消費者庁 健康食品広告ネット監視、2025年後半は294事業者(325商品)に改善要請。指導対象ワードの傾向は?(消費者庁: 2025年7月~2025年12月)

消費者庁による「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導」(2025年7月~9月および10月~12月)の結果から、健康食品広告の監視動向を分析します。
消費者庁は、創設された2009年度より本監視事業を継続実施しており、四半期ごとに結果を公表しています。監視は、ロボット型全文検索システムを用いたキーワード無作為検索により、検知されたサイトの目視確認により行われています。

1. 2025年後半の監視結果サマリー

2025年7月~9月の監視では142事業者(155商品)、続く10月~12月の監視では152事業者(170商品)について、健康増進法に違反するおそれのある文言等を含む表示が確認されました 。消費者庁はこれらの事業者に対し、表示の適正化を求めるとともに、ショッピングモール運営事業者へも協力要請を行っています。

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インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について
(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/#internet
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「いわゆる健康食品」の改善指導が約9割
商品区分別では、カプセル、錠剤、顆粒状等の「いわゆる健康食品」が288商品(7月~9月:135商品、10月~12月:153商品)と、指導件数全体の約9割を占めています。前回監視(2025年4月~6月)の84%から高い割合が継続しており、重点的な監視対象であることに変化はありません 。
「いわゆる健康食品」以外では、「飲料等」が24商品(7月~9月:12商品、10月~12月:12商品)、「加工食品」が13商品(7月~9月:8商品、10月~12月:5商品)と続き、今回の監視では「生鮮食品」は0でした。

2. 【詳細】適正化を要請された健康保持増進効果等の表示例

(太字は7月~9月期と10月~12月期監視での重複表示例)
A.疾病の疾病の治療・予防効果
《いわゆる健康食品》
7月~9月:熱中症予防、夏バテ対策
10月~12月:膝・関節痛の緩和、鼻トラブル改善
《飲料等》
10月~12月:がん予防、花粉症対策、血圧改善、血糖値・コレステロール抑制、アレルギー緩和、認知症予防
《加工食品》
7月~9月:熱中症対策
10月~12月:がん抑制、生活習慣病予防、便秘予防、貧血予防、高血圧予防、動脈硬化予防

    B.身体の組織機能の一般的増強・増進効果
    《いわゆる健康食品》
    7月~9月:疲労回復、免疫力向上脂肪燃焼、持久力・筋力アップ、いびき防止、睡眠サポート、声量アップ、腸内環境改善、体臭・口臭対策、バストアップ、美ボディケア、ダイエット、女性ホルモン活性化、更年期障害緩和、精力増進
    10月~12月:疲労回復、免疫力向上、スタミナアップ、筋肉増強、脂肪燃焼睡眠改善、ストレス緩和、腸内環境改善、ダイエット血行促進、むくみ予防、ホルモンバランス調整豊胸効果、妊活、更年期障害緩和
    《飲料等》
    7月~9月:生理痛の緩和、ホルモンバランス調節リラックス効果、授乳トラブル改善、アンチエイジング、抗炎症作用、血行改善
    10月~12月:ダイエット抗酸化作用リラックス効果アンチエイジング免疫力向上腸内環境改善、肥満防止
    《加工食品》
    7月~9月:抗酸化作用、肌サイクルの活性化、疲労回復・筋肉痛の緩和、肝臓機能の強化、ダイエット、新陳代謝の活発化
    10月~12月:抗酸化力向上、抗菌作用、むくみ予防

    C.特定の保健の用途に適する旨
    《飲料等》
    7月~9月:おなかの調子を整える、

    D.美容関連効果
    《いわゆる健康食品》
    7月~9月:肌荒れ改善、美肌効果日焼け防止、肌のシワやシミ・たるみ等の老化を解消、紫外線対策、スキンケア、毛髪力アップ
    10月~12月:美肌効果肌のハリ、ツヤ、弾力形成、肌のキメを整える、日焼け対策、シワやシミ、たるみ等の改善毛髪力アップ、抜け毛予防、白髪予防
    《加工食品》
    10月~12月:美肌効果

    E.「健康保持増進効果等」を暗示的又は間接的に表現するもの
    《加工食品》
    7月~9月、10月~12月:血液サラサラ

    【今回、表示されていた健康保持増進効果等(一部)】

    3. 分析:監視対象になりやすい表示の傾向

    適正化を要請された健康保持増進効果等の表示には、以下のような留意すべき傾向が見られます。
    ●季節性のあるワードに注意
    監視時期(7月~9月)に消費者の関心が高まるワードが、重点的に監視対象となっています。
    「熱中症予防・対策」、「夏バテ対策」「日焼け防止・紫外線対策」

