」
あたかも、対象商品を玄関や寝室等の室内に設置して使用すれば、商品から発生する二酸化塩素の作用により、玄関や寝室等において、室内空間に浮遊する菌またはウイルスが除菌又は除去される効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。
表示例: 赤枠部分、打消し表示
実際:
2社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、2社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
打消し表示は、一般消費者が表示から受ける当該商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。
両社のいずれの商品表示も、措置命令の発出された時点において、誤認表示を継続しています。
また、両社はいずれも、製品の表示に関する命令であり、商品の性能及び安全性に関する指摘ではないとして、返品対応は行っていません。
ただし、措置命令に対する両社の対応は異なっています。
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