東京都では、不当なインターネット広告への対応を強化しています。
7月21日、「東京デジタルCATS」と命名した取り組みを始めることを発表しました。
「CATS」は「Clean Advertising Team of Specialists」(専門家による広告適正化チーム)の略。
弁護士やWEB広告専門家等による外部の助言員チームの導入により、東京都が処分や指導を行うに当たっての助言を得たり、事業者自らが適正な表示を行っていくよう、事業者や都民に働きかけていくとしています。
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不当なインターネット広告への対応力を強化します!
– 「東京デジタルCATS」始動! –
(東京都 2023年8月25日)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/hyoji/cats/
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また、同日、東京都は、令和4年度に実施したインターネット広告監視の結果を公表しました。(※)
景品表示法に違反するおそれのある不当表示の修正・削除等を、通販事業者に対し改善指導等を行っています。
この監視は平成21年度から実施されており、インターネット通販サイトの広告・表示について年間を通し継続的に調査しています。
不当表示改善指導件数は218件、指導事業者数は205事業者
改善指導件数が今回は218件(205事業者)(前年度243件(234事業者))で、前年度に比べて指導件数は25件減、事業者数は29事業者減となりました。
主な商品・サービスでは、健康食品で94件、雑貨で59件、化粧品で58件の広告に改善指導が行われています。
指導内容の内訳では、「優良誤認」は216件(前年度255件)で、主な商品・サービスは、健康食品、雑貨(※)、化粧品等。「有利誤認」は17件(前年度52件)で、主な商品・サービスは、健康食品、雑貨、化粧品等。「過大な景品類の提供」が0件(前年度2件)でした。
(※)
雑貨 美顔器、脱毛器、除菌グッズ、ウェアラブルデバイスなど
【インターネット広告監視結果(件数)】
※複数の内容に違反する広告・表示があるため、内訳は指導件数の合計とは、一致しない。
【商品・サービス別指導件数】
【不当表示例と問題点】
健康食品:
表示例:この健康食品を摂取することだけで、運動や食事制限をすることなく、容易に痩身効果を得られるかのように表示
・「脂肪の入口をシャットダウン」
・「毎食前に飲むだけ!」「運動・食事制限なし!」
⇒表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ。(優良誤認のおそれ)
雑貨:
【ウェアラブルデバイス】
表示例:この商品を使用することで、容易に睡眠不足を改善することができるかのように表示
・「メラトニン分泌のサポートによって睡眠不足を抜本的に改善!」
・「睡眠不足を抜本的に改善し、あなたの辛い睡眠の悩みを解決します!」
【脱毛器】
表示例:この商品を使用することで、顕著な脱毛効果を得られるかのように表示
・「八週間脱毛」「再成長しません」
【サンダル】
表示例:この商品を使用することで、容易に殺菌等の効果を得られるかのように表示
・「インフルエンザウイルス等の悪玉菌を殺菌・不活性化する抗菌効果」
・「花粉等のアレルギー分子の分解効果に加え、悪臭等の分子構造を変える消臭・防カビ効果」
⇒表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ。(優良誤認のおそれ)
化粧品:
表示例:この化粧品を使用することで、容易に若返り等の強力な美容効果を得られるかのように表示
・「一晩でエステ級の高保湿」「一晩で驚異の実感力」
・「老化物質である活性酸素を短期間で驚異的に除去」「血管や細胞を若々しくする万能成分」
・「3週間で肌年齢が7歳も若くなりました!」との体験談
⇒表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ。(優良誤認のおそれ)
商品・サービス全般:
表示例:競争事業者のものよりも高い評価を得ているかのように表示
・「実際に使用したお客様の満足度 100%」
・「芸能人愛用者No.1」
・「○○史上最強」
表示例:この商品が世界的な評価を得ているかのように表示
・「ノーベル賞受賞成分配合」
・「世界発明賞を受賞」
⇒主張する内容が客観的に実証されて いないおそれ(優良誤認のおそれ)
表示例:期間限定の特別価格であり、今申し込めばお得であるかのように表示
・「今だけ〇〇%割引」
・「キャンペーン特別価格○○円」
・「当店過去最大○○%OFF」
⇒期間の明示がなかったり、キャンペーン期限が延長されるなど継続して実施されているおそれ(有利誤認のおそれ)
(※)令和4年度インターネット広告表示監視事業実施報告(東京都)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/07/21/14.html
東京都の虚偽・誇大等の不当な広告表示の適正化への取り組み
- 職権探知、消費者からの情報、関係機関からの通知等による、景品表示法に基づく調査・指導等
・消費者の東京都への悪質事業者通報、通販が48%。「誇大広告」の媒体、ネット広告・SNS広告が78%(東京都 悪質事業者通報サイトの通報概要(令和3年度))
- 消費生活調査員(表示・広告調査員100人)からの報告を受け、不当表示等に対する指導等
・「定期購入」利用経験55%、利用しない理由「解約に手間がかかる」が8割超(令和2年度「東京都消費生活調査員調査」)
- 保健医療局(令和5年7月1日組織改正前は、福祉保健局)と連携し、健康食品試買調査に基づく指導等
・健康食品125品目のうち103品目に表示違反の疑い(2022年度東京都健康食品試買調査)
- 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県の1都4県で、「五都県広告表示等適正化推進協議会」を設置し、景品表示法に違反するおそれのある広告・表示の合同調査・指導等
・美容関連大手通販事業者の景品表示法違反続く! 五都県で合同実施
このほか、公益社団法人日本広告審査機構(JARO)や各公正取引協議会などの民間自主規制機関との連携により事業者への啓発を図るなど表示適正化を推進しています。
販売事業者は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を納入業者、製造業者や輸入業者に求める働きかけが必要です。
取引条件について、実際のものよりも、又は競争事業者よりも消費者に著しく有利であると誤認される表示や景品の設定についても十分注意しましょう。
以下に、価格表示に関する景品表示法の解説記事をまとめました。
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