JAROへの苦情、健康食品6割減。審査事案の3分の1がアフィリエイトサイト関連(日本広告審査機構 2021年度の審査概況)

JARO(公益社団法人 日本広告審査機構)が公表している、広告に対する消費者から受け付けた苦情や問い合わせに基づく審査概況から、消費者の印象や広告・表示関係法令に抵触する恐れのある広告の傾向についてキャッチします。

2021年度の相談の総受付件数は13,771件(前年度比91.2%)で、2020年度までの5年連続最多件数を更新が止まり、1,329 件減少となりました。
ただし、コロナ禍前の2019 年度比では約1割増加しており、中期的に見れば増加傾向ではあります。
相談のうち「苦情」は10,319件(前年度11,560件)で、前年度比89.3%となりました。

内容を確認してみましょう。

上位は「化粧品」「医薬部外品」。「健康食品」が前年度比40%の大幅減少

「苦情」を業種別にみてみると、上位は以下の通り。
1位「化粧品」778件(前年度805件、前年度比96.6%)
2位「医薬部外品」503件(前年度456件、前年度比110.3%)
3位「オンラインゲーム」「携帯電話サービス」各474件(前年度523件、620件、前年度比90.6%、76.5%)
5位「健康食品」368件(前年度912件、前年度比40.4%)

1位の「化粧品」は20年度に2.5倍と急増し、21年度も高水準。「シミが消える表現が誇大」「使用前後写真が明らかな加工」、「鼻の角栓の描写が不快」など。
2位の「医薬部外品は」20年度に3倍と急増し、今期も10%余り増加した。育毛剤の広告で「短期間で効果があるような表現が誇大」、口腔ケア商品で「口腔内の表現が不快」、殺虫剤で「害虫の表現が不快」など。
5位の「健康食品」は、前年度の4割ほどに大きく減少した。

苦情媒体「ネット」「テレビ」の順位は変化なし「ラジオ」が増加

「苦情」を媒体別にみてみると、上位は以下の通り。
1位「インターネット」4, 779件(前年度5,531件)で、前年度比86.4%。
2位「テレビ」4,238件(前年度4,683件)で、前年度比90.5%。
3位「ラジオ」407件(前年度334件)で、前年度比121.9%。
2019年度に「インターネット」が僅差で「テレビ」を上回って以来、上位 3 媒体の順位は変わらないが、「インターネット」と「テレビ」は前年度に比べ減少となり、「ラジオ」は増加した。

「インターネット」の上位業種:
「化粧品」689 件(前年度675件)、「オンラインゲーム」362件(426件)、「医薬部外品」325件(同306件)、「電子書籍・ビデオ・音楽配信」256件(同155件)、「健康食品」204件(同672件)。「健康食品」の苦情減少は 全体では6 割減だが、特に「インターネット」媒体では 7 割減と減少幅が大きかった。

「テレビ」の上位業種:
「携帯電話サービス」345件(前年度440件)、「医薬部外品」160 件(同134件)、「生活サービス」138件(同59件)、「行政」と「健康食品」が各 128 件(同65件、200件)。
前年度比が2倍以上増加した「生活サービス」は給湯設備工事のテレビ CM 表現に苦情が多数寄せられた。

「ラジオ」の上位業種:
「買取・売買」92件(前年度18件)、「相談業務」71件(同 67件)、「団体」25件(同 25件)、「健康食品」19件(同 9件)、「比較サイト」16 件(同 14件)などで、買い取りに関する広告への苦情が5倍となった。

苦情内容、「音・映像」表現関連の不快感が増加

「苦情」を内容別にみてみると、構成比は以下の通り。
「表示」5,432件(構成比52.6% 前年度比81.9%)。
 内訳:
 「価格・取引条件等」2,308件(構成比22.3% 前年度比83.5%)
 「品質・規格等」2,789件(構成比27.0% 前年度比83.7%)
 「その他」335件(構成比3.2% 前年度比62.4%)
「広告表現」4,172件(構成比40.4% 前年度比102.4%)。
「広告の手法」715件(構成比6.9% 前年度比83.6%)。

