国セン3度目の注意喚起。監視強化必至の通販定期購入の注意点とは(国民生活センター 2019年12月19日:公表)

前回の記事では、健康食品販売会社が行っていた、定期購入契約の電話勧誘販売に対する特定商取引法違反事例を取り上げました。

・定期購入契約のアウトバウンド営業に注意!健康食品販売の(株)財宝に特商法で指示(消費者庁 2019年12月10日)

かねてより、このブログでも情報提供してきた「定期購入トラブル」ですが、主にネット通販でのトラブルが目立っていた中、電話勧誘販売での処分は少し意外に感じました。

電話勧誘では、消費者が購入を断っても「100円なのでとりあえず試して」「送るだけ送らせて」と、強引に勧誘して契約させる手口が、ネット通販より悪質度合いが高いように感じます。

そんな中、国民生活センターは今月19日に定期購入トラブルに対して3度目(!)となる注意喚起を行いました。

定期購入トラブルを巡っては、消費生活センター等に寄せられた相談件数が2016年あたりから急増し年々増加、国民生活センターでは2016年6月、2017年11月の2度にわたり注意喚起を行いました。
更に、同年12月には特商法の施行規則一部改正も施行され、通販での契約時に販売条件の明記が義務付けられました。

しかし、その後もトラブル増加は続き、2019年度(2019年11月30日時点)にPIO-NETに寄せられた相談は29,177件と、2018年度の23,002件を既に上回り、前年度同期比約230%と激増していることから、今回3度目の注意喚起となったのです。


相談事例からみる特徴と問題点として、国センでは以下のように示しています。
・定期購入が条件であること等の契約内容が認識しづらい
・契約内容の表示が不十分なSNS上の広告や動画広告をきっかけに注文に至っている
・解約条件が認識しづらい
・事業者と連絡がとれない
・消費者は注文時に想定した以上の金額を支払うことになる

定期購入契約における違反行為に対しては、これまで適格消費者団体の差止請求や、「いつでも解約」を謳った育毛剤に対する景表法措置命令が行われてきました。

・育毛剤(株)RAVIPAに景表法措置命令。「いつでも解約」「顧客満足度」「使用体験者の年齢」「お手入れなし・あり写真」に不当表示認定 (埼玉県 2019年8月20日)

今回の国センの注意喚起では、景表法を所管する消費者庁の表示対策課と特商法を所管する同・取引対策課に対して、「事業者に対して、特定商取引法、景品表示法の規定を遵守するよう周知するとともに、違反行為に対しては厳正かつ適正な執行を実施すること」を要望しています。

事業者の皆さんは、購入手続き画面の表示や解約手続き対応だけでなく、ショップサイトに誘導するSNS広告や動画広告も含めて、消費者が誤認しないよう注意が必要です。
今後、定期購入契約に対する監視の目が強まることは必至です。

◆相談激増!「おトクにお試しだけ」のつもりが「定期購入」に!?-解約したくても「解約できない」、「高額で支払えない」…
(国民生活センター 2019年12月19日:公表)
 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20191219_1.html

《関連記事》
・通販定期購入に相次ぐ特商法処分 今後の消費者庁の対応は?

・急増するまつ毛美容液による危害。医薬部外品、効能等表示に注意!
(国民生活センター調査 2019年8月)

・健康食品や化粧品等、通販で定期購入契約を行う際の広告に、販売条件の明記が義務付けに
(特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(平成29年6月30日公布))

・通販の定期購入契約で気を付けたい特商法の留意事項とは。購入手続き画面表示の具体例(特定商取引に関する法律施行規則改正(平成29年12月1日施行))

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。