年度末、3月に入り、18日時点で景品表示法に基づく課徴金納付命令が4件出されました。
中でも酵素サプリメントの表示違反によるジェイフロンティア(株)の2億4,988万円の課徴金額が目を引きました。
ジェイフロンティア(株)課徴金対象表示例:
(消費者庁公表資料より引用)
課徴金額では、2018年10月の(株)シエルの「フルーツ青汁」に対する1億886万円を超え、課徴金制度初の三菱自動車に命じた4億8507万円に次ぐ高額なものとなっています。
3月の課徴金納付命令では、酵素サプリメントの表示違反によるものが、ジェイフロンティア(株)と(株)ジプソフィラの2社に出されています。今回の2社を含む酵素系健康食品5社が、2019年3月29日に措置命令を受けていました。
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・景品表示法に基づく課徴金納付命令について(消費者庁 2020年3月17日)
ジェイフロンティア株式会社
https://www.caa.go.jp/notice/entry/018935/
株式会社ジプソフィラ
https://www.caa.go.jp/notice/entry/018936/
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同じタイミングでの措置命令でしたが、ジェイフロンティアとジプソフィラでは処分に対する対応が異なりました。
ジプソフィラは、処分前の2019年2月9日に不当表示を認める謝罪広告を日刊新聞紙2紙掲載し、誤認排除措置を講じました。一方、ジェイフロンティアは当初、処分に納得せず、「措置命令の内容を慎重に検討し、不服申し立ての要否も含めて、対応を検討する」として、誤認排除措置を行ったのは2019年4月25日と、処分から1か月ほど経ってからでした。
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ジェイフロンティア「ダイエット食品【消費者庁の措置命令に基づく公示】」
2019年4月25日:公表
http://www.kokusen.go.jp/recall/data/s-20190425_2.html
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誤認排除措置を行うタイミングは、課徴金の計算の基礎となる「課徴金対象期間」の算定に影響を与えます。「課徴金対象期間」は、課徴金対象行為(違反表示行為)をやめてから最長6カ月となりますが、その前に誤認排除措置を行えば、期間を短縮することができます。
ジプソフィラのケースでは、課徴金対象行為をした期間は、2018年3月21日から同年11月21日までの間でしたので、6か月経過後の2019年5月21日以前の同年2月9日に誤認排除措置を行うことで、課徴金対象期間を短縮することができました。
一方、ジェイフロンティアのケースでは、課徴金対象行為をした期間は、2016年11月24日から2018年3月15日までの間でしたので、6か月経過後の2018年9月15日以前に誤認排除措置を行うことができなければ、結果として課徴金対象期間を短縮することができないことから、事業者の措置が遅れたとも考えられます。
ジェイフロンティアの課徴金対象となった商品の売上額は、83億2942万3599円にも上るのですが、返金対応もされず、たかだか3%の課徴金が罰則として十分なのか、甚だ疑問です。
それでも、違反表示による事業者の売上額が明らかになったり、違反表示に対して速やかな措置命令がなされれば、事業者の誤認排除措置も促進される可能性もあり、制度運用による一定の効果はあるのかな、とも思います。
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