大阪府は6月12日、大阪市の弁当の製造・販売事業者(株)かなたにに対し、大阪府内百貨店自社店舗にて販売していた弁当の表示について、景品表示法の措置命令を行いました。
同社は製造販売していた「佐賀牛のカルビ照り焼き弁当」について、あたかも商品の原材料に「佐賀牛」を使用するかのように表示をしていましたが、実際は商品の一部に黒毛和牛以外の国産牛肉が使用されており、優良誤認表示とみなされました。
優良誤認は、不実証広告規制(※) と牛肉のDNA分析により、原材料牛肉が黒毛和種以外の可能性が高いと判定された調査結果による処分となっています。
内容を確認します。
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株式会社かなたにに対する景品表示法に基づく措置命令について
(2019年6月12日 大阪府)
http://www.pref.osaka.lg.jp/shouhi/syobun/keihyou0612.html
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【対象商品】
「佐賀牛のカルビ照り焼き弁当」
【対象店舗】
大丸 梅田店、心斎橋店
高島屋 大阪店、泉北店、堺店
【表示媒体】
自社ウェブサイト
対象店舗のプライスカードと称する店頭表示物
商品包装箱に貼付された商品原材料ラベル
【表示期間】
遅くとも2013年12月1日から2019年4月16日までの間
【違反内容】
表示:
商品名に「佐賀牛のカルビ照り焼き弁当」又は「佐賀牛のカルビ照焼き弁当」と記載することにより、あたかも本件商品の原材料に「佐賀牛」を使用するかのように表示をしていた。
実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
また、本件商品に実際に使用された牛肉の一部と、かなたにから任意に提出を受けた本件商品に使用する予定の原料牛肉が、牛肉のDNA分析により、原料原産地判別で「国産型」、品種(黒毛和種)判別で「黒毛和種以外の可能性が高い」と判定されており、かなたにと、かなたにに原料牛肉を納入していた事業者に対する調査の結果、本件商品の一部に黒毛和牛以外の国産牛肉が使用されていたことが認められた。
表示例:自社ウェブサイトのカタログ
本件に対する同社の「お詫びとお知らせ」において、誤表示の経緯と対応、誤りを生じた原因と再発防止策について次のように説明しています。
定期的に納入業者から提出された、大阪市食肉市場(株)発行の「検査結果通知書」(牛肉の個体識別番号や産地が明記されたもの)で、仕入れた肉が「佐賀牛」であるとの報告で使用していた。
ただし、本来日々の納品書に記載されるべき個体識別番号の確認を怠り、結果的に「佐賀牛」と謳えない肉を「佐賀牛の照り焼き弁当」として販売してしまった。
大阪府による牛肉メニュー表示に対する措置命令は、2018年9月の(株)恒づねの処分に続いて2件目となっています。
・求められる仕入れ先の商品管理体制。恒づねの和牛表示に景表法措置命令
(大阪府 2018年9月11日)
どちらのケースも、使用する牛の個体識別番号の確認がおろそかになっていたことが、不当表示につながっています。
かなたにのケースでは、仕入れ時において第三者機関による「検査結果通知書」の確認は行われていましたが、日々の納品確認が不十分でした。
景品表示法は無過失責任ですので、仕入れ先のミスであっても、表示責任が問われます。
自社で販売する商品について、商品管理、仕入れ先管理体制の徹底が求められます。
≪関連記事≫
・2019年度 2件目のメニュー偽装。ダイナックの料理メニュー食材表示に景表法措置命令(東京都:2019年5月22日)
・ロイヤルダイニングの牛肉料理メニューに景表法措置命令。黒毛和牛表示、実際は外国産牛(消費者庁:2019年4月26日)
・キリンシティの料理メニューに景表法措置命令。製造委託、仕入れ商品の誤表示に注意!
(消費者庁 2018年6月13日)
・グリーンコープ連合に景表法措置命令。仕入れ先メーカーの品質管理ミスで
(消費者庁:2018年3月27日)
・ホクレンに景表法措置命令。加工食品の店頭POPの道産原料表示に誤り
(北海道:2017年8月22日)
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