FREETELのSIMサービス、「業界No.1」「通信料0円」表示に優良・有利誤認の景表法措置命令。打消し表示に注意を(消費者庁:平成29年4月21日)

4月21日、消費者庁はプラスワン・マーケティング(株)に対し、「FREETEL SIM」と称する移動体通信役務に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認・有利誤認) の措置命令を行いました。
優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。

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プラスワン・マーケティング株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成29年4月21日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170421_0001.pdf
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。

通信速度、販売シェア、特定アプリの通信料無料についての表示について、不当表示とみなされました。
問題となった「打消し表示」の注意点を確認しましょう。


【事業者】
プラスワン・マーケティング株式会社
東京都の移動体通信事業、相手先商標製品設計製造(ODM)による供給を受けたスマートフォン端末等の製造販売事業者

【対象役務】
「FREETEL SIM」と称する移動体通信役務(スマートフォン端末と一体的に供給する場合を含む。)

●優良誤認表示
【表示媒体】
自社ウェブサイト

【違反内容】
(ア)通信速度に係る表示
表示期間:
遅くとも平成28年11月30日~同年12月22日

表示内容:
あたかも、対象役務に関する通信速度が、「格安SIM事業者」の中で、恒常的に最も速いものであるかのように、また、特定の日時及び場所における通信速度の測定結果において、他の格安SIM事業者が提供する移動体通信役務に関する通信速度よりも著しく速く、かつ、(株)NTTドコモが提供する移動体通信役務に関する通信速度に匹敵するものであるかのように示す表示をしていた。

表示例:
(遅くとも平成28年11月30日~同年12月13日表示)
「『業界最速』の通信速度」
「 FREETEL SIMなら速度が出にくい都内平日12時台でもこんなに速い!」
「※東京都港区新橋での通信速度観測の測定結果(某日12時台)」「※定点で3回測定を行った平均の数値です。」と付記された「I社 SIM」「O社 SIM」「フリーテル」または「NTT docomo」とする移動体通信役務に係る通信速度の特定の日時及び場所における測定結果が、それぞれ0.3Mbps強程度、0.2Mbps程度、5.8Mbps強程度または6.1Mbps弱程度であったことを示すグラフ

(イ)SIMカードの販売数量のシェアに係る表示
表示期間:
遅くとも平成28年11月30日~同年12月13日

表示内容:
「SIM販売シェアNo.1」及び「シェアNo.1!」と記載することにより、あたかも、移動体通信役務の提供を受けるために必要なSIMカードの販売数量に関する自社のシェアが格安SIM事業者の中で第1位であるかのように示す表示をしていた。

【(ア)(イ)表示例】

【実際】
(ア)及び(イ)の表示について、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

●有利誤認表示
【表示媒体】
自社ウェブサイト

【違反内容】
表示期間:
遅くとも平成28年11月30日~同年12月22日

表示内容:
「LINEのデータ通信料無料!」」と記載するとともに、
「AppStore」「LINE」「WeChat」「WhatsApp」「Pokemon GO」の文字並びにアイコン画像を付記しつつ「FREETELなら各種SNS利用時のデータ通信料が無料!!」と記載するなど、あたかも、本件5アプリケーションの利用時に生じるデータ通信量が通信利用容量の対象外となるかのように表示をしていた。

表示例:
「LINEなどのデータ通信料が0円! メッセンジャーアプリデータ通信量0円サービス」「LINEとAppStoreの通信料が0円!」
(注)(2か所)

(注)上記5アプリケーションの利用時に生じるデータ通信量の一部は通信利用容量の対象となる旨が記載された、自社Webサイトのトップページとは別のWebページへのハイパーリンクが付されている。

【実際】
当該データ通信量の一部は通信利用容量の対象となるものであった。

今回の処分についてのお知らせとして、同社は、以下のように説明しています。
————-
「当社ウェブサイト上の表示に関する消費者庁からの措置命令について」
(プラスワン・マーケティング株式会社 2017年4月21日)
https://blg.freetel.jp/news/19083.html?_ga=1.257293135.517888473.1492764353
————-

1「SIM販売シェアにNo.1」の表記に関し、株式会社ヨドバシカメラにおける販売シェアである旨の注記を行わなかったこと

2「『業界最速』の通信速度」の表記に関し、平日昼間12時台における比較であること等の注記を行なっていなかったこと及び、速度比較グラフにおいて体裁を整えるべく出所元から転記した際に誤記があったこと

3「LINEのデータ通信料無料」等、対象アプリケーション利用時のデータ通信料非課金の表記に関し、データ通信の一部が課金対象となる点について数か所注記漏れがあったこと

(「当社ウェブサイト上の表示に関する消費者庁からの措置命令について」(平成29年4月21日)」キャプチャ画面)


いずれも「注記」を行っていなかったことが不当表示となったとしています。

商品やサービスの品質や取引条件のよさを強調して表示(強調表示)し、その内容についての例外条件や制約条件を「注意点」として表示することを「打ち消し表示」と呼んでいます。

「打ち消し表示」は、例え、広告中に記載されていたとしても、気付きにくい位置や読みにくい表示である場合、消費者は誤認してしまい、不当表示とみなされるおそれがあります。

3の各種SNS利用時のデータ通信料無料に関しては、単に注記漏れだけでなく、通信料無料の対象外の通信に関する記載が別ページにあり、同一視野に入る場所には記載されていなかったり、その別ページへのリンクが重要な情報の所在であることが明瞭に記載されたものではなかった点が問題視されています。

いわゆる「格安スマホ」や「格安SIM」等の利用者の増加に伴い、消費生活センター等への相談が急増しており、国民生活センターが4月13日に消費者への情報提供を行っています。
それによると、2011年度では20件だった相談件数が2015年度は380件、2016年度は1045件と5年間で約52.3倍になっています。
相談内容は、今までどおりのサービスが安く受けられると思っていたのに、実際はサービス内容等が違っていたというトラブルが多く寄せられています。

今後、「格安スマホ」や「格安SIM」の利用者層を広げていくのであれば、「安いから不親切」ではなく、契約時や利用時の注意点等について親切丁寧な情報提供や消費者啓発を心がけていただきたいと思います。

PIO-NETにおける“格安スマホ”の携帯電話に関する相談件数推移

◆こんなはずじゃなかったのに!“格安スマホ”のトラブル
-料金だけではなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう-
(国民生活センター 2017年4月13日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170413_1.html

《参考記事》
【打ち消し表示の注意点】
サービスの例外条件や制約条件ははっきりと

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  1. 2017年 12月 14日

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。