訪問販売・電話勧誘「原則禁止」を消費者の7割が希望(消費者庁調査) 

今年3月より、内閣府消費者委員会にて特定商取引法の見直しに関する専門調査会が行われています。
全国の消費生活センターには訪問販売や電話勧誘に関する相談が毎年10万件余り寄せられ、トラブルが後を絶たないことから、消費者庁は今年3月、全国の20~70代の2000人の消費者を対象に、訪問勧誘・電話勧誘・FAX勧誘に関する意識調査を行いました。

調査では、訪問販売については96.2%、電話勧誘については96.4%の人が「全く受けたくない」と答えたという結果となり、勧誘行為に対する規制の導入が検討されることとなりそうです。

●法改正後も「強引」な勧誘トラブルは減少せず
訪問販売および電話勧誘販売の相談内容別分類(全11分類)ごとに見ると、「販売方法」と「契約・解約」に分類される相談が多い。
平成20年改正において、訪問販売において再勧誘禁止規制を設けたものの、「強引」な勧誘の相談件数は減少していない。
訪販、電話勧誘相談内容注1)2015年3月31日までの受付、2015年4月1日までにPIO‐NETに登録された相談件数。2014年度の推計値は、前年同月登録日からの増減率をもとに、消費者庁において独自に算出したもの。
注2)相談内容別分類及びキーワードは複数回答項目であり、一つの事例に複数付与されている可能性がある。

●勧誘を受けた経験
訪問勧誘について、[ない]が (72.1%)、[ある]が(27.9%)となっている。
商品・サービス内容は、[新聞]が最も高く(55.2%)、次いで[インターネット回線接続](39.2%)、[塗装工事](30.5%)となっている。

電話勧誘について、[ある]が (70.2%)、[ない]が(29.9%)となっている。
商品・サービス内容は、[インターネット回線接続]が最も高く(60.4%)、次いで[投資関係(ファンド型、社債、株式等)](37.0%)、[健康食品](33.9%)となっている。
《訪問勧誘》
訪問勧誘経験

《電話勧誘》
電話勧誘経験

●特商法で禁じられている不当行為経験
『過去5年間で訪問販売や電話勧誘を受けた経験がある』と回答した消費者の不当行為経験について、
[断っているのに勧誘を続ける]が、訪問勧誘(31.2%)、電話勧誘(37.5%)、[最初に勧誘をする目的であることを告げない]が、訪問勧誘(30.1%)、電話勧誘(30.7%)となっている。
《訪問勧誘》
訪問勧誘禁止行為

《電話勧誘》
電話勧誘禁止行為

●勧誘行為に対する受け止め
[全く受けたくない]が、訪問勧誘(96.2%)、電話勧誘(96.4%)となっている。
《訪問勧誘》
訪問勧誘を受けたいか

《電話勧誘》
電話勧誘を受けたいか

●勧誘行為への規制
[原則禁止し、「消費者が依頼した場合」にのみ勧誘できるようにしてほしい]が、訪問勧誘(51.3%)、電話勧誘(57.2%)。
[原則、訪問勧誘はできるが、「訪問販売を受けたくない」というステッカーを貼っている家庭には訪問してはならないようにしてほしい]が、(9.9%)。
[原則として電話勧誘はできるが、「電話勧誘を受けたくない」という意思表示をした人に対しては電話勧誘してはならないようにしてほしい]が、(12.0%)。

《訪問勧誘》
訪問勧誘への希望

《電話勧誘》
電話勧誘への希望

訪問販売(平成20年改正で再勧誘禁止を導入)、電話勧誘販売(法制定当初から再勧誘禁止規定)のいずれについても、再勧誘が多く行われている実態が伺えます。
そして、ほとんどの消費者が、訪問販売や電話勧誘販売の勧誘行為を迷惑と感じ、7割以上が原則禁止を訴えている消費者意向が示されました。

今回の特定商取引法専門調査会では、6月以降、インターネットを含む通信販売についても検討が予定されています。検討テーマとして「通信販売の虚偽・誇大広告により誤認した契約の取消規定の追加」などが挙がっています。今後の動向に注視していきます。

◆特定商取引法専門調査会(内閣府)
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/tokusho/index.html
<第1回特定商取引法専門調査会で出された御意見のテーマ別の整理>
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/tokusho/doc/20150327_shiryou6.pdf

———
◆消費者の訪問勧誘・電話勧誘・FAX勧誘に関する意識調査
(平成27年5月 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/trade/pdf/150513kouhyou_1.pdf
調査対象:
(1)人数(有効回答数)2,000 名
(2)抽出方法 性別、年代(「20 歳代」~「70 歳以上」の6区分)、47 都道府県について国勢調査(2010 年)に準拠した比率で抽出
調査方法:インターネット調査
調査時期:平成27年3月
———

===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
http://compliance-ad.jp/service03/
===================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの情報を、ダイジェストでお届けしています。
登録はこちら
————————————————————

関連記事

  1. 根拠なし新型コロナの感染予防効果、34事業者41商品の表示に改善要請。…

  2. どうなる?ニュースメディアと「ノンクレジット広告」

  3. 埼玉県、大学・高校と連携して違反広告監視。20事業者に行政指導(埼玉県…

  4. JAROへの苦情、通販定期購入契約の苦情は減少せず。ネット広告への苦情…

  5. 「トクホの大嘘」報道に対する国の見解は?広告と消費者に期待のギャップ

  6. 健康食品「肝パワーEプラス」の記事態広告アフィリエイトで薬機法違反。広…

最近の記事

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。