(株)よりそうに景表法措置命令。 続く、葬儀サービスの「追加料金不要」表示の処分 (消費者庁 2019年6月14日)

6月14日、消費者庁は東京都の葬儀会社(株)よりそう(旧:(株)みんれび)に対し、「シンプルなお葬式」又は「よりそうのお葬式」の名称で供給する葬儀サービスの表示について、景品表示法違反(有利誤認) の措置命令を行いました。

葬儀サービスの提供に当たって必要な物品やサービスを追加又は変更する場合でも、あたかも、記載された価格以外に追加料金が発生しないかのように表示をしていました。
葬儀サービスに対する有利誤認の措置命令は、2017年12月のイオンライフ(株)、2018年12月の(株)ユニクエストと続いています。
また、本件もユニクエスト同様、認められない打消し表示について言及されています。

内容を確認します。

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株式会社よりそうに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2019年6月14日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/pdf/fair_labeling_190614_0001.pdf
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●違反概要
【対象役務】
「シンプルなお葬式」又は「よりそうのお葬式」の名称で供給する「家族葬 無宗教プラン」、「家族葬 仏式プラン」、「一般葬 仏式プラン」と称する葬儀サービス

【表示媒体】
自社ウェブサイト

【表示期間】
「家族葬 無宗教プラン」
2017年8月15日~2018年3月7日、2018年6月20日~2019年6月11日
「家族葬 仏式プラン」及び「一般葬 仏式プラン」
2017年8月15日~2018年3月7日

【違反内容】
表示内容:
「全てセットの定額」と記載のタブのリンク先ページにおいて、以下の表示することで、あたかも、本件サービスの提供に必要な物品やサービスを追加又は変更する場合でも、記載された価格以外に追加料金が発生しないかのように表示をしていた。

「必要なものが全てコミコミだから安心 この金額で葬儀ができます」
「全てセットの定額」
「全て揃った定額 必要なもの全てセット」
「葬儀に本当に必要なものだけに絞った、格安葬儀プランです 下記の費用で葬儀を行えます」
「家族葬 通夜・告別式を身内だけで行うプラン総額398,000円(税込) 更に資料請求で5,000円引」
「家族葬 これっきり価格 418,000円(税込) 通夜、告別式を身内だけで」
「一般葬 これっきり価格518,000円(税込) 一般的なお葬式プラン」

実際:
下記のケースに該当する場合には、追加料金が発生するものであった。

【表示例】


●打消し表示について
追加料金発生条件について、自社ウェブサイト上に記載していたが、金額に関する表示がある部分とは離れた場所ないし別ページへの記載であったため、当該記載は、一般消費者が対象表示から受けるサービスの取引条件に関する認識を打ち消すものではない。

追加料金発生条件の表示が、追加料金が発生しないかのような表示と同一ページに表示しているケース:
「定額の葬儀プラン128,000円~」及び「『シンプルなお葬式』では、搬送費用、火葬費用、式場使用料の一部をあらかじめ料金内に含んだサービスでご提供しています。」と表示していたが、追加料金が発生しないかのような表示とは離れた場所に表示されているため、追加料金が発生すると認識することは困難である。

追加料金発生条件の表示が、追加料金が発生しないかのように表示したページとは別のページに表示しているケース:
リンク先に追加料金に関する重要な情報が存在するとは表示されていない「詳しく見る」とのハイパーリンクの文字列をクリックしなければ表示されない。
小さな文字で表示されている「※プラン料金の他にかかる費用について」等のリンクの文字列をクリックすると表示される、別のウェブページの「よくある質問」の「Q 全てが揃った定額プランとのことですが、追加費用はかからないのですか?」との表示を更にクリックしなければ表示されない。

同社は、本件についてHPに掲載したお詫び文の中で、同社の見解を述べています。

追加費用がプランに含まれていない理由について:
利用者で追加費用が発生する条件に該当する方が少数であり、例外的な費用をプランに含んでしまうことによる価格の高騰を避け、条件該当外のお客様が不利益を被ることを防ぐ意図によるもの。

しかし、遺体の安置日数によるドライアイスの追加や火葬場の使用料など、顧客が選択できない要因によって追加料金が発生していたことから、消費者庁は「不当表示」と認定しています。

誤認リスク回避について:
追加費用が発生する場合があることについて、お客様の誤認リスクを打ち消すために、以下の対応を行っていた。
1)ウェブサイトでの追加料金発生条件について説明記載
2)事前の追加費用発生条件と金額の電話案内と同意取得

1)については、追加費用が発生する場合があることが分かりにくい表示となっていたことを認める。
2)については、以前より、問い合わせのあったお客様に対して、追加料金発生条件と金額に同意をもらったうえでサービスを提供してきたが、お客様に問い合わせをもらう前の段階で誤認を与えた可能性を認める。

同社は、今回の措置命令を厳粛に受け止め、以下4点を始めとする各種取り組みを強化し再発防止に努めるとともに、公正な表記に取り組むとしています。

A.追加料金の発生条件が明確に認識できるようウェブサイトを修正
B.社内における表記のチェック体制を強化
C.コンプライアンス研修を継続的に実施
D.お客様のご意見(VOC)をサービス改善に繋げる仕組みを構築

消費者庁の措置命令に基づくお詫びとお知らせ
(株式会社よりそう 2019年6月14日)
https://corp.yoriso.com/news/news190614/
キャプチャ画面(一部抜粋)

強調表示と打消し表示のあり方、有利誤認の考え方について、正しい理解が求められます。
葬儀サービスに対する有利誤認で同様の措置命令処分を受けた、ユニクエストの事例をご参考ください。

・ユニクエストの措置命令で考える、スマホサイトの「打消し表示」の景品表示法上の留意点

≪参考記事≫
・ユニクエスト、葬儀サービスの「追加料金不要」表示に景表法措置命令。Web 広告の打消し表示に注意(消費者庁 平成30年12月22日)

・イオンライフ、葬儀サービスの「追加料金不要」表示に景表法措置命令。「追加料金」請求4割(消費者庁:平成29年12月22日)

・ガリバー運営会社のIDOM、自動車保証の表示に景表法措置命令。打消し表示に注意!

・FREETELのSIMサービス、「業界No.1」「通信料0円」表示に優良・有利誤認の景表法措置命令。打消し表示に注意を(消費者庁:平成29年4月21日)

・打ち消し表示無効。モデル写真と実質料金に乖離。着物レンタル事業者のDM用カタログに景表法措置命令

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。