〔表示〕
広告・表示が事実と異なる、誤認を招くといった表示に問題があると訴えるもの。広告規制に違反するものが多い。
「健康食品」は、効能・効果の表示や定期購入契約の不適切な表示に関する苦情の大幅な減少に伴い「価格・取引条件等」「品質・規格等」も減少した。増加したものでは、「買取・売買」の「価格・取引条件等」、「相談業務」の「品質・規格等」など。

〔広告表現〕
広告での描写に関するもの。
音がうるさい、画像が気持ち悪いといった「音・映像」が 2,638 件(前年度比116.5%)、行政のワクチン接種の呼び掛け、犯罪シーンを描いた動画配信サービスなどの「社会規範」896 件(同 111.4%)などが増加。

〔広告の手法〕
CMの音量や頻度、広告であることが不明瞭、迷惑な露出方法などに関するもの。
国からのお知らせと誤認させる法律事務所の広告、プラットフォーム上に表示される化粧品や医薬部外品の広告がオプトアウトしても何度も表示されるといったものなど。

「見解」30件を発信、内、アフィリエイトサイト関連が10件

業務委員会で審議し「見解」を発信したのは30件。(前年度27件)
内訳は「厳重警告」9件(前年度15件)、「警告」10件(同9件)、「要望」10件(同1件)、「助言」1件(同2件)。
対象業種は「化粧品/医薬部外品」各5件、「健康食品/雑貨品」各3件、「医療機関/法律事務所」各2件、「空気清浄機/インターネット接続サービス/住宅建築」など各1件。
対象媒体は「インターネット」が見解30件中17件、「チラシ」7件、「テレビ」6件など。
アフィリエイトプログラムが関わる見解は10件、定期購入契約が関わる事例は 4 件。 具体的な警告内容は以下の通り。

2021年度の厳重警告・警告内容 ( )内は媒体

アフィリエイト広告関連:
●摂取するだけで女性ホルモンが急増して豊胸効果が得られるかのように表示した健康飲料
(インターネット:まとめサイト内のバナー、アフィリエイトサイト(記事風サイト)、自社通販サイト(広告主)) 
≪厳重警告≫
《見解》
・本商品を摂取するだけで女性ホルモンを増やし、豊胸効果を得られるかのような表現。
・テレビで放送されたり、ニュースサイトのトップニュースになった等の表示に裏付けとなる合理的な根拠。
・雑誌に掲載されたと表示されているが実際は広告枠掲載。
・本商品を申し込みできる人、販売価格、販売数量、販売期間等が限定されており、入手が困難であるかのような表示。
・人気モデルや人気SNSユーザーが商品を購入し自発的に投稿したものとの誤認を招くことのないよう、SNS記事を広告へ引用する際には、広告主とモデルや人気SNSユーザーとの関係性を明示する。

機能性表示食品に対する事後チェック指針において、「有償、無償を問わず、肯定するよう特に依頼した体験談であるにもかかわらず、一般の利用者の体験談であるかのように表示する場合、体験談の内容が届出された機能性の範囲を逸脱する場合は、景品表示法上問題となるおそれがある」と示されている。
また、広告主(販売者)はHPに「広告掲載ガイドライン」を表示しており、さらに、広告代理店、ASPを経由してアフィリエイターにも「広告ガイドライン」を配布するよう依頼していたが、不適切な内容のアフィリエイト広告出稿について、販売者(広告主)が責任を免れることはないとの見解。

—————–
機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/about_foods_with_function_claims_200324_0003.pdf
—————–

●口臭を除去できるかのようにうたい、この動画をスキップすると二度と割引価格でお試しできないとうたうサプリメント(健康食品)(インターネット:アフィリエイト動画広告、自社通販サイト(広告主))
≪警告≫
《見解》
・口臭除去という健康食品では謳えない医薬品的な効能効果の表現
・身体に作用して口臭を改善する効果や歯周病や虫歯への効果の標ぼうに根拠がない場合。
・公式サイトを普通に検索しても初回980円の定期購入できるのに、不可能かのような表現。
・「いつでも解約OK」としながら電話がつながらない状態。

「いつでも解約OK」については、過去に埼玉県による処分事案がありました。
・育毛剤(株)RAVIPAに景表法措置命令。「いつでも解約」「顧客満足度」「使用体験者の年齢」「お手入れなし・あり写真」に不当表示認定(埼玉県:2019年8月20日)

