埼玉県、大学・高校と連携して違反広告監視。19事業者に行政指導(埼玉県 2021年4月13日)

埼玉県が、県内の大学、高校と連携して、違反表示・広告等に対する監視に取り組んでいます。

2020年度(令和2年度)に実施された不当表示広告調査では、県内の高校生1,031名(7校)、大学生167名(1大学)の計1,198名から、976事業者、計1,198件の広告表示が報告され、222事業者(976件)について不当表示のおそれがありました。
不当表示のおそれのある事業者は、1社あたり平均4.4件の不当表示を行っている計算となります。

県では、報告があった1,198件を精査し、19事業者に対して文書による行政指導を行っています。
令和元年度の本調査では、調査報告を端緒として令和2年3月31日に、(株)ニコリオのダイエットサプリメントの表示に対して埼玉県が景表法に基づく措置命令を行っています。

・埼玉県、ダイエットサプリ通販のニコリオに景表法措置命令と特商法業務停止命令。アフィリエイトも注意! (埼玉県 2020年3月31日)

令和2年度調査の内容を確認します。


調査実施期間
2020年7月から2021年1月

広告媒体別件数
調査媒体は以下の通り。
(1) インターネットの広告(メールマガジン等の広告を含む)
(2) スマートフォンの広告(メールマガジン、情報発信アプリ等の広告を含む)
(3) 新聞紙上の掲載広告
(4) 新聞折り込みチラシ(調査学生・生徒の自宅のチラシ)
(5) 雑誌(週刊誌、ファッション誌、情報紙等)の掲載広告
(6) フリーペーパーやミニコミ誌の掲載広告
(7)店頭の広告
調査媒体の選定は各校が任意に選定している。

報告件数と不当表示のおそれありの件数の媒体別内訳は、インターネット661件中557件(84.3%)、スマートフォン458件中369件(80.6%)、新聞53件中25件(47.2%)、折込チラシ31件中18件(58.1%)、雑誌5件中2件(40.0%)、フリーペーパー5件中4件(80.0%)、店頭2件中0件(0%)、その他3件中1件(33.3%)。

調査媒体の9割がネット広告やスマホであるが、報告件数に占める不当表示のおそれの割合は、いずれも8割以上を占めている。
不当表示調査(埼玉R.2)媒体別

商品・サービス別件数等
調査対象について、特定の商品類は指定していない(大学は、食品表示に限定。)。
報告件数と不当表示のおそれありの件数の商品・サービス別内訳は、報告件数の多い上位3分類について、ダイエット関係が530件中494件(93.2%)、美容関係271件中228件(84.1%)、筋肉増強131件中123件(93.9%)となっている。
不当表示調査(埼玉R.2)商品別

事業者の状況
報告があった1,198件を事業者別に集計したところ、同一商品の報告の重複により、976事業者となった。976事業者のうち、不当表示のおそれがあると思われるものは計222事業者であった。

違反被疑表示事例と指摘事項
報告のあった表示事例のうち、主な違反のおそれのある事例と学生・生徒の指摘事項については、次のとおり。
不当表示調査(埼玉R.2)事例

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令和2年度大学・高校との連携による不当表示広告調査結果について
(埼玉県 2021年4月13日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0310/jigyousyasido/02gakkourenkei.html
————————————

このような取り組みは埼玉県だけでなく、国や他の自治体においても、一般消費者に不適切な広告表示の調査モニターを委託して、事業者指導に活用しています。

東京都では「東京都消費生活調査員制度」事業を、平成14年度から実施しています。
本事業では、年度ごとに消費生活調査員として20歳以上の都民を対象に公募し、食品表示調査(調査員:200人、調査回数:5回)、表示・広告調査(調査員:200人、調査回数:3回)、計量調査(調査員:100人調査回数:6回)を委託しています。

・消費生活調査員による調査(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/chousa/t_chosain/

今回取り上げた埼玉県の取組は、成人ではなく学生・生徒を調査員の対象にしています。
これは、調査を通じて次代を担う大学生、高校生が不当表示等に関する正しい知識を得ることにより、消費者被害の未然防止を図るという、若年者への消費者教育も意図された取組となっています。また、消費者の批判的意識を持たせる学習効果も得られています。
調査事業は今年度も実施する予定で、現在、協力校を募集しています。

調査報告書の実施校の所感には、生徒の感想として、
「偽って商品を買わせるなどありえない」、「その様な商品は無くなってほしい」
「不当な広告が出回っており、世の中怖いと思った。」
「こんなに細かく広告を見ることがなかったが、 よく見ると、とても怪しい言葉が小さく書いてあり、ずる賢いと思った。 今後、広告を見る際は気を付けたい。」
「インターネットを使用する時は、詐欺や怪しい広告、怪しい人に気を付けたい。」
など率直な意見が報告されていました。

社会の中に怪しい広告、怪しい事業者の存在が当たり前となってしまうことは、なんとも悲しいことですね。
消費者が正しい情報に基づき商品やサービスを選び、安心して購入できる環境こそが、経済活動の根幹と言えます。

《関連記事》
・消費者の東京都への悪質事業者通報、通販が5割超、誇大広告は健康食品関係が約2割
(東京都 悪質事業者通報サイトの通報概要(令和元年度))

・消費者からの広告表示に対する厳しい目 東京都「悪質事業者通報サイト」に大幅通報件数増加(東京都 2019年6月27日)

・JAROへの苦情、通販定期購入契約の苦情は減少せず。ネット広告への苦情二桁増続く (日本広告審査機構 2018年度の審査概況)

・ネット通販トラブル疑似体験や通報窓口設置 「消費者力」向上を目指す自治体の取り組み

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。