都道府県による景表法と特商法の同時適用の処分が続いています。
埼玉県は3月31日・4月1日にかけ、ダイエットサプリメント等の通信販売業者(株)ニコリオに対し景品表示法違反の措置命令と、特定商取引法違反で業務停止命令(3カ月間)と再発防止を求める指示、代表者個人に対する業務禁止命令を行いました。
景品表示法違反は有利・優良誤認で、措置命令で表示媒体にアフィリエイトサイトが対象となるのは2事例目です。
特定商取引法違反は、誇大広告等、顧客の意に反して売買契約の申込みをさせようとする行為で、通信販売に係る広告、申込受付および契約締結の業務停止を命じています。
「定期購入」契約に関する表示が問題視されています。
景表法と特商法のダブル処分については、3月18日に大阪府がエコ関西に対して、健康機器の訪問販売に対する景表法の措置命令と特商法による業務停止命令(3カ月)を行っています。
・大阪府、景表法と特商法の同時適用。健康機器のSF商法エコ関西に措置命令と業務停止命令(大阪府 2020年3月18日)
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ダイエットサプリメント等の販売を行う通信販売事業者に対する措置命令について
(埼玉県 2020年3月31日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2019/0331-08.html
ダイエットサプリメント等の販売を行う通信販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示並びに代表者に対する業務禁止命令(3か月)について
(埼玉県 2020年4月1日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2020/0401-06.html
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【事業者の概要】
事業者名:株式会社ニコリオ
代表者:中上元弘
【違反概要】
●景品表示法違反について(措置命令)
【対象商品】
「Lakubi(ラクビ)」と称するダイエットサプリメント
【表示媒体】同社が運営する公式ウェブサイト及びアフィリエイトサイト
【表示期間】
優良誤認表示:遅くとも2016年3月8日~2020年2月27日までの間
有利誤認表示:遅くとも2018年11月1日~2020年2月27日までの間
表示内容:
●有利誤認
自社ウェブサイトにおいて、
「そうは言っても・・・高価なものは続けにくいですよね」
「そこで『Lakubi』は1日たった17円」等と記載。
あたかも、本件商品の一日当たりの購入価格が17円であるかのように表示していた。
実際:
1日当たりの購入金額17円は、本件商品の初回購入価格500円を基に計算された値であり、2回目以降の購入には適用されないものだった。
●優良誤認
アフィリエイトサイトにおいて、
「3ヶ月で7kg落ちた方法を紹介!」等と記載。
あたかも、本件商品を摂取することにより、容易に痩身効果が得られるかのような表示をしていた。
実際:
痩身効果を得るためには本件商品の摂取のほか、食事制限(腹6分、間食禁止等)及び運動を条件としており、本件商品の摂取だけでは痩身効果を得られるものではなかった。
表示例:
●特定商取引法に基づく業務停止命令等について
【認定した違反行為】
●誇大広告等(特定商取引法第12条)
(1) 事業者サイトにおいて、「私たちの内側から健康をサポートしてくれます。」と記載。
(2) アフィリエイトサイトにおいて、「たった500円で!?ラクにダイエットできる話題のサプリとは?」等と記載。
あたかも、本件商品を摂取するだけで、容易に痩身効果が得られるかのような表示をしていた。
実際:
(1)の表示について、事業者に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
(2)の表示について、痩身効果を得るためには本件商品の摂取のほか、食事制限(腹6分、間食禁止等)及び運動を条件としており、「ラクにダイエットできる」とは認められないものだった。
●顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為
(特定商取引法第14条第1項第2号の規定に基づく施行規則第16条第1項第1号)
申し込みの最終段階の画面上において、
(1)定期購入契約の申込みを完了させるためにクリック又はタップの操作をさせるボタンに「お申し込み内容を確認する」と表示していた。
→
当該操作が定期購入契約の申し込みとなることを、容易に認識できるように表示していなかった。
(2)定期購入契約の主な内容である、2回目以降に引き渡される商品の代金支払い時期を表示していなかった。
→
定期購入契約の申し込みとなることを容易に認識できるように表示していなかった。
【表示例】
【処分の内容】
(1) 業務停止命令(法人)
内容:
通信販売に関する広告、申込みを受けること及び契約の締結を停止すること。
期間:
2020年4月1日~2020年6月30日まで(3か月間)
業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。
(2)指示(法人)
前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築する。
これを同社の役員、従業員に、業務停止命令に関する業務を再開するまでに周知徹底すること。
上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。
(3) 業務禁止命令(個人)
名宛人:
代表者 中上元弘
内容:
代表者が、通信販売に関する業務のうち、当該事業者に対し業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)の禁止。
期間:
2020年4月1日~2020年6月30日まで(3か月間)
業務禁止命令に違反した場合は、業務禁止命令を受けた個人が3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを行うこととなっています。
今回の処分では、商品のダイエット効果についての表示「3ヶ月で7kg落ちた」、「ラクにダイエットできる」については、効果を得るために必要な食事制限や運動といった条件が明示されていなかったり、表示された効果と矛盾するものであったことから優良誤認、誇大広告と判定されました。
「内側から健康をサポート」の表示については、特定商取引法の不実証広告規制による誇大広告の認定(法 12 条の2)となっています。
「不実証広告規制」は、行政庁が商品・役務を検査して、その品質や効能を判定することが困難なケースに適用される「みなし」規定です。
また、アフィリエイトサイトが対象表示媒体とされた事案としては、2018年6月の消費者庁による健康食品、化粧品、下着等の販売業者(株)ブレインハーツに対する景表法措置命令に次いで、2事例です。
≪参考記事≫
・アフィリエイトサイトの表示も規制対象!ブレインハーツの通販サイトに景表法措置命令(消費者庁 平成30年6月15日)
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