1社当たり商品数過去最多 ビックカメラECサイトの177商品の原産国表示に景表法措置命令(消費者庁 2021年9月3日)

(株)ビックカメラと子会社のビッグ酒販が自社ECサイト「ビックカメラ.com」「お酒の専門店 ビック酒販」で販売する工具等177商品、酒類25商品の原産国に関する表示について、景品表示法「商品の原産国に関する不当な表示」に該当するとして措置命令が出されています。

原産国に関する景品表示法事件では、2019年6月の髙島屋がオンラインショップで販売する化粧品及び雑貨147商品に対するものがありましたが、今回のビッグカメラはそれを上回り1社当たりの過去最多の商品数となっています。

違反の経緯と、景品表示法の「商品の原産国に関する不当な表示」を確認します。

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株式会社ビックカメラ及び株式会社ビック酒販に対する景品表示法に基づく措置命令について
(2021年9月3日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_210903_01.pdf
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【対象事業者・業務内容】
株式会社ビックカメラ (東京都豊島区)
家庭用電気製品等の商品の企画、開発、製造、販売等

株式会社ビック酒販 (東京都豊島区)
酒類等の販売、輸出入及び賃貸等

【対象商品・表示媒体】
(株)ビックカメラ:自社ウェブサイト「ビックカメラ.com」工具など177商品
(株)ビック酒販:自社ウェブサイト「お酒の専門店 ビック酒販」酒類など25商品

【表示期間】
「ビックカメラ.com」2017年11月20日〜2021年8月24日
「お酒の専門店 ビック酒販」2017年11月20日〜2021年4月1日

【違反内容】
対象商品の「生産国」又は「原産国」の国名又は地名の表示について、実際は表示と異なる原産国(地)で生産されたものであった。

【表示例】
表示媒体:「ビックカメラ.com」
商品名:静音 電池式噴霧器ロイヤルアンジャルダン 3L TGM-3
表示期間:2019年8月21日~2021年4月28日
表示内容:安心の国産
実際の原産国(地):中華人民共和国

表示媒体:「お酒の専門店 ビック酒販」
商品名:ホワイトカカオ マリーブリザール 700ml【リキュール】
表示期間:2017年12月12日~2021年3月31日
表示内容:フランス France
実際の原産国(地):スペイン王国

報道によると、ビックカメラは誤りが発生した経緯について「仕入れ先から受け取った情報に誤表記があり、チェック漏れしていた」と説明していると報じています。

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ビックカメラに消費者庁が措置命令 ECサイトで原産国表記に景表法違反
(ITmedia NEWS 2021年9月3日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2109/03/news144.html
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2社は今回の処分についてのお詫び掲載において、当該商品もしくは商品パッケージの原産国表示は正しいものであり、また商品の性能や品質、安全性について影響を与えるものではないと説明しています。

「ビックカメラ.com」掲載商品における原産国表記誤りのお詫びについて (キャプチャ画面)


景品表示法による「商品の原産国に関する不当な表示」とは。

外国で生産された商品について、以下のような表示で、その商品がその原産国で生産されたものであることを、一般消費者が判別することが困難であると認められるもの。

  1. その商品の原産国以外の国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示
  2. その商品の原産国以外の国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示
  3. 文字による表示の全部又は主要部分が和文で示されている表示

・「原産国」とは、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国をいう。
・商品の原産地が一般に国名よりも地名で知られている場合は、その原産地を原産国とみなして適用する。

景品表示法上は、商品の原産国を必ず表示しなければならないと義務付けているものではありません。

しかしながら、上記1~3のような、その商品の原産国以外の国に関する表示をすることにより、一般消費者が当該商品の原産国を判別することが困難となる場合は、不当表示となるおそれがあり、当該商品の原産国が一般消費者に誤認されないよう、原産国を明らかにするための表示をする必要があります。

商品の原産国や原材料の産地表示を行う際の留意点、以下の記事にまとめています。
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今回は原産国の誤表示が問題となりましたが、ネット通販サイトにおける表示の管理体制をしっかりと構築する必要があります。

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≪参考記事≫

・1社当たり商品数過過去最多 髙島屋オンラインストアの化粧品・雑貨147商品の原産国表示に景表法措置命令(消費者庁 2019年6月13日)

・ボーネルンド、輸入玩具「商品の原産国に関する不当な表示」に景表法措置命令
(消費者庁 平成29年6月23日)

・天然はちみつ「商品の原産国に関する不当な表示」に景表法措置命令
(消費者庁平成24年9月28日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。