コールセンターのアウトバウンド営業に注意!ガス契約先変更の電話勧誘販売事業者に特商法違反で業務改善指示(平成30年2月1日)

東京都は、2月1日、ガス小売事業者から委託を受けてガスの契約先の変更を勧誘していた電話勧誘販売事業者(株)Free Connect(フリーコネクト)に対し、特定商取引法に基づく業務改善を指示しました。

違反の内容は、「勧誘目的不明示」「適合性原則違反」となっています。
同社はガス会社の契約変更の勧誘であることを明確に告げずに電話勧誘したり、ガス小売り自由化の知識に乏しい高齢者らに、契約変更のデメリット等の説明を十分に行わずに勧誘していました。

都には同社に関する相談が28年度、29年度の合計で93件(平成30年1月31日現在)あり、相談者の平均年齢は約77歳(30歳~92歳)と高齢者が多くなっています。

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ガス小売自由化に伴い、ガスの契約先の変更を勧誘していた電話勧誘販売事業者に
業務改善を指示(東京都 平成30年2月1日)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/01/09.html
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/01/09_01.html
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【業務内容】
ガス供給等の営業・コールセンター業(電話勧誘販売)

【勧誘行為の特徴と違反行為】
1)同社は消費者宅に電話をかけて、ガスの契約先変更の勧誘である旨を明確に告げないまま勧誘を始めるなど、勧誘に先立ってその電話が都市ガスの契約締結について勧誘するためのものであることを告げない。→ 勧誘目的不明示(法第16条)
2)同社の勧誘員は、消費者にガスの検針票を手元に準備させて、その内容を電話で確認する。
3)ガス自由化に関する知識や経験の不足している高齢者等に対し、契約プランの詳細な説明や、契約変更時に発生する契約元とのデメリットについての説明などを詳細にせず、高齢者が適切に切り替えの判断ができない状態のまま申込みを受け付ける。
→ 適合性原則違反(法第22条第1項第5号 省令第23条第3号)
消費者の知識、経験の状況に照らして不適当とみられる勧誘を行っていた。
4)後日、申込み内容が記載された書面が消費者宅に届く。

【指示の内容】
(1)電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、その電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げること。
(2)顧客の知識、経験に照らして不適当と認められる勧誘を行わないこと。

【今後の対応】
(1)指示の内容に対する業務改善措置について平成30年2月15日までに、都知事あてに報告する。
(2)上記指示に従わない場合は、業務停止命令を行う(第23条)。また、行為者に対して6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金又はこれを併科、法人に対し100 万円以下の罰金が科す(第71条及び第74条)。

平成29年12月に施行された平成28年改正特定商取引法で、指示違反についての罰則が引き上げられ、個人に対しての罰則が「100 万円以下の罰金」から「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」となりました。

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特定商取引に関する法律の一部を改正する法律にかかる説明会資料
(消費者庁 平成29年11月27日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2016/pdf/amendment_171127_0005.pdf
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最近の報道では、東京電力傘下の小売事業者が、電気とガス販売の一部で特商法違反の疑いがあったと発表したと報じています。

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東電、電気・ガス不適切営業7400件 法令違反の疑い
契約書類の取り扱いで
(日本経済新聞社 2018年2月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2658828006022018TJ1000/
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今回の事案では処分の対象とはなっていませんが、電話勧誘を委託したガス小売事業者においても委託先に対するコンプライアンスの徹底が求められます。
自社の大切な顧客をしっかりと守ってほしいと思います。

《参考記事》

・他の通販業者に電話勧誘を委託。健康食品の電話勧誘販売「(株)アンチエイジングラボ」に特商法違反で指示(平成29年5月24日)

・東京ガスのガス展」のチラシ広告に景表法措置命令。二重価格による有利誤認表示(東京ガス)、おとり広告(ガス機器販売業者2社) (消費者庁:平成29年7月11日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。