消費者が有利誤認したという結果は問わない。(有)ミート伊藤の特売日表示に景表法措置命令

消費者庁は7月24日に、愛媛県の(有)ミート伊藤が提供する牛肉、豚肉及び鶏肉の表示に対し、景品表示法(有利誤認)の措置命令を行いました。

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有限会社ミート伊藤に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成26年7月24日)
https://www.koutori-kyokai.or.jp/caapaper/2014/20140724.pdf
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【違反内容】
対象商品:
牛肉、豚肉及び鶏肉

表示媒体・期間:
a 新聞折り込みチラシ(表示期間:H23.5.28~H25.12.29)
b テレビコマーシャル(愛媛県内及び高知県内で放送 期間:H24.11.28~H25.12.29)

反内容:
あたかも、毎月29日に実施する「肉の日」と称する売出しにおいて、対象商品を通常時の販売価格の半額で販売するかのように表示していたが、実際には、通常時の販売価格が一旦引き上げられたものであって、通常時の販売価格の半額ではなかった。

【表示例】
a 新聞折り込みチラシ
例えば、平成25年5月23日に、愛媛県宇和島市内に配布した新聞折り込みチラシにおいて、「5月29日(水)肉の日限り」と記載した上で、「牛肉 豚肉 鶏肉 当日表示価格より半額」と記載。



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この事案、日頃、その店舗を利用している消費者であれば、すぐに二重価格表示のからくりに気づくと予想されるので「有利誤認」することはないのでは、と疑問に感じ、消費者庁に問い合わせてみました。

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景品表示法 第4条第1項第2号(有利誤認)
商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に
① 著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、
② 不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
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① に関しては、必ずしも一般消費者が誤認したという結果は問わない。
② に関しては、「特売日」とは通常の広告よりも一般的に消費者への誘引力が強く、不当表示(今回では通常時の販売価格が一旦引き上げられたもので、通常時の販売価格の半額ではなかったこと)により、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる

ということでした。
つまり、仮に、店頭に行って、商品が通常時の販売価格の半額でないこと(不当表示)に気づき、商品を購入しなかった(結果的に有利誤認しなかった)としても、半額特売でなければそもそも店に行くことはなかった(不当に顧客を誘引した)、という判断です。

四国新聞によると、ミート伊藤は「関係法令に対する理解不足に起因するもので、弁解の余地がない。深く反省をしている」とするコメントを出した、と報じられています。

年内施行予定の改正景表法では、事業者に対して表示の適正管理体制の義務付けが盛り込まれています。この法改正により、不当な表示が行なわれたか、その結果として消費者に被害が認められたかに関わらず、管理体制に不備があれば「公表」というペナルティが事業者には課されることとなります。

しっかりと理解が必要です。

期間限定で行われるセールの際に用いる比較対照価格について、以下の記事もご参考ください。

【景表法】二重価格表示の注意点~セール時の価格表示~

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≪参考記事≫

≪参考記事≫
消費者庁、楽天に二重価格表示で要請。仮想モール事業者の出店店舗に対する管理責任とは(消費者庁:平成26年4月30日)

景表法改正案閣議決定!急務となる事業者コンプライアンス対策

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。