9月29日、消費者庁は静岡県の茶類、飲料品の製造販売業者ティーライフ(株)に対し、「ダイエットプーアール茶」と称する食品に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令を行いました。
優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
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ティーライフ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成29年9月29日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/sep/170929_1.html
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
●違反概要
【対象商品】
「ダイエットプーアール茶」と称するポット用ティーバッグ35個入り及び4個入の食品
【表示媒体・期間】
自社ウェブサイト
平成28年5月18日~同年12月5日までの間
平成28年12月7日~平成29年2月1日までの間
【違反内容】
表示内容:
あたかも、普段の食生活における飲料を対象商品に替えることで、商品に含まれる成分による痩身効果の促進作用が容易に得られるかのように示す表示をしていた。
表示例:
「知らないうちにスタイルアップ↑に導く まったく新しいダイエット茶」
「苦しむことなくラクラクダイエットサポート!」
「いつもの飲み物をおいしいお茶に替える新習慣!」
「2大有用成分がラクラクダイエットを応援」
「長期間の醗酵によって緑茶の有用成分カテキンが『重合カテキン』や『没食子酸』にパワーアップ。ラクラクダイエットをサポートします」
等と記載。
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
【表示例(表示期間:平成28年5月18日~同年12月5日までの間)】
・景品表示法(優良誤認)の不実証広告規制。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは
●体験談広告についての問題点
同社サイトには、表示例以外にも「ダイエット体験談」と題して、「-43kgのダイエットに成功して、5年間リバウンドなし!」と記載。before afterの写真を掲載しダイエット効果を謳う体験談も表示していました。
体験談には「2年半実践された方の実績です。運動量によってダイエットできる体重には個人差があります。」と打消し表示が記載されていました。
【体験談表示例(表示期間:平成28年5月18日~同年12月5日までの間)】
消費者庁が2017年7月14日に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」による「体験談を用いる場合の留意点」では、以下のように記載しています。
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打消し表示に関する実態調査報告書
(消費者庁 平成29年7月)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0002.pdf
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体験談を用いる際は、体験談等を含めた表示全体から「大体の人に効果がある」と一般消費者が認識を抱くことに留意する必要がある。
また、試験・調査等によって客観的に実証された内容が体験談等を含めた表示全体から一般消費者が抱く認識と適切に対応している必要があるところ、上記のような認識を踏まえると、実際には、商品の使用に当たり併用が必要な事項(例:食事療法、運動療法)がある場合や、特定の条件(例:BMIの数値が 25 以上)の者しか効果が得られない場合、体験談を用いることにより、そのような併用が必要な事項や特定の条件を伴わずに効果が得られると一般消費者が認識を抱くと考えられるので、一般消費者の誤認を招かないようにするためには、その旨が明瞭に表示される必要がある。
体験談により一般消費者の誤認を招かないようにするためには、当該商品・サービスの効果、性能等に適切に対応したものを用いることが必要であり、商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における(ⅰ)被験者の数及びその属性、(ⅱ)そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合、(ⅲ)体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示すべきである。
上記留意事項を踏まえると、本表示例での打消し表示においての、商品を摂取するにあたり併用が必要な事項(例:食事療法、運動療法)や、摂取期間など特定の条件でしか効果が得られない場合の条件の説明が不十分と言えます。
また、痩せる効果があった者の体験談と併せて、ダイエット効果に関する調査を行い、被験者の数及びその属性、そのうち体験談と同じような効果が得られた者、得られなかった者それぞれが占める割合等を明瞭に示す必要があります。
●消費者に対する措置命令に関する告知は不十分
同社は措置命令が公表された9月29日、自社のコーポレートサイトのIRニュースとして「消費者庁からの措置命令に関するお知らせ」と題した通知を掲載しました。
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ティーライフ株式会社(会社概要)
http://www.tealifeir.com/ir/index.html
HOME > IRニュース > 消費者庁からの措置命令に関するお知らせ
https://organic-label.jp/pdf/20170330.pdf
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措置命令では、一般消費者に対して問題となった表示が優良誤認となる不当表示であったことを速やかに周知徹底することを命じています。
しかしながら、9月29日に掲載された告知文の掲載箇所は、通販サイトのトップページではなくコーポレートサイトのIRニュースとなっており、一般消費者の目に留まりにくい掲示となっていました。
IRニュースとしてだけでなく、一般消費者が商品を購入する通販サイトのトップページからも明示的に掲載されることが望ましいと思います。
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《参考記事》
・豊胸・痩身系サプリ(株)ミーロードに対し景表法措置命令。求められる消費者への誠意ある対応(消費者庁:平成29年3月30日)
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