ネット通販定期購入に立て続けの特商法での処分 (株)Super Beauty Laboに業務停止命令(3カ月)(消費者庁 2021年1月14日)

昨年12月に健康食品通販事業者(株)Kanaelの特商法での処分が出されたばかりですが、立て続けに健康食品のネット通販「定期購入」契約に関する処分が出されています。

消費者庁は、2021年1月14日、健康食品(ダイエットサプリメント)等を販売する通販事業者の(株)Super Beauty Labo(スーパービューティーラボ)(本店所在地:東京都港区)と、同社の業務の遂行に主導的な役割を果たしている者に対し、特定商取引法違反で3カ月間の業務停止(禁止)を命じました。
また、業務停止命令と併せて、今回の違反行為の発生原因について調査分析の上検証することなどを指示されています。

定期購入契約の最終確認画面上の契約内容や解約条件等に関する表示方法が、顧客の意に反して申込みをさせようとする行為とみなされました。

処分の内容を確認します。

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通信販売業者【株式会社Super Beauty Labo】に対する行政処分について
特定商取引法違反の通信販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び
指示について(消費者庁 2021年1月14日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/022759/
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【事業概要】
取扱商品:「binaris(ビナリス)」と称する健康食品(ダイエットサプリメント)等
取引類型:通信販売 ウェブサイト「binaris公式ショップ」
代表者:山口 稜世

【認定した違反行為】
同社は、次のとおり、特定商取引法の規定に違反する行為をしており、通通信販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。

顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為
(特定商取引法第14条第1項第2号の規定に基づく施行規則第16条第1項第2号)

遅くとも2020年7月27日から同年11月11日までの間、申し込みの最終確認画面上において、定期購入契約の主な内容である、
(1) 各回ごとの商品代金の支払時期及び、定期購入契約の解約条件のうち解約方法を表示せず、
解約方法:
同社が指定する電話番号に電話をかけさせて、その電話での案内に従ってメッセージアプリ等を使用させ、又は当該メッセージアプリを使用することができない購入者については、運転免許証等の本人確認書類を提出させる等によるもの。

(2) 契約期間について、購入者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を明記せず、
「お届けサイクル」として「2回目以降」、「1ヶ月後」などと、最終確認画面の最下部に「6回目以降、定期コースを休止・停止をご希望の場合は次回出荷予定日の29日前(または「約20日前」)までにご連絡ください。」などと表示するのみ。

(3) 申し込みの最終確認画面上に、消費者が支払うこととなる商品の支払総額及び販売条件が記載されていることが容易に認識できないようにしていた。
・消費者が支払うこととなる商品の5回分の支払総額2万6420円(税抜き)。
・定期購入契約の申込みには、商品を少なくとも5回購入することが条件となる旨の特別の販売条件。
・定期購入契約の申し込み完了ボタンの下の、お届けサイクルの表示より更に下の最終確認画面の最下部に、同ボタン及びお届けサイクル表示に比して極めて小さくかつ目立たない色調で販売条件を表示。(表示例、赤枠部分)


顧客が申し込みを行う際、申込み内容を容易に確認・訂正できるようにしていなかった。
(施行規則第16条第1項第2号)

【表示例】
最終確認画面:

(消費者庁公表資料より引用)

【処分の内容】
(1) 業務停止命令
内容:
通信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
1)同社の行う通信販売に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
2)同社の行う通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
3)同社の行う通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。
期間:
2021年1月14日から2021年4月13日まで(3か月間)

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。

(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築して、これを同社の役員及び従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。

2.同社は、業務停止命令に係る業務を再開するときは、同社の行う通信販売について、特定商取引法の各規定を遵守すること。

上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。

また、本件では、Super Beauty Laboに対し取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者であり、かつ、同社が停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしている者(石橋 敬三)に対して、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁じる処分が下っています。

●消費者庁「詐欺的な定期購入商法をめぐる状況」を公表
消費者庁では、今回の行政処分とあわせて、「詐欺的な定期購入商法をめぐる状況」を公表し、「定期購入」に関する消費生活相談件数の推移と、最近の行政処分事例をまとめています。
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詐欺的な定期購入商法をめぐる状況(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_210114_03.pdf
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2019年12月の(株)TOLUTO、(株)アクア、2020年1月の(株)GRACE(グレース)、2020年8月の(株)wonder(ワンダー)、12月の(株)Kanaelに続いて、今回、6件目の特定商取引法違反処分となりました。

・TOLUTO、アクア、GRACE wonderにみるネット通販定期購入の特商法違反処分分析

TOLUTOの事案では、前代表取締役(2019年10月16日付で退任)が、同社に対し取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者であり、かつ、同社が停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしている者に該当するとして、3か月間、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁じる処分が下っています。

TOLUTOは2019年9月6日、旧社名(株)e.Cycle時に、ダイエットサプリの「ケトジェンヌ」に対して消費者庁から社名公表を伴う消費者安全法に基づく身体被害の公表がなされ、同月30日に商号変更(e.CycleからTOLUTO)及び代表取締役の変更を行っていました。

また、wonderの事案では、約半年前に特商法の指示処分を受けた事業者((株)GRACE)の代表取締役である者が、別の法人((株)wonder)において、悪質な特商法違反行為の主導的な役割を果たしている者として、TOLUTOよりさらに重い6カ月間の業務禁止処分を受けました。

脱法目的で商号や代表取締役の変更を行っても、同様の悪質な違反行為を行わせないよう平成29年12月の特商法改正において規制強化されています。

Super Beauty Laboは1月13日付で、今回の業務停止命令に関して、「コンプライアンス経営を徹底していく」などというお詫びと反省のコメントをホームページに掲載。また、20年12月17日付で一部の商品販売事業を(株)クレオ製薬に譲渡したと発表しています。

今後の動向を注視しています。

(株式会社Super Beauty Labo  HP)
https://sbl-tokyo.com/


購入手続き画面表示のOK、NG具体例など、以下の記事も併せてご確認ください。

・通販の定期購入契約、購入手続き画面表示の具体例を解説(特定商取引に関する法律施行規則改正(平成29年12月1日施行))

≪参考記事≫
・2019年度の通販「定期購入」契約相談が5万件超に。規制強化の議論が進む

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。