「空間除菌製品」の除菌効果表示に対する景品表示法の措置命令が立て続けに出されています。
昨年12月の大木製薬とCLO2 Lab、2022年1月の大幸薬品に続き、2月3日、消費者庁は日用品雑貨製造販売業者の大作商事(株)(東京都千代田区)と、(株)イトーヨーカ堂(東京都千代田区)に対し措置命令を出しました。
2社が販売していた空間除菌関連商品(首下げ型)のマイナスイオンの作用による浮遊物質除去効果表示に、「合理的な根拠」が認められないとして不実証広告規制(※)による優良誤認認定を行っています。
大作商事は、提出した根拠資料が認められず「本措置命令が出されたことは大変遺憾」として、措置命令の発出された時点において違反認定された表示を継続していました。
(その後、違反対象表示部分を削除)
処分の概要と、同社がそのような意見表明をした経緯について確認します。
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大作商事株式会社及び株式会社イトーヨーカ堂に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2022年2月3日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_220203_01.pdf
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。)
措置命令の概要
【対象商品】
「ピュアサプライ」と称する商品
【表示媒体・表示期間】
大作商事:
「DAISAKU DIRECT SHOP」と称する自社ウェブサイト
2021年6月30日、8月3日、6日、13日、20日、27日、9月3日、10日、17日、27日、10月4日、5日、8日、15日、22日、29日、11月5日、12日、19日、26日12月3日、6日以降現在
イトーヨーカ堂:
「イトーヨーカ堂 ネット通販」と称する自社ウェブサイト、サイト上の切替え画像、動画
2021年8月6日、13日、20日
【表示内容】
大作商事:
例えば、「首に掛けるだけで電車、飛行機の中、オフィスや飲食店、病院の待合室などの人込みの中にいても顔周辺の空気をクリーンに保つことができます。」「一般財団法人 北里環境科学センターにおいて 浮遊ウイルス最大99.99%除去性能を確認」等と表示。
あたかも、商品を使用することで、商品から発生するマイナスイオンの作用により、顔周辺のウイルス、PM2.5、花粉、タバコ煙及び超微細粒子を含む浮遊物質を除去する効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。
イトーヨーカ堂:
例えば、「優れた浮遊物質除去性能」「本体から発生させる大量のマイナスイオンが浮遊する微粒物質に吸着し、断続的に発生するマイナスイオンがそれらを弾き飛ばし顔の周りの微細な物質を除去します。PM2.5は20分で97%まで除去。」等と表示。
あたかも、商品を使用することで、商品から発生するマイナスイオンの作用により、顔周辺のPM2.5、花粉、タバコ煙、細菌、ウイルス及び超微細粒子を含む浮遊物質を除去する効果が得られるかのように示す表示をしていた。
実際:
消費者庁は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、2社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
表示例:大作商事自社ウェブサイト(赤枠部分、打消し表示)
表示例: イトーヨーカ堂自社ウェブサイト(赤枠部分、打消し表示)
打消し表示に対する言及はなし
例えば、大作商事自社ウェブサイトでは「一般財団法人 北里環境科学センターにて 最大99.99% 浮遊ウィルス減少を実証」という強調表示の下には、「※試験結果は実使用空間での数値ではありません。※本製品は医療器具ではありません。※本製品は浮遊物を完全に除去する製品ではありません。※風がある空間では効果が薄れます。」と打消し表示が記載されていました。
しかし、過去の空間除菌製品事案と異なり、今回の措置命令の公表文においては打消し表示への言及はありませんでした。
つまり、打消し表示の有無に言及するまでもなく、浮遊物質の除去効果表示に対して優良誤認が認められたことになります。
次ページでは、本措置命令を不服とした大作商事の対応を見てみましょう。
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