●疾病が改善されるような訴求と分かりにくい定期購入の表示をしたカンナビジオール製品(雑貨品)(インターネット:アフィリエイトサイト、自社通販サイト(広告主))
≪厳重警告≫

薬機法関連:
●虫が嫌がる香りや外敵をブロックするなどとうたいながら、虫よけではないと注釈をしている UV スプレー(化粧品)(パッケージ) ≪警告≫
《見解》
・医薬部外品でなければ、衛生害虫への効果は謳うことができない。「虫が嫌いなハーブの香りつづく!」という表示は化粧品の効果を逸脱。
・消費者に、化粧品では標ぼうできない虫除け効果を暗示的に伝えようと意図的に制作された印象

不当表示は、イラスト等も含めたパッケージ全体での消費者に与える印象により判断されます。打消し表示を記載していても認められない可能性があることに注意が必要です。

効果・効能等:
●使用前後で髪が生えたかのような表示をし、注文時になってサプリメントの併用と定期購入契約であることを伝える育毛剤(医薬部外品)(テレビ)≪警告≫
《見解》
・本来の有効成分でないものについて有効成分であるかのような説明をすること。
・使用体験談による効能効果の保証表現。
・「育毛剤人気ランキング第1位(抜け毛・薄毛に不安ある方が選ぶ)」との表示内容と根拠が適切に対応していないとみなされた場合

●しみ・しわに効果があるかのようにうたったイノシシの油(化粧品)(インターネット:通販モール)≪厳重警告≫
《見解》
・化粧品の効能効果の逸脱。
・使用前後写真や体験談による効能効果の保証。
・「老化防止効果」「傷んだ細胞を修復」等、薬理効果を明示又は暗示する成分が配合されている旨の広告。
・「赤ちゃんにも使える」「口に入っても大丈夫」等、安全性を保証する表現の禁止。
・「※当社の商品が紹介されたわけではございません。」と、打消し表示があるが、同一視野であっても下部に小さな文字で表示しているため、消費者に当該商品がテレビ番組で紹介された優良な商品であると誤認させるおそれ。

●マッサージ器であるのに歩くための筋力アップができるかのようにうたっていた(医療機器)(チラシ:通信販売の商品に同梱)≪警告≫
《見解》
・医療機器として承認された効果効能は、・疲労の回復・血行の促進・筋肉の疲れをとる・筋肉のこりをほぐす・神経痛・筋肉痛の痛みをやわらげるであった。
・試験、調査で得られた結果と、表示が適切に対応しているとはいえない

●肝臓や尿酸の数値が改善するかのように表示した栄養機能食品(健康食品)(テレビ:ケーブルテレビ、チラシ、ダイレクトメール) ≪厳重警告≫
《見解》
・「飲用することで肝臓の数値が下がる」「カラダのダルさがなくなる」等、健康食品では謳えない医薬品的な効能効果の表現
・栄養機能食品(カルシウム)であるにも関わらず、「疲労回復をうながすオルニチンがたっぷり含まれる」などと表示。国が定める基準に係る栄養成分以外の成分の機能の表示。

●短期間で髪が生えるとうたった育毛剤(医薬部外品)(通販会社のカタログに同梱したチラシ)≪厳重警告≫
●短期間で乾燥小じわが伸びると表示されたクリーム(化粧品)(通販会社のカタログに同梱したチラシ)≪厳重警告≫
●短期間でシワが取れるかのような表示や、ノーベル賞、学会の論文などに言及した美容液(化粧品)(インターネット:ランディングページ、自社通販サイト)≪厳重警告≫
●ほうれい線に効果があるかのようにうたった美容液(化粧品)やジェル(医薬部外品)(チラシ)≪警告≫

誤認されるおそれのある表示:
●マッサージ器であるのに歩くための筋力アップができるかのようにうたっていた(医療機器)(チラシ:通信販売の商品に同梱)≪警告≫
《見解》
・医療機器として承認された効果効能は、・疲労の回復・血行の促進・筋肉の疲れをとる・筋肉のこりをほぐす・神経痛・筋肉痛の痛みをやわらげるであった。
・試験、調査で得られた結果と、表示が適切に対応しているとはいえない

