カシミアストール表示違反。家庭用品品質表示法と景品表示法の観点 (消費者庁 平成26年6月26日)

消費者庁は、ネットショップサイトで販売されるカシミヤ使用を標榜するストールの表示調査を行っており、その結果、家庭用品品質表示法及び景品表示法上問題となる表示を行っていた18事業者に対して、指示・指導を行いました。
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ストールの組成に係る表示の適正化について
(平成26年6月26日 消費者庁)
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本件では、迅速に表示の改善を図る観点から、家庭用品品質表示法による指示又は指導を行い、表示媒体全体についての再発防止策を講じさせる観点から、景品表示法による指導を行っています。
消費者庁は、今後もネットショップサイトにおいて販売される繊維製品の組成繊維等の表示について注視し、家庭用品品質表示法違反又は景品表示法違反が認められた場合には、厳正に対処するとしています。
違反内容と両法の考え方を確認しましょう。

家庭用品品質表示法の考え方
《目的》
家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護する。
《内容》
製品を組成する繊維の名称を同規程で指定された用語(例:カシミヤを表わす指定用語は「毛」又は「カシミヤ」)を用いて表示し、かつ、その混用率を百分率(%)で表示する。
《表示対象》
縫付けラベル又は下げ札等において実際の製品ごとに表示する。
《違反に対する措置》
違反事業者に対しては、適正な表示をすべき旨の指示をすることができ、事業者がその指示に従わない場合には、その旨を公表することができる。
実際の組成繊維と混用率を正しく表示していない事実があれば、直ちに措置を採ることができる。

景品表示法の考え方
《目的》
商品・サービスの取引に関して、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を確保することによって一般消費者の利益を保護する。
《内容》
事業者が顧客に商品・サービスを訴求するために行う広告・宣伝などの表示は、原則自由であるが、表示が実際と異なり著しく優良であると一般消費者に誤認を与える場合等を禁止している。
《表示対象》
縫付けラベル・下げ札のみならず、ウェブサイト上の表示などあらゆる広告媒体
《違反に対する措置》
個別の事案ごとに表示から一般消費者が受ける印象・認識を基準に実際のものがどうか等判断する必要がある

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指導の措置、事例公表の背景

本件では、事業者において、
② 家庭用品品質表示法の指示又は指導を受け表示を改めていること
②購入者に対し、不当な表示を行っていたことについて周知するとともに返金対応を行っていること、又は
③ 対象商品の売上高が小額であったこと
から、指導の措置を採ったとしています。

家庭用品品質表示法及び景品表示法違反による指示・指導については、通常は公表しませんが、今回は違反の防止並びに消費者被害の未然防止のため、指示・指導の対象事例の概要を公表したとしています。(事業者名は公表せず)

違反行為の要因と留意事項
消費者庁は、違反行為(実際の組成繊維等と異なる表示を行った)の要因として、以下の点を挙げています。

自己が販売するストールの組成繊維及び混用率に関する表示内容を決定するに当たり、組成繊維等の検査は行わず、仕入先販売業者による口頭説明や仕入時にストールに縫い付けられているラベルの表示内容どおりに表示を行っていた。

更に、違反未然防止のために繊維製品販売事業者に対して、以下の留意事項を示しています。

例えば、仕入先販売業者に対し品質に関する検査証明書の提出を求めること等により、組成繊維及び混用率について十分な確認を行った上で表示内容を決定することが望ましい。

通販事業者の皆様は、仕入れ元などから商品情報を得る際に、広告・表示の根拠となる客観的事実を確認した上で、販売事業者として責任を持って広告・表示を行う体制を整えましょう。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。