    ●継続監視ワードに注意
    本監視事業は四半期ごとに継続して実施されています。繰り返し監視対象となった表示には特に注意が必要です。
    2025年7月~9月および10月~12月では、以下のキーワードが2期連続で監視対象となっています。
    季節を問わず、身体の機能の向上を謳う表示:
    「疲労回復」、「免疫力向上」、「血行促進・改善」、「睡眠サポート・改善」、「リラックス効果」、「腸内環境改善」、「血液サラサラ」
    加齢に伴う身体的変化を改善するかのような表示:
    「抗酸化作用」、「アンチエイジング」、「更年期障害緩和」、「ホルモンバランス調整」
    痩身効果やボディケア効果表示:
    「脂肪燃焼」、「ダイエット」、「バストアップ・豊胸効果」
    美容関連効果表示:
    「美肌」、「肌のシワやシミ、たるみ等の改善」、「毛髪力アップ」

    ●ガイドライン改定例示も要チェック
    2022年12月の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」改定で追加された「アンチエイジング」、「免疫力を高める」「妊活」が今回の監視対象に含まれています。

    【改定で追加された例示】
    「健康保持増進効果」の事例:
    「新陳代謝を盛んにする」、「若返り」、「アンチエイジング」、「免疫力を高める」、「細胞の活性化」、「治癒力が増す」、「〇〇〇は、活性酸素除去酵素を増加させます」、「歩行能力改善」
    「健康保持増進効果等を暗示的又は間接的に表現するもの:
    「妊活」、「腸活」、「減脂○○」、「デトックス○○」等

    《参考記事》
    ・健食留意事項の一部改訂、違反表示事例が充実し、より明示的に
    (「健康食品に関する景品表示法および健康増進法上の留意事項」一部改訂 2022年12月5日)

    4. 執行トレンドの変化:特商法・ステマ規制への警戒

    ●特商法による誇大広告への警戒
    健康食品の虚偽・誇大表示に対しては、これまで景品表示法と健康増進法との一体的な執行が厳しく行われてきました。しかし、近年の処分動向を見ると、2024年度は景品表示法や健康増進法による措置命令・指導件数がいずれも0件となっています。

    【景表法・健増法の処分実績】

    法令処分・指導2022年度2023年度2024年度
    景品表示法措置命令8件4件
    (ペット用サプリ含む)
    0件
    健康増進法行政指導
    (誇大表示の禁止違反のおそれ)
    12件10件0件

    この件数減少を、「規制が弱まった」と判断するのは早計です。
    健康食品を含む美容・健康商材の定期購入契約における消費者トラブルの拡大を背景に、消費者庁による法執行の重点が特定商取引法(特商法)へと移行しています。
    景品表示法に代わり、特商法の以下の条項を適用した厳しい処分が多数行われています。
    ・誇大広告(12条)
    ・最終確認画面の表示義務違反(12条の6第1項)
    ・最終確認画面における誤認表示(法12条の6第2項)

    【特定商取引法による処分事例(ダイエット食品)】
    通信販売業者【 株式会社ピュレアス 】に対する行政処分について (消費者庁 2026年3月19日)
    https://www.caa.go.jp/notice/entry/045480
    ・ダイエット食品の通販定期購入でフォックスに特商法業務停止命令(6カ月)。誇大広告+最終確認画面の表示義務違反による法執行7事案目 (消費者庁 2025年3月14日)

    健康食品を扱う事業者は、景表法・健康増進法に加え、特商法による処分のリスクに対応したコンプライアンスも必ず押さえておく必要があります。
    《参考記事》
    ・改正特商法施行から3年、2025年も続く「通販定期購入」への厳しい法執行 ―行政が問題視する「違反パターン」とは

    ●ステマ規制に注意
    他方、景表法による法執行の新たな動きとして、2023年10月1日に施行されたステルスマーケティング告示規制に注意が必要です。2025年度においては、ステマ告示による処分が消費者庁と東京都から出されています。
    いずれも、SNSタイアップ投稿の自社メディア転載において、広告であることを明示せずに掲載したことが違反認定されています。

    【ステルスマーケティング告示による処分事例】
    東京都によるステマ告示措置命令。ダイエットプレミアムのダイエット食品アフィリ広告、優良誤認も (東京都 2025年3月28日)
    ・ロート製薬の機能性表示サプリにステマ告示措置命令。続く大手製薬会社のステマ違反、自社サイトのSNS投稿転載に注意 (消費者庁 2025年3月25日)

    事業者は、最新の「留意事項」に基づいた網羅的な監視が行われていることを再認識し、特商法・ステマ規制も含めた多角的なコンプライアンス対応が不可欠です。

    コンプライアンス対応のための参考情報
    国の考え方を理解する上で、以下の消費者庁の資料を併せて確認しておきましょう。

    ●健康⾷品に関する景品表⽰法及び健康増進法上の留意事項について(要約版)
    (パンフレット:消費者庁)
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/161121premiums_2.pdf
    健康食品Q&A(2024年12月 消費者庁)
    健康食品5つの問題(2024年7月 消費者庁)

    ≪関連記事≫
    ・インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視状況(消費者庁)
    2025年4月~6月
    2025年1月~3月
    2024年10月~12月
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    久保京子

    このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
    (財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。