12月19日、消費者庁は東京都のカーケア用品等の通信販売業者(株)e-chanceに対し、「レニュマックス」と称する自動車ボディ等の傷補修剤に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令を行いました。
優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
今回の事案はTV通販CMですが、打消し表示は認められませんでした。
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株式会社e-chanceに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成29年12月19日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171219_0001.pdf
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
報道によると、CMは、BSで昨年3月~今年4月まで約800回放送。補修剤2本が約7000円で販売され、国民生活センターには「傷が消えない」などの苦情が100件ほど寄せられていたとしています。
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車補修剤に措置命令=「傷消えず」と苦情-消費者庁
(時事ドットコムニュース 平成29年12月19日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017121900922&g=soc
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●違反概要
【対象商品】
「レニュマックス」と称する自動車ボディ等の傷補修剤
(他のカーケア用品と一体的に供給する場合は、当該カーケア用品を含む。)
【表示媒体・期間】
BS放送を通じて放送したテレビコマーシャル
平成28年3月19日~平成29年4月23日までの間
【違反内容】
表示内容:
あたかも、対象商品の修復性能は、自動車ボディのカラー層に至る傷に対して、対象商品を塗布して乾かすだけで容易に当該傷を判別できなくなる程度に消すことができるものであるかのように示す表示をしていた。
表示例:
「あっという間にキレイに!」との映像、自動車ボディの傷に対象商品が塗布され、その後、当該傷が判別できなくなる程度に消える映像及び「様々な傷が簡単に、あっという間にキレイに」との音声(別紙1)
「サッとなぞって乾かすだけ!」との映像、自動車ボディの傷に対象商品が塗布され、その後、当該傷が判別できなくなる程度に消える映像及び「レニュマックスで傷の上にサッとなぞって乾かすだけで、びっくりするほどすっかりキズが見えなくなってしまうんです」との音声(別紙2)
「削ったり磨いたりはいりません!」との映像、「拭き取る必要すらないんです!」との映像及び「削ったり磨いたりはいりません。拭き取る必要すらないんです」との音声(別紙3)
自動車ボディのクリアコート層よりも深い部分に達した傷に対象商品が塗布され、その後、自動車ボディの塗膜が復元され、当該傷が消えるアニメーション映像及び「画期的な傷補修剤・レニュマックスが車にできた傷をしっかりとふさぐんです。乾くと滑らかな表面を
作り出し、ボディを長持ちさせてくれます」との音声(別紙4)
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は期間内に資料を提出したが、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められなかった。
【表示例】
●打消し表示についての問題点
対象表示の映像の下部に打消し表示が記載されていましたが、これらの記載は、自動車ボディのカラー層に至る傷が判別できなくなる程度に消える映像と矛盾しており、一般消費者が表示から受ける商品の性能に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。
打消し表示:
「※イメージ映像」
「※クリアコート上についた浅いキズを修復するための商品ですクリアコート下の塗装まで達しているキズや大きなキズ・面積の広いキズの修復には使用しないでください」
打消し表示を行う際には、消費者庁が2017年7月14日に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」を参考に、留意事項を確認しましょう。
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打消し表示に関する実態調査報告書
(消費者庁 平成29年7月)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0002.pdf
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≪参考記事≫
・FREETELのSIMサービス、「業界No.1」「通信料0円」表示に優良・有利誤認の景表法措置命令。打消し表示に注意を(消費者庁:平成29年4月21日)
・打ち消し表示無効。モデル写真と実質料金に乖離。着物レンタル事業者のDM用カタログに景表法措置命令
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