積極的な食品企業のECでの国産食品の取扱いと消費者の「国産志向」。増税の影響は? (食品産業センター「平成30年度6次産業化における地産地消実施状況調査報告書」)

今回は、食品関係企業のECでの国産農林水産物や国内主要原料食品の取り扱いについて取り上げます。

日本人の食品に対する「国産志向」は根強いものがあるとされていますが、日本政策金融公庫の2019年7月調査によると全体の14.3%で、4半期連続低下していました。

また、国産食品が「高い」とする割合が64.5%を占める中、「輸入食品より割高でも国産品を選ぶ」と回答した割合は57.9%と6割弱で、そこそこ高い割合の印象です。
しかし、前回調査の2019年1月比で-3.4ポイント低下しており、2017年以降、低下傾向が続いている状況です。

他方、食品関係企業側の状況を見ると、ECでの国産農林水産物や国内主要原料食品の取り扱いに対して積極的な姿勢が読み取れます。

一般財団法人 食品産業センターが行った、平成30年度農林水産省補助事業「6次産業化における地産地消実施状況調査報告書」(2019年3月)のデータ(※)をご紹介します。

《調査のポイント》
●ECでの国産農林水産物や国内主要原料食品の取り扱い84%
●国産食品が自社のECの売上高に占める割合「50%超~80%以下」が4社に1社
●今後の国産食品の取扱に関する意向、「拡大する」が42%
●国産食品のEC販売でのアピールポイント、「安全・安心」(75%)、「品質」(67%)


●ECでの国産農林水産物や国内主要原料食品の取り扱い84%
ECで農林水産物や食品を販売している企業の84%が、ECでの国産の農林水産物や国内主要原料食品の取り扱いが「ある」と回答。

●国産食品が自社のECの売上高に占める割合「50%超~80%以下」が4社に1社
ECでの国産の農林水産物や国内主要原料食品の取り扱いが「ある」企業について、その国産食品が自社のECの売上高に占める割合は、「10%超~50%以下」と回答した企業が最多の42%、次いで「50%超~80%以下」と「3%以下」が同割合の25%。

●今後の国産食品の取扱に関する意向、「拡大する」が42%
今後の国産食品の取扱に関する意向について、「現状と同程度」と回答した企業が最多の50%、次いで「拡大する」が42%。

●国産食品のEC販売でのアピールポイント、「安全・安心」(75%)、「品質」(67%)
国産食品をECで販売するに当たってのアピールポイントでは、「安全・安心が確保されていること」(75%)、「品質がよいこと」(67%)、「国産農林水産物であること」(58%)などが多く挙げられている。

今回の消費税増税では、食品は軽減税率の対象となっているものの、全体的に消費者の国産食品に対する「安全」イメージや、「割高でも国産品を選ぶ」という国産志向が少しずつ揺らぐ中、増税の影響は少なからず現れそうな予感がします。

(※)
平成30年度農林水産省補助事業「6次産業化における地産地消実施状況調査報告書」
(一般財団法人 食品産業センター 2019年3月)
https://www.shokusan.or.jp/wp-content/uploads/2019/04/df09cd28e676ca903edf037495a3d97a.pdf
■調査方法
調査時期:2019年2月~3月
調査対象:e-コマースで販売される農林水産物・食品(101 社)
調査方法:郵送された調査票(質問用紙)にモニターが回答を記入、返送

======================================
◆広告法務コンサルティング・社員教育◆
販促・広報戦略、商品表示・広告チェック社内体制構築等、
社外専門家としてのノウハウとサポート
詳細はこちら
======================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。

登録はこちら

————————————————————-

関連記事

  1. 医薬品ネット販売 使用者への個別の情報提供義務遵守は5割(平成27年5…

  2. 4年目に入った機能性表示食品制度品質管理の課題とは(1)。届出後におけ…

  3. 光触媒マスク4社に景表法措置命令。問題となる機能性の検証と表示の整合性…

  4. 医薬品ネット販売、濫用等のおそれがある医薬品の複数購入対応が店舗販売を…

  5. 医薬品ネット販売、メール問い合わせに「返信があった」のは54.7%(厚…

  6. 食品ネット販売事業者 義務表⽰情報提供は55.6%。仕組みの⾒直しに課…

最近の記事

2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。