消費者庁、楽天に二重価格表示で要請。仮想モール事業者の出店店舗に対する管理責任とは

「楽天市場」において平成26年3月20日、楽天市場の出店店舗による不当な二重価格表示に楽天の従業員が関与していたとの報道を受け、消費者庁は4月30日、同社に対して表示適正化に向けた再発防止策を講じるよう、要請を行いました。

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楽天株式会社への要請について (消費者庁 平成26年4月30日)https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/140430premiums_1.pdf
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≪経緯≫
問題の不当価格表示は、昨年11月のプロ野球球団・楽天イーグルスの日本一を記念したセールにおいて発覚したもの。出店事業者が販売実績のない架空の価格を比較対照価格とした二重価格表示を併記することで、実際の価格を安く見せかけていると判断されるおそれのある表示であった。

不当価格表示への楽天社員関与の報道に対し、楽天は内部調査を実施し、以下の調査結果と再発防止策を合わせた報告を、4月25日に消費者庁に対して行った。(※)

≪調査結果≫
・ 不当な二重価格表示の提案を、社員18人が28業者に行なった
・ 具体的な提案日時、対象商品の特定、過去に遡った具体的な表示内容の特定等は不可
・ 当該出店店舗の売上への影響確認が困難
・ 対象となる社員18人の所属と提案の時期などにばらつきがあり、組織的な指示の事実確認できず、提案は組織的に行なわれたものではない

≪今後楽天が実施するECコンサルタント向けの再発防止策≫
営業倫理委員会の新設:
・ ECコンサルへの定期的ヒアリングによる実態把握と、これを踏まえた必要な対策を講じる
・ コンプライアンスや法律知識教育・トレーニングによる倫理意識向上とより良い店舗サポート提供を図る
監査体制の強化:
・ 楽天市場事業とは独立した組織内部監査部内に、楽天市場事業を専属に監査する新組織を設置

なお、楽天は24日付で常務執行役員ら役員4人を6カ月間10%の減俸処分とし、関与した社員と業者の処分については見送った。

≪消費者庁の要請≫
消費者庁は楽天の調査報告を受けて、以下の要請を行なった。

楽天の調査報告によれば、具体的な違反行為は把握できなかったとのことであるが、
報告されているような提案を受け入れた出店店舗が、実態のない架空の価格等を比較対照価格とした二重価格表示を行う場合には、景品表示法における不当表示に該当するおそれがある。

楽天が提示した再発防止策である営業倫理委員会の新設及び、監査体制の強化を着実に実施するとともに、
楽天の役員及び従業員に対し、今般の調査結果について万全の周知徹底を図り、
併せて景品表示法についての理解の深化及び遵守の徹底を図ること等により、
不当な二重価格表示が行われないようにするなど、景品表示法違反とならないための必要な措置を講じること。
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今回の要請では、出店店舗の不当な二重価格表示といった景表法違反によって、仮想モール事業者が景品表示法の対象となることまでは言及されていません。しかし、社名公表した形での要請は、仮想モール事業者の出店店舗に対する管理責任を問うものとして、釘を刺したといえるでしょう。

過去の類似の事案では、2011年2月に「スカスカおせち」で問題となった、クーポン共同購入サイト事業者グルーポンへの改善要請があります。

・お節の不正表示に措置命令!グルーポンにも改善要請!(消費者庁)
 http://blog.fides-cd.co.jp/article/187346528.html

(※)
楽天市場事業に係る調査報告について(楽天株式会社 2014年4月25日)http://event.rakuten.co.jp/news/announce/20140425/20140425_announce.pdf

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。