埼玉県は3月15日に、一般社団法人社会福祉組合(東京都豊島区)が提供する「火災保険等を利用した雨どいの補修工事」に対し、景品表示法違反の措置命令(優良・有利誤認)を行いました。
全国の消費生活センター等には、「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスに関する相談が多く寄せられています。
措置命令の内容を確認します。
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火災保険を利用した雨どいの補修事業者に行政処分を行いました
(埼玉県 2021年3月15日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0310/news/page/news2021031501.html
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【事業者の概要】
事業者名:一般社団法人社会福祉組合
代表者:代表理事 井上 優希
業態 生活協同組合
【違反概要】
対象役務:
火災保険等を利用した雨どいの補修工事
表示媒体:
同法人が作成したチラシ及びウェブサイト
表示期間:
チラシ:2020年4月14日~2020年12月28日までの間
ウェブサイト:2020年4月7日~2021年2月12日までの間
表示内容:
●優良誤認
「・昨今の異常気象に伴う被害により、本法人が雨樋(アマドイ)を調査しましたところ、火災保険から自然災害による修理・交換費用が認められ、これまでに関東地域全体で900件以上、無料で交換又は修理を行うことができました。」等と表示し、あたかも、本件役務の施工実績が900件以上あるかのように表示していた。
実際:
施工実績は7件で、表示の根拠となる実績がなかった。
●有利誤認
「無料で雨樋調査を行い、被害を確認できましたら雨樋を無料で修理・交換いたします。」等と表示し、あたかも、火災保険等の利用を前提とした雨どい補修工事を施工するための調査に係る一般消費者の金銭の負担が生じないかのように表示していた。
実際:
1)同法人と補修工事契約を締結した場合に同法人が一般消費者に提示している見積書には、雨どいの補修工事に関する費用の内訳として本件調査についての費用が計上されており、本件調査について一般消費者の金銭の負担が生じる約定だった。
2)損害保険会社等から一般消費者に損害保険金等が支払われた後に、同法人と補修工事契約を締結しない場合には、営業費用や調査費用、施工予定キャンセルに伴う損害金として、損害保険会社等から一般消費者に支払われた損害保険金等の半額を支払わなければならず、本件調査について一般消費者の金銭の負担が生じる約定だった。
表示例:
「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスは多発しており、全国の消費生活センター(PIO-NET)に寄せられる相談件数が2019年度は2,684件と2010年度(111件)の約24倍に大幅増加しており、2020年8月31日までの件数は1,445件に上り、2019年度同期件数827件から175%増となっています。
2021年3月には、注意喚起資料の公表も行われています。
「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!
-勧誘・契約が増える秋台風シーズンは特に注意してください-
(国民生活センター 2020年10月1日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20201001_1.html
「保険金を使って雨どいの修理をしませんか」と業者が訪問してきた
(国民生活センター 2019年10月11日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2019_14.html
注意喚起資料「「保険を使って無料で修理します」と勧誘を受けた時にトラブルに遭わないためのポイント」の公表(国民生活センター 2021年3月:公表]
http://www.kokusen.go.jp/g_link/data/g-20210326_38.html
≪参考記事≫
・埼玉県、害虫駆除サービスの訪販で、生活協同組合くらしのコープに景表法措置命令と特商法業務停止命令(埼玉県 2020年5月8日)
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