●原料原産地表示の実施状況
「既に実施している」(50.5%)、「現在対応中である」(14.5%)、「実施していないが、今後実施予定である」(22.6%)を合わせた 87.6%の食品製造業者が、原料原産地表示を「実施済み」または「実施予定」である。
売上高階層別に見ると、売上高が小さい階層ほど既に原料原産地表示を実施している割合が大きくなる傾向となっている。
●検討中の表示方法
実施予定(「現在対応中である」「実施していないが、今後実施予定である」)と回答した食品製造業者(555 社)が検討している表示方法は、「国別重量順表示を行う」(61.3%)、「産地を切替える可能性があるため、可能性表示を行う」(28.8%)、「輸入国が3か国以上のため、大括り表示を行う」(9.9%)。約6割が原則的な国別重量順表示を検討している。
売上高階層別に見ると、売上高が小さい階層ほど国別重量順表示を、売上高が大きい階層ほど可能性表示を検討している割合が大きくなる傾向となっている。
●原料原産地表示を実施するうえでの課題
未実施(「実施していないが、今後実施予定である」「実施しておらず、今後も実施する予定はない」)と回答した食品製造業者(497社)の、原料原産地表示を実施するうえでの課題は、「商品パッケージの変更(デザインやレイアウト等)」(40.6%)、「原料原産地が変わる場合の速やかな対応」(30.2%)で、商品包装の変更などへの対応が課題であることがうかがえる。
売上高階層別に見ると、売上高が5億円未満の階層では5割以上が商品パッケージの変更が課題であると回答。
●原料原産地表示を営業・販売戦略に活かせるか
「大いに活かせる」(12.7%)または「活かせる」(33.9%)と回答した食品製造業者が46.6%となった。5割近くの食品製造業者が原料原産地表示を営業・販売戦略に活用できると考えている。
一方、「あまり活かせない」(21.7%)、「活かせない」(10.2%)と回答したのは31.9%。
売上高階層別に見ると、売上高が小さい階層ほど原料原産地表示を営業・販売戦略に活用
できると回答している割合が多くなっている。
●原料原産地表示の営業・販売戦略への活用方法(複数回答)
原料原産地表示を営業・販売戦略に「大いに活かせる」「活かせる」と回答した食品製造業者(743社)の活用方法では、「商品PR」(60.8%)、「競合他社商品との差別化」(57.3%)となった。原料原産地表示を、消費者に商品の価値を伝えることができるポジティブなものとして受け止めていることがうかがえる。
●原料原産地表示が営業・販売戦略に活かせない理由(複数回答)
原料原産地表示を営業・販売戦略に「あまり活かせない」「活かせない」と回答した食品製造業者(493社)の活かせない理由は、「効果が期待できない」(43.6%)、「営業販売戦略との関連性が乏しい」(43.0%)、「表示のためのコストが増加するだけ」(39.8%)、「表示のための工程が増加するだけ」(26.8%)となった。
原料原産地表示についてマーケティング戦略上メリットがあると考える事業者が5割弱、メリットがないと考える事業者が3割と評価が分かれる状況が明らかとなりました。
特に売上高が大きい事業者ほど原材料の海外調達が複雑で、メリットがないと考える傾向が高くなっています。
このような状況の背景には、加工食品の原材料のグローバル調達と消費者の国産食材志向があると考えられます。
次回は、加工食品の生産・流通の現状と、消費者の国産食材志向の傾向についてデータで確認してみます。
(※)
原料原産地表示に関する調査結果
(日本政策金融公庫 平成29年7月調査)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_171201c.pdf
【調査概要】
調査時点 平成 29 年 7 月 1 日
調査方法 郵送により調査票を配布し郵送により回収
調査対象 全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業) 7,027 社
有効回収数 全体で 2,571 社(回収率 36.6%)のうち、製造業の 1,695 社
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