電話勧誘販売での定期購入に特商法での業務停止命令 (株)Rarahiraと統括責任者に処分(2020年1月16日)

消費者庁は、2020年1月16日、化粧品、健康食品等を販売する電話勧誘販売業者の(株)Rarahira(ララヒラ 本社:大阪府茨木市)と同社の統括責任者に対し、特定商取引法違反で6カ月間の業務停止を命じました。
また、業務停止命令と併せて、違反行為の是正等が指示されています。

違反の内容は、健康食品と化粧品の電話勧誘販売での不適切な「定期購入」契約に関するものです。
定期購入契約の電話勧誘販売での処分は、2019年12月10日の(株)財宝の指示に続いて、今回は業務停止命令となっています。

また、通販定期購入で12月26日に処分を受けたTOLUTOのケース同様、今回も「役員と同等以上の支配力を有するものと認められる」個人に対して、業務禁止命令(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)処分が下っています。

・ネット通販定期購入の表示に特商法での処分 (株)TOLUTOと前代表取締役等に業務停止命令(2019年12月26日)

・定期購入契約のアウトバウンド営業に注意!健康食品販売の(株)財宝に特商法で指示
(消費者庁 2019年12月10日)

処分の内容を確認します。

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特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する業務停止命令(6か月)及び指示並びに
当該業者の役員に対する業務禁止命令(6か月)について
(消費者庁 2020年1月16日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_200116_01.pdf
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【事業概要】
取扱商品:「熟成自然派生酵素」と称する健康食品、「BIHAKU(ビハク)」と称する化粧品等
取引類型:電話勧誘販売(定期購入契約)
代表者:代表取締役 志水叔郎

【認定した違反行為】
同社は、次のとおり、特定商取引法の規定に違反する行為をしており、「電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがある」と認められた。

(1)氏名等の明示義務に違反する行為(名称及び勧誘目的不明示)
(特定商取引法第16条)
電話勧誘販売の勧誘に先立って、その相手方に対し、同社の名称及びその電話が本件売買契約の勧誘を目的とするものであることを告げていない。

(2)売買契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第17条)
電話により勧誘された売買契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、本件商品を購入するよう執ように告げるなどして、続けて売買契約の勧誘をしている。

(3)書面の交付義務に違反する行為(記載不備)(特定商取引法第19条第1項)
電話勧誘顧客と本件売買契約締結時の交付書面に以下の事項が記載されていない。
・代表者の氏名
・売買契約の締結を担当した者の氏名
・売買契約の解除に関する事項

(4)売買契約の解除に関する事項につき故意に事実を告げない行為(特定商取引法第21条第2項)
《返金条件》

「BIHAKU(ビハク)」と称する化粧品の売買契約の勧誘に際し、「30日間全額返金保証」と称する特約が付されていることを積極的に告げているにもかかわらず、返金条件(初回の商品を受領した後30日以内に、購入した商品の容器、梱包されていた化粧箱及び商品に同梱されていた「お買い上げ明細書」と題する書面の3点を同社に返送するという条件)について故意に告げていない。
《解約申請期間の起算日等》
・売買契約の解約を著しく限定する解約条件を設けていた。
解約の申出が受け付けられるためには、次回の「お届け予定日」の15日前から10日前まで(同社が休業する祝祭日及び休日も含む。)の最長で5日間の「解約申請期間」に購入者が電話により解約を申し出なければならない。
・解約の申出を受け付ける電話がつながりにくい場合がある状況を放置していた。

上記のように解約を困難にしておきながら、勧誘に際し、「いつでも好きな時にお止めできるのでご安心ください。」、「いらなかったら電話一本だけいただいたら、すぐにお止めします。」、「2度目いらなければ、お電話で必ずお止めできる」などと解約が容易にできる旨を強調するのみで、解約申請期間の起算日である「お届け予定日」の具体的な日及び解約申請期間中であっても同社が休業する祝祭日及び休日には電話を受け付けていないことを故意に告げていない。

【処分の内容】
(1) 業務禁止命令(法人)
内容:

電話勧誘販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
1)同社の行う電話勧誘販売に関する売買契約の締結について勧誘すること。
2)同社の行う電話勧誘販売に関する売買契約の申込みを受けること。
3)同社の行う電話勧誘販売に関する売買契約を締結すること。
期間:
2020年1月16日から2020年7月15日まで(6か月間)

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。

(2)指示(法人)
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築する。
これを同社の役員、従業員、同社が電話勧誘業務及び解約申出の受付業務を委託(再委託を含む。)する事業者に、業務停止命令に関する業務を再開するまでに周知徹底すること。

2.同社は、本件売買契約を締結した全ての相手方に対し、業務停止命令及び指示、売買契約の解除に関する事項(本件返金条件、解約申請期間の起算日等)を2020年2月17日までに文書により通知し、その通知結果について消費者庁長官に報告すること。

上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。

(3) 業務禁止命令(個人)
名宛人:
株式会社Rarahira(ララヒラ) 統括責任者 志水 宏晃
内容:
電話勧誘販売に関する業務のうち、次の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。
1)電話勧誘販売に関する売買契約の締結について勧誘すること。
2)電話勧誘販売に関する売買契約の申込みを受けること。
3)電話勧誘販売に関する売買契約を締結すること。
期間:
2020年1月16日から2020年7月15日まで(6か月間)
理由:
同社の代表取締役であり、同社の統括責任者として、同社に対し取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者であり、かつ、同社が停止を命ぜられた電話勧誘販売に関する業務の遂行に主導的な役割を果たしている者に該当する。

平成29年12月1日に施行された特商法の改正では、刑事罰の強化として以下が盛り込まれています。
●次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者への対処
・業務停止を命ぜられた法人の「取締役」や「取締役と同等の支配力を有すると認められるもの等」に対して、停止の範囲内の業務を、新たに法人を設立して継続することを禁止する。
⇒違反した場合、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金<新設>

Rarahiraは、電話勧誘販売のテレマ業務について外部委託していましたが、再発防止策と社内コンプライアンス体制の構築を、役員・従業員だけでなく、委託先企業やその再委託先にも周知徹底することを求めています。
委託先のコンプライアンス対応も問われます。

《関連記事》

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

・コールセンターのアウトバウンド営業に注意!ガス契約先変更の電話勧誘販売事業者に特商法違反で業務改善指示(平成30年2月1日)

・健康食品の電話勧誘販売(株)島田製薬に、特商法業務停止命令3か月及び指示
(平成29年8月31日)

・他の通販業者に電話勧誘を委託。健康食品の電話勧誘販売「(株)アンチエイジングラボ」に特商法違反で指示(平成29年5月24日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。