特別用途食品の許可なく、「経口補水液」と表示をして製品を販売していませんか?
2023年5月19日付で、特別用途食品(※)の表示許可制度が改正され、特別用途食品の病者用食品の中の「許可基準型」病者用食品として、新たに「経口補水液」の許可区分が新設されました。
許可基準型病者用食品としての経口補水液に許容される特別用途表示の範囲は、感染性胃腸炎による下痢・嘔吐の脱水状態の際に、水・電解質の補給のため利用できる製品として、「感染性胃腸炎による下痢・嘔吐の脱水状態に適する旨」となります。
特別用途食品の許可を得ずに「経口補水液」と表示した場合は、健康増進法第43条第1項及び第65条第1項違反(誇大表示の禁止)となります。
(※)特別用途食品とは
・乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行うもの(特別用途表示)。
・病者用食品は、特別用途食品のうち病者用のもので、病者用食品には許可基準型と個別評価型がある。
・特別用途食品として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43条第1項)。
・表示の許可に当たっては、規格又は要件への適合性について、国の審査を受ける必要がある。
無許可で「経口補水液」と表示している清涼飲料水については、2025年5月末までに、特別用途食品の表示許可取得手続きや包装資材の切替えなど、必要な対応を講じることを求めています。
特別用途食品ではない電解質組成を調製した清涼飲料水を、店頭POP、ポスター、説明会等で「熱中症対策」として使用する場合の注意点も確認します。
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「特別用途食品の表示許可等について」の一部改正について(令和5年5月19日 消食表第237号)の概要https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/notice/assets/food_labeling_cms206_230519_10.pdf
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これまでも「経口補水液」と表示するには特別用途食品の許可が必要だった
今回の改正で、「許可基準型」病者用食品の許可区分に追加された経口補水液ですが、これまでも、経口補水液と表示して製品を販売するためには、特別用途食品の個別評価型病者用食品として許可を得る必要がありました。
しかし、特別用途食品として許可を得ずに、電解質組成を調整した清涼飲料水が販売されており、健康増進法上の注意喚起がされてきました。
「経口補水液」との名称と共に、「脱水時」、「熱中症対策」等と記載することにより、あたかも脱水症状を起こしている人を対象とした病者用食品であるかのように表示したものは、健康増進法第43条第1項の規定に違反となります。
また、このような製品において、脱水でない状態で大量に摂取した場合に、ナトリウム過剰摂取等による健康リスクが生じるおそれがあることも問題視されてきました。
そのような経緯から、特別用途食品の許可対象食品とする制度の見直しが行われたのです。
消費者庁は、「特別用途食品たる経口補水液と誤認されるおそれのある表示への対応」として、事業者に先に記載した以外に以下の事項を求めています。
- 熱中症に適した病者用食品として経口補水液を販売する場合は、特別用途食品の個別評価型病者用食品としての許可を得ること。
- 販売店舗等において、特別用途食品としての許可を受けたものと清涼飲料水とを区別して陳列すること。
区分せず同一の棚に陳列して販売する等により、消費者に対して、当該清涼飲料水が特別用途食品としての許可を受けたものと誤認されるような広告その他の表示をした場合、健康増進法第 65 条第1項(誇大表示の禁止)の規定に違反するおそれがあるため。 - 経口補水液は病者用食品であることから、販売店等において、消費者が医師、管理栄養士等への相談、指導を得られる体制を構築することが望ましいこと。
「経口補水液」としてではなく、清涼飲料水に「熱中症対策」の用語を使用する場合は?
電解質組成を調製した清涼飲料水を、店頭POP、ポスター、説明会等で「熱中症対策」として使用する場合は、「「熱中症対策」表示ガイドラインの改訂について」(平成28年6月16日厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)を参考にすることとなっています。。
《「熱中症対策」表示ガイドライン概要》
適用:
ナトリウム濃度として、少なくとも、飲料100ml あたり40~80mg(食塩相当量として0.1~0.2g)含有する清涼飲料水。
食品表示基準の施行に伴い、栄養成分の量として従前はナトリウムの量で表示していたものは、食塩相当量(ナトリウムの量に2.54を乗じたものをいう)で表示する。
使用許可:
前項の基準を満たしたもののみ、「熱中症対策」の用語を使用することができる。
(「熱中症予防」「熱中対策」など、これと紛らわしい表示は使用しない。)
使用禁止事項:
商品名、製品の容器包装、製品段ボールへの表示に、この用語を使用してはならない。
(使用可能な具体例:テレビCM、店頭POP、ポスター、説明会など)
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「「熱中症対策」表示ガイドラインの改訂について」
(平成 28 年6月 16 日厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)
http://www.j-sda.or.jp/images_j/pdf/necchusho_guideline_2016_0616.pdf
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特別用途食品たる経口補水液と誤認されるおそれのある表示への対応について
(令和5年5月19日消食表第245号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/notice/assets/food_labeling_cms206_230519_03.pdf
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一歩間違うと、健康被害にもつながりかねません。
関係事業者の皆さまにはしっかりと対応をお願いします。
《関連記事》
・特別用途食品、プエラリア健康食品の監視指導が重点に。年末一斉、食品表示の取締り。(消費者庁)
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