TSUTAYAの措置命令で考える、「打消し表示」の景品表示法上の留意点


先日の記事では、(株)TSUTAYAの動画配信サービスに関する景品表示法の措置命令事案を取り上げました。

同事案では、動画見放題プランの対象外となる都度課金でしか見られない動画があることも表示されていましたが、消費者の優良誤認を打消す表示として、認められませんでした。

消費者庁では、昨年7月に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」に続き、今年の5月16日に「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」を公表しており、規制が強まっています。
今回問題となった「打消し表示」の景品表示法上の留意点を解説します。


【違反表示内容】
あたかも、対象役務(動画配信サービス)を契約すれば、TSUTAYA TVにおいて配信する動画が、条件なく見放題となるかのように示す表示をしていたが、実際は、条件なく見放題ではなかった。

表示例:
「TSUTAYA TV」

《打消し表示》
条件なく見放題となるかのように示す表示と同一のウェブページの下部に記載した「よくある質問」に、
「▼動画見放題は新作も観られますか?」と記載し、クリックすると、
「実質0円で話題の最新作を観れるのはTSUTAYA TVだけです。
※実質0円とは月額933円に毎月1080円分 のポイントがついて540円の「新作」でも2本ご覧いただけます。」と表示。

「▼TSUTAYA TVの動画配信とは?」と記載し、クリックすると、
「TSUTAYA TVの動画配信は、インターネットに接続したテレビ、パソコン、タブレット、スマートフォンから、好きな映画やアニメなど広いジャンルの映像をどこででもお楽しみいただける動画配信サービスです。 オススメの『動画見放題』プランなら、月額わずか933円(税抜き) で、動画見放題(*) さらに、毎月1080円分の動画ポイントつき! まずは、いますぐ30日間の無料お試しをお楽しみください。
(*)動画見放題プランは『動画見放題』対象の作品から、どれだけ観ても毎月定額でお楽しみいただけます。 毎月、動画見放題プランの更新日に1080円分のポイントがつき、『新作』も含めお好きな作品をご覧いただけます。」と記載あり。

一般消費者が表示から受ける認識の打ち消し効果がないとされたポイント
・「よくある質問」の内容は、「見放題」との記載とは離れた箇所に小さな文字で記載されている。
・回答についての記載は質問の記載をそれぞれクリックしなければ表示されない。
TSUTAYA

「動画見放題&定額レンタル8」
《打消し表示》
条件なく見放題となるかのように示す表示と同一のウェブページに、
「※新作なども毎月付与される配信ポイント(1080pt)を利用して見ることが可能です。」と記載。

一般消費者が表示から受ける認識の打ち消し効果がないとされたポイント
・打消し表示の記載内容から動画見放題プランの対象動画に「新作」リリースカテゴリの動画などが含まれないと認識するのは困難。

「TSUTAYA光」
《打消し表示》
条件なく見放題となるかのように示す表示と同一のウェブページに、
「対象作品を見る」との記載にリンクを設定し、「期間限定キャンペーン ハリウッド最新作などが観られる 毎月1,080円相当の配信ポイントプレゼント」及び「話題の作品を見る」と記載。「話題の作品を見る」との記載にリンクを設定していた。

一般消費者が表示から受ける認識の打ち消し効果がないとされたポイント
・打消し表示は、「毎月無料で映画やドラマが見放題!」との記載とは離れた箇所に記載されている。
・「対象作品を見る」及び「話題の作品を見る」とのリンクをクリックして表示されるのは多数の動画の画像等が掲載されたウェブページである。

「TSUTAYAプレミアム」
自社ウェブサイト:

《打消し表示》
条件なく見放題となるかのように示す表示と同一のウェブページに、
「『貸出中』がない」及び「ネット配信だから『貸出中だった・・・』がありません。対象作品一覧はこちら」と記載し、「対象作品一覧はこちら」との記載に「動画見放題」との文字で絞り込み検索が行われた多数の動画の画像等が掲載されたウェブページへのリンクを設定していた。

一般消費者が表示から受ける認識の打ち消し効果がないとされたポイント
・打消し表示は、「見放題」との記載とは離れた箇所に、「見放題」の文字と比較して小さな文字で記載されている。
・「対象作品一覧はこちら」とのリンクをクリックして表示されるのは多数の動画の画像等が掲載されたウェブページである。

動画広告:
《打消し表示》
条件なく見放題となるかのように示す表示と同一画面の下部に、
「※TSUTAYA TVの『動画見放題』作品が対象となります。」等との文字を配信又は放送していた。

一般消費者が表示から受ける認識の打ち消し効果がないとされたポイント
・打消し表示は、小さな文字でのみ配信又は放送しているものであり、表示時間も短いものである。

消費者庁が2017年7月14日に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」では、今回問題となった打消し表示の表示内容、打消し表示の表示方法について、景品表示法上問題となるおそれがあるとしています。

●打消し表示の表示内容(例外型の打消し表示)
商品・サービスの内容や取引条件を強調した表示に対して、何らかの例外がある旨(打消し表示)を記載しているが、一般消費者が打消し表示を読んでも具体的な例外事項の内容を理解できない場合。

●全ての媒体に共通して問題となる表示方法
・一般消費者が打消し表示を見落としてしまうほど文字が小さい場合。
・(打消し表示が強調表示の近くに表示されていても)強調表示が大きな文字に対して、打消し表示が小さな文字で表示されている。
・打消し表示の背景が無地の単色ではなく、複数の色彩が入り組んでおり、 打消し表示の文字と背景との区別がつきにくいような場合。
・(一般消費者が見落としてしまうほど小さくない場合であっても)打消し表示が強調表示から離れた場所に表示されており、一般消費者が打消し表示に気付かない場合。
・(打消し表示に気付いたとしても)当該打消し表示が、離れた場所に表示された強調表示に対する打消し表示であると認識できないような場合。

●Web 広告において問題となる表示方法
・強調表示の位置から1スクロール以上離れた場所に打消し表示が表示されており、一般消費者が打消し表示に気付かない場合。
・打消し表示に気付いたとしても、当該打消し表示が、離れた場所に表示された強調表示に対する打消し表示であると認識できないような場合。
※一般消費者が認識できるか否かを判断する際は、(ⅰ)強調表示の前後の文脈や強調表示の近くにある記号等から一般消費者が打消し表示の存在を連想するか否かという点に加えて、(ⅱ)どの程度スクロールする必要があるのかという点等も勘案される。

●動画広告において問題となる表示方法
・打消し表示が含まれる画面の表示されている時間が短く、強調表示を読んでいるだけで画面が切り替わってしまうような場合。
・強調表示と打消し表示の文字量が多く、打消し表示を読んでいる途中で画面が切り替わってしまうような場合。

上記のような表示方法により、打消し表示の内容を一般消費者が正しく認識できず、商品・サービスの内容や取引条件について実際のもの等よりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるときは、景品表示法上問題となるおそれがあります。

上記以外にも、打消し表示を行う際の留意事項がありますので内容を確認しておきましょう。

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打消し表示に関する実態調査報告書
(消費者庁 平成29年7月)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0002.pdf

スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書
(消費者庁 平成29年5月)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180516_0002.pdf
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《参考記事》
・痩身系健康茶、ティーライフ(株)に対し景表法措置命令。体験談広告の問題点は?(消費者庁:平成29年9月29日)

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