ウエス「綿100%」で優良誤認?古田商事に景表法措置命令。繊維製品の品質表示での留意点とは(消費者庁 2022年3月23日)

繊維製品の組成繊維、混用率に関する表示に、景品表示法の措置命令です。

消費者庁は3月23日に、繊維製品の企画、輸入及び販売会社古田商事(株)(埼玉県)に対し、同社が販売する清掃や研磨等に用いる生地(ウエス)の組成繊維の表示について、景品表示法優良誤認の措置命令を行いました。
「環境にやさしいリサイクル綿100%」とラベル表示していたところ、化学繊維が含まれた生地があったとして優良誤認とみなされました。

処分内容と、販売事業者として繊維製品について表示違反未然防止のための留意事項を整理します。

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古田商事(株)に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2022年3月23日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/027994/
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【違反内容】

対象商品:
「メリヤスウエス」と称する清掃や研磨等に用いる生地(ウエス生地)
1キログラム入りの商品

表示媒体:
商品の容器包装内ラベル

表示期間:
2021年4月28日、7月16日、28日、29日、9月8日、12月3日

表示内容:
「環境に優しい リサイクル綿100% メリヤスウエス」及び「品質:綿100%(Tシャツ・肌着と同等生地)」と表示することにより、あたかも、対象商品を構成する全てのウエス生地の組成が綿100%であるかのように示す表示をしていた。

実際:
対象商品には、綿100%ではないウエス生地が含まれていた。

【表示例】

報道によると、以下のように報じています。

古田商事はバングラデシュの工場に製造を委託していましたが、日本に届いた後、検品などをしていませんでした。(テレビ朝日)

処分予定の布きれを再利用した事実はあったが、実際には100袋のうち3割強にレーヨンやポリエステルが含まれていた。(共同通信)

今回の事案では、「綿100%」とうたったガラスや靴磨き、清掃に使用する布切れ(ウエス)に化学繊維が混ざっていたことが、「誤表示」ではなく「優良誤認表示」にあたるのか、少々疑問に感じました。
ウエス(雑巾)は、家庭用品品質表示法上、「繊維の組成」など「品質表示の必要な家庭用品」として指定された商品でもありません。
「環境に優しい リサイクル綿100%」とうたって、実際はリサイクル繊維ではなかったということであれば、サステナブル意識が高まる中、リサイクル繊維であることが環境にやさしい商品として消費者がウエスを選ぶ重要な品質基準であるとして、優良誤認とみなされることに納得できます。
しかし、今回の事案では、リサイクル素材か否かが問題とはなっておらず、あくまで「綿100%」ではなかったことが問題となっています。
優良誤認認定されたということは、綿100%と化学繊維の混紡とでは、ウエスとしての性能に大きな違いがあり、消費者にとって商品選択上の重要事項とみなされたこととなります。
考えてみれば、掃除用の布で重要なのは吸水性、吸油性です。
その性能において「綿100%」であることは、化学繊維の混紡よりも優位性があるということでしょうか。

景品表示法において問題となる繊維製品の組成繊維や混用率の表示については、ネット通販でのカシミヤ使用を標榜するストールの表示違反がたびたび指摘されています。

違反行為の要因として以下の点を挙げられています。

1.輸入品について、自社で品質の検査や確認を行わず、仕入先業者による口頭説明や仕入時にストールに縫い付けられているラベルの表示内容どおりに表示を行っていた。

2.輸入当初は、カシミヤの混用率を検査し確認していたが、その後、検査を行わないまま輸入を続けたところ、実際のカシミヤ混用率が表示と異なるものとなっていた。

通販事業者としては自己が販売する繊維製品の組成繊維及び混用率に関する表示内容を決定するにあたり、仕入先業者の商品情報を鵜呑みにせず、例えば、仕入先業者に対し品質に関する検査証明書の提出を求めること等により、組成繊維及び混用率について十分な確認を行うことが望ましいでしょう。
更に、違反未然防止のためには、定期的な商品チェックを行い、仕入先業者を管理する必要があるといえます。

通販事業者の皆様は、仕入先などから商品情報を得る際に、広告・表示の根拠となる客観的事実を確認した上で、販売事業者として責任を持って広告・表示を行う体制を整えましょう。

≪関連記事≫

・カシミアストール表示違反。家庭用品品質表示法と景品表示法の観点 (消費者庁 平成26年6月26日)

・グリーンコープ連合に景表法措置命令。仕入れ先メーカーの品質管理ミスで(消費者庁:平成30年3月27日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。