今日のトピックは、新型コロナウイルス感染症拡大と加工食品の原料原産地表示です。
中国での新型コロナウイルス感染症の拡大は、生産拠点や材料の調達先が中国にある様々な産業に影響を与えています。
食品業界にあっては、中国産輸入原材料を用いた加工食品について、急遽、中国産以外の原材料への切替えを検討している事業者が、容器包装の原料原産地表示変更に伴う資材変更に即時対応できず、生産が滞るなどの支障が生じています。
このような現状に対応すべく、消費者庁と農林水産省は3月3日、国内で製造・販売される加工食品であって、原料原産地が『中国』である旨を表示した食品を対象に、食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的に運用する旨の通知を出しました。(※1)
これは、食品の安定供給に向けた生産体制を確保する観点から、急激な輸入原材料の供給不足が生じた場合、すでに印刷済みの商品パッケージに記載した原材料産地と実際に使用する原材料産地が異なる事象が生じることに対応したものです。
具体的には、原料原産地表示の中国産との表記と、実際に使用されている原材料の原料原産地に違いがある場合であっても、当分の間、取締りを行わない、というもの。
(対応の条件として、一般消費者に対して、店舗内の告知、社告、ウェブサイトの掲示などにより、商品の実際に使用された適正な原料原産地情報を適時適切に伝達する場合に限る。)
同時に、通知に便乗した、一般消費者を欺くような悪質な違反についての取締りは排除しないとしています。
原料原産地表示については、食品表示基準の一部を改正する内閣府令が2017年9月1日に施行され、国内で製造または加工された全ての加工食品を対象に表示義務付けとなりました。
本制度の経過措置期間は、2022年の3月31日までとなっています。
消費者庁が原料原産地表示等に対する対応状況について、2019年7月に横浜市の食品スーパーで行った調査(※2)によると、加工食品1,349 点(輸入品を除く。)中、「原料原産地表示あり」は494商品(36.6%)、「原料原産地表示なし」855商品(63.4%)という結果でした。
制度の経過措置期間中ということで、6割以上の商品で未対応という状況の中、新型コロナウイルス感染症による中国産原材料の調達先切り替えなど、食品関連事業者にとっては苦しい状況ですが、なんとか頑張っていただきたいと思います。
(※1)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について(消費者庁 2020年3月3日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/019147/
(※2)
令和元年度 新たな加工食品の原料原産地表示制度等に係る表示実態調査結果
(消費者庁 2020年2月18日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2019/
【調査概要】
日時:令和元年7月 29 日 午前8時から約3時間
場所:神奈川県横浜市の食品スーパー
対象:各商品棚の上から2段目の商品1,514点 (内訳:国産品 1,349点、輸入品 165点)
調査項目:
(1)加工食品(輸入品を除く。)の原料原産地表示の有無
(2)原料原産地表示の根拠法令等
(3)新たな原料原産地表示における商品の表示方法
(4)食品表示基準に基づく表示(新表示)への移行状況
調査方法:義務表示事項の記載箇所(一括表示欄)をデジタルカメラで撮影し、確認。
≪参考記事≫
・平成30年度食品表示法違反「指導件数」は218件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が60% (平成30年度 消費者長、国税庁及び農林水産省)
・平成30年の食品表示法違反「指示件数」国12件、都道府県11件、検挙事件数26件
(食品表示法:H30年度、警察庁:H30年)
・加工食品の原料原産地「表示されている商品」を購入するが 43.5%
(平成30年度食品表示に関する消費者意向調査報告書)
・加工食品の新たな原料原産地表示 食品製造業者の約5割が営業・販売戦略に活かせると回答(日本政策金融公庫 平成29年7月調査)
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