●複数の特典がうたわれたキャンペーンで、そのうちの幾つかは通常提供しているサービスであり、誤解を招く二重価格表示(七五三写真撮影)(インターネット:自社サイト)≪警告≫
《見解》
・期間限定で今だけお得であるかのように表示していたが、実際には同じ内容のキャンペーンを繰り返し行っていた。
・一部の店舗でキャンペーン特典のプレゼントを渡していなかった。

「七五三の前撮りサービスの期間限定割引表示」については、過去に消費者庁による処分事案がありました。
・七五三の前撮りサービスの期間限定割引表示に景表法措置命令。セット割引販売時の留意点とは (消費者庁 2021年9月14日)

●縫製技法やディレクターについて特定の国を記載しているが縫製は別の国であり、商品販売ページに原産国表示がなかった(衣料品)(インターネッ:自社サイト)≪警告≫

商品の原産国表示による不当表示については、過去に消費者庁による処分事案がありました。
・ボーネルンド、輸入玩具「商品の原産国に関する不当な表示」に景表法措置命令 (消費者庁 平成29年6月23日)
商品の原産国に関する不当な表示 (昭和48年公正取引委員会告示第34号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_005/

●追加料金なしとうたっていたが実際には 2〜3 回にしかならない全身脱毛のエステティックサロン(インターネット:自社通販サイト)≪警告≫


審査基準:
【厳重警告】
警告相当の広告または表示であって、問題箇所の数、消費者に誤認を与える程度等により、その不当性が特に高いと認められることから、当該広告または表示を直ちに削除または修正することが必要と認められるもの。

【警告】
広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され、消費者に誤認を与えるもの、または広告・表示関係法令に抵触することが明らかであることから、当該広告または表示の速やかな削除または修正を求めることが必要と認められるもの。

【要望】
広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され広告・表示関係法令に抵触する疑いがあるもの、または消費者の誤認を招くおそれがあることから、当該広告または表示の削除または修正を求めることが必要と認められるもの。

【助言】
広告または表示が、消費者の誤解を招く、または社会的・道義的問題等を有する可能性があるため、修正等の検討を求めることが必要と認められるもの。(従来の「提言」から名称変更)

——————————
JARO審査基準改定について
(公益社団法人 日本広告審査機構 2020年6月18日)
https://www.jaro.or.jp/news/20200618c.html
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定期購入契約「健康食品」に代わって「化粧品」「医薬部外品」の苦情増加

2021年度の定期購入に関する苦情は259件(前年度297件、前年度比87.2%)で、減少した。
対象商品別でみると、これまで最多だった「健康食品」は60件(前年度135件、前年度比44.4%)で更に減少し3位となった。代わって増加傾向にあった「化粧品」が99件(前年度63件、前年度比157.1%)、「医薬部外品」は66件(前年度53件、前年度比124.5%)が上位となった。CBD関連製品は3件と減少した。
規制強化が進み、以前のように定期購入であることがどこにも表示されていない事例は減ったが、分かりにくく記載するなど新たな手法が報告されている。

(公社)日本通信販売協会の消費者相談室「通販110番」に寄せられた、2021年度の消費者相談件数においても、同様の傾向となっています。
《参考記事》
・ネット通販「定期購入販売」関連相談、前年度比57.1%と大幅減少(JADMA 2021年度消費者相談件数)

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2021年度の審査概況
(公益社団法人 日本広告審査機構 2022年6月29日)
https://www.jaro.or.jp/news/20220707a.html
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《関連記事》
・JAROへの苦情媒体、ネット広告の増加続く。「厳重警告」判定15件、うち14件はアフィリエイト関連
(日本広告審査機構 2020年度の審査概況)

・JAROへの苦情媒体、ネット広告がトップに。アフィリエイト関連は「警告」31件中18件
(日本広告審査機構 2019年度の審査概況)

・JAROへの苦情、通販定期購入契約の苦情は減少せず。ネット広告への苦情二桁増続く
(日本広告審査機構 2018年度の審査概況)

・ネット上の健康食品の成分に関する記事体広告、薬機法に抵触する境目は?

・メール広告からしかたどり着けない中間ランディングページ、不適切表示隠しの巧妙な手法

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。