言歩木のアイケア酵素飲料に景表法措置命令と課徴金1814万円(消費者庁:平成30年10月25日)

10月25日、消費者庁は千葉県市川市の健康食品の販売事業者(株)言歩木(ことほぎ)に対し、同社が通販で販売する「山野草醗酵酵素ブルーベリーDX」と称する目の症状の改善効果を謳った飲料の表示(新聞広告)について、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令を行いました。

優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
体験談に対する打消し表示についても言及されています。

また、措置命令の執行と同時に課徴金納付命令も出されており、1814万円を平成31年5月27日まで支払うよう命じられています。
算定した同品の売上高は6億471万1310円となっています。

処分のポイントについて確認します。

———-
株式会社言歩木に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成29年10月25日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181025_0001.pdf
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。

山野草醗酵酵素ブル-ベリーDX

●違反概要
【対象商品】

「山野草醗酵酵素ブルーベリーDX」と称する飲料

【表示媒体・期間】
日刊新聞紙に掲載した広告
平成28年5月24日、同年9月23日、同年12月21日及び平成29年5月24日

【違反内容】
表示内容:
例えば、5月24日に配布された日刊新聞紙に掲載した広告において、
「『かすみ』『ぼやけ』『ポタポタ』等…。加齢だけが原因ではなく、毛細血管の詰まりや減少により、繊細な目に必要な栄養が届かないためだが、これは放ってはおけない。当然加齢で衰えた消化酵素と代謝酵素が起因している。そこで60余年の醗酵技術が苦節7年の研究の末、視界によい 野生種ワイルドブルーベリーの酵素化に続き、3種のベリーの酵素化にも成功。滋養豊富な山野草醗酵酵素は、腸内環境を整えるのは勿論、衰えた消化酵素の力を借りずに吸収できるまで分解されている。様々な成分を体内に摂り込むことで、全身の代謝酵素が活発になり、瞳と体に栄養成分が届き組織を再生、滞った老廃物を排出するなど本来の仕事をしてくれる。瞳の健康には『瞳と身体の両方の健康』が重要なのは言うまでもない。【文/嶌 慶彦】」等と記載。
あたかも、対象商品を摂取するだけで、商品に含まれる酵素の働きにより、視力の回復効果及び「かすみ」、「ぼやけ」といった目の症状の改善効果が得られるかのように示す表示をしていた。

実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

違反表示例:5月24日に配布された日刊新聞紙に掲載した広告
言歩木

●体験談広告の打消し表示について
平成28年5月24日、同年9月23日、同年12月21日に全国に配布された日刊新聞紙に掲載した広告において、「※個人の感想です。」と記載していましたが、当該記載は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。

課徴金納付命令の概要は、以下の通りです。

課徴金対象行為をした期間:
平成28年5月24日~平成29年5月24日までの間

最後に取引をした日:
平成29年11月1日

課徴金対象期間:
平成28年5月24日~平成29年11月1日までの間

課徴金付加の対象外と認められる「相当の注意」について:
同社は、本件商品について、当該表示の裏付けとなる根拠資料を十分に確認することなく、前記の課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

売上額/課徴金額:
6億471万1310円/1814万円

本日(平成30年11月6日)時点で、同社の措置命令についての周知文(お詫び社告)はなされておらず、返金措置もとられていません。

アイケア関連の健康食品に対しては昨年3月、だいにち堂の「アスタキサンチン アイ&アイ」に景表法措置命令が出されました。「ボンヤリ・にごった感じ」といった暗示的広告表現が問題視された事案で、今年8月、同社は処分取り消しを求め消費者庁を提訴しています。

・「いわゆる健康食品」の暗示的広告表現に対する消費者庁の判断。「アスタキサンチン アイ&アイ」に景表法措置命令(消費者庁:平成29年3月9日)

《参考記事》
・痩身系健康茶、ティーライフ(株)に対し景表法措置命令。体験談広告の問題点は?
(消費者庁:平成29年9月29日)

・景品表示法(優良誤認)の不実証広告規制。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。