都道府県等への措置命令権限付与から7年。景表法執行に向けた運用課題と今後の取り組み

端緒把握から措置命令までに要する期間は約1年もかかっている

消費者庁が平成28年度以降の事件処理の平均的な期間について計算したところ、以下のようになっていました。

端緒把握から措置命令までの平均処理日数:322日
端緒把握から措置命令を受けた事業者が社告を行うまでの平均日数:374日、
端緒把握から課徴金調査終結までの平均処理日数:579日
(うち、課徴金納付命令を行った事案の平均処理日数:714日、課徴金納付命令が行われなかった事案の平均処理日数:490日)

1回 景品表示法検討会(2022年3月16日)
【資料4】景品表示法を取り巻く現状について(事務局資料)より引用

背景にはネット表示の事件調査の複雑さ

端緒把握から措置命令までに約1年程度も要する背景には、どのような状況があるのでしょうか。
その背景には、近年、措置命令事案(表示事案)のうち、インターネット上の表示を含むものの割合が高まっていることが考えられます。その割合は、平成28年から過去5年間平均で75.6%を占めています。

1回 景品表示法検討会(2022年3月16日)
【資料4】景品表示法を取り巻く現状について(事務局資料)より引用

そして、インターネット上の表示(デジタル表示)は、証拠の特定・保全等のための調査について、紙媒体の広告表示と比較して、以下の理由から、より手間のかかるものとなっています。

  • 頻繁に更新されることが多い
  • 特定のキーワード検索結果やクッキー情報から推測されるユーザーの属性などに対応し、随時差し替わる広告がある
  • 違反事業者の自社ウェブサイトだけでなく、リンクの遷移先の不当表示調査を要するものも多い

このように、手間暇のかかる事件処理について、措置命令の権限委任を受けた都道府県等はどのような課題を抱え、運用に向けて取り組んでいるのでしょうか。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。