「いわゆる健康食品に機能を表示できないことの認知率は31.8%(消費者庁「食品の機能性表示に関する消費者意向等調査」平成26年4月実施)

4月1日からの運用が待たれる機能性表示制度ですが、消費者はそもそも食品の機能性表示をどのように受け止めるのでしょうか。現状の「いわゆる健康食品」に対する消費者意識を把握することにより、食品の機能性の消費者への打ち出し方について、ヒントが得られそうです。

消費者庁が平成26年4月に実施した「食品の機能性表示に関する消費者意向等調査」(「第4回食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」資料)より、特に「いわゆる健康食品」に関する意識についてフォーカスしてご紹介します。(※)

●最近1年間の「健康食品」の摂取状況
最近1年間に「健康食品」を摂取したことがあるのは全体の43.8%。(「健康食品」は無定義で聴取)
⑥妊婦群53.5%、②疾病あり群47.8%、⑤保護者群47.1%、③高齢者群45.6%で、①疾病なし群31.2%に比べ、摂取割合が有意に高かった。
「健康食品」のうち最も多く摂取されていたものは、「特定保健用食品(トクホ)」で全体の44.7%であった。
機能性表示1

●「いわゆる健康食品」に対するイメージ
(過去1年間に「いわゆる健康食品」を摂取したと答えた人、また、特定できない何らかの健康食品を摂取した人たちを対象)
※「そう思う」(「とてもそう思う」と「そう思う」者の合計)の割合

「摂取することで、健康を維持できる」
全体の53.8%が「そう思う」と回答。④未成年者群70.0%、⑥妊婦群68.2%が、①疾病なし群53.0%%に比べ高い傾向。

「摂取することで、病気の予防になる」
全体の46.5%が「そう思う」と回答。⑤保護者群62.0%、⑥妊婦群54.5%、③高齢者群49.4%が、①疾病なし群38.5%に比べ高い傾向。
④未成年者群は、35.0%が「そう思わない」と回答。

「摂取することで、病気が治る」
全体の53.3%が「そう思わない」と回答。「そう思う」は10.6%にとどまる。

「『いわゆる健康食品』も、全て国が認可している」
全体の45.8%が「そう思わない」と回答。「そう思う」は18.3%にとどまる。
「そう思う」の割合が高いのは、④未成年者群32.5%、③高齢者群⑥妊婦群22.7%で高い傾向。

「試験などで効果があると証明されている」
全体の30.2%が「そう思う」と回答。④未成年者群42.5%、⑥妊婦群45.5%、⑤保護者群40.0%が、①疾病なし群24.0%に比べ高い傾向。

「試験などで安全性が証明されている」
全体の41.0%が「そう思う」と回答。④未成年者群57.5%、⑥妊婦群56.8%、③高齢者群44.5%が、①疾病なし群32.5%に比べ高い傾向。

機能性表示2

●「いわゆる健康食品」購入時に重視する点
(過去1年間に「いわゆる健康食品」を摂取したと答えた人、また、特定できない何らかの健康食品を摂取した人たちを対象)
※「重視する」(「とても重視する」と「重視する」者の合計)の割合

「厳しい品質管理のもと製造・販売されていること」、「有効成分の種類」、「有効成分の含有量」、「安全性」の項目を重視する者の割合は、いずれも75%以上となっている。
また、③高齢者群が、①疾病なし群に比べ高い傾向。

「期待される効果」
全体の77.4%が「重視する」と回答。⑥妊婦群93.2%が、①疾病なし群76.0%に比べ高い傾向。

「ヒトで効果が確かめられていること」65.0%、「原材料が天然・自然由来のものであること」57.4%が「重視する」と回答。ほとんどのグループが①疾病なし群に比べ高い傾向。
機能性表示3

●「いわゆる健康食品」に機能を表示できないことの認知度 (本調査の対象者全員)
全体での認知率は31.8%であった。
①疾病なし群25.8%に比べ、②疾病あり群③高齢者群は認知率が有意に高く、それぞれ35.0%、32.7%であった。
機能性表示4

●「この表示は、国によって評価されたものではありません。」等の表示に対する印象
「企業の自己責任で製造・販売される製品である」、「医薬品と区別がつけられる」、「他の食品に比べて消費者の判断力が問われる」と思う者(「とてもそう思う」と「そう思う」の合計)の割合は、いずれも7割近かった。
また、3項目とも、①疾病なし群に比べ、②疾病あり群、③高齢者群、⑥妊婦群で有意に高かった。
機能性表示5

機能性表示食品の容器包装表示においては「この表示は、国によって評価されたものではありません。」等の表示が義務付けられます。そのことによって「いわゆる健康食品」に機能を表示できないことの認知度も高まるのではないでしょうか。
また、「いわゆる健康食品」購入時に重視している「厳しい品質管理のもと製造・販売されていること」、「有効成分の種類」、「有効成分の含有量」、「安全性」といった項目について、機能性表示食品がその他の「いわゆる健康食品」と差別化された商品として認識されやすくなりそうです。

機能性表示食品についての消費者の正しい理解が促進されることで、広く食品業界の活性化につながることを期待しています。

(※)
食品の機能性表示に関する消費者意向等調査
平成26年4月4日消費者庁
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/140404_shiryo_4_1.pdf
【調査の目的】
規制改革実施計画(平成25年6月14日閣議決定)の決定を受け、特定保健用食品、栄養機能食品以外のいわゆる健康食品等を対象とした機能性の表示を容認する新たな方策の検討に資する基礎資料を得ることを目的に、平成25年度消費者庁予算事業として実施。

【調査設計】
調査手法: インターネット調査
調査機関: 株式会社インテージリサーチ
調査対象者: 委託先である株式会社インテージリサーチの「インテージ・ネットモニター」登録者のうち、「医薬品・健康食品」の業種を除いた者
調査実施時期: 平成26年3月5日(水)~7日(金)
対象者設計: 上記対象者のうち、15~79歳の男女3,000名を全国の人口構成に合わせて割当抽出
《対象者の群分け》
①20~64歳(疾病なし)
「診断又は疑いのある疾病」の9項目【糖尿病、脂質異常症(中性脂肪又はコレステロールが多い)、高血圧、肥満、貧血、骨粗しょう症、アレルギー(花粉など)症、関節炎、その他の疾病】のいずれにも該当しない者
②20~64歳(何らかの疾病あり)
「診断又は疑いのある疾病」の9項目のいずれかに該当する者
③65歳以上
④15~19歳
⑤健康食品を摂取している中学生以下の子どもを持つ者
「『健康食品』を摂取させている中学生以下のお子様がいらっしゃいますか」という設問に対し、「いる」と回答した者(①~④の再掲)※グループ①~⑤は、「妊娠中・妊娠計画中の者」を除く。
⑥妊娠中・妊娠計画中の者
「妊娠している者」と「妊娠していないが、計画している者」の合計
ここでの妊娠計画は、定期的な体温計測など、妊娠に向けて行動することを指す。

【主な調査内容】:
健康状況
健康食品の摂取状況
健康食品の区分の認知
「いわゆる健康食品」のイメージ
「いわゆる健康食品」の購入場所、購入時の重視点
「いわゆる健康食品」を摂取させている中学生以下の子どもの摂取状況
機能性表示に関する認知
新たな機能性表示の在り方に関する考え 等

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。