11月も半ばを過ぎ、そろそろ本格的な冬に向けて風邪やインフルエンザ対策が気になり始めるころですね。
そんな中、乳酸菌食品の広告が活発です。
特に目に留まったのは、11月に入ってオンエアされている大手食品メーカーM社の「〇〇(会社名)のこの乳酸菌」CMです!
目にされた方もいらっしゃることと思いますが、キャストに薬師丸ひろ子と賀来賢人を起用し、「『〇〇のこの乳酸菌』を含む食品により唾液の免疫力向上が新たに発見され、インフルエンザに有効なデータが確認できた」と明言しています。
前回の記事で、11月1日に出された健康食品「ブロリコ」に対する措置命令で、大手企業においても利用されている、健康食品の成分の研究コンテンツにより効能効果を啓発する広告手法が見直されるのでは、とお話ししたところでした。
しかし、このテレビCMが堂々とオンエアされているところを見る限り、事業者は全く意に介することなく広告展開を進めていると考えられます。
「〇〇のこの乳酸菌」CMでは、社名は明らかにしていますが、商品名や乳酸菌の具体的な成分名は明らかにしていません。これをもって、成分と商品とが一連の広告とみなされないという判断となるのでしょうか。
「〇〇のこの乳酸菌」という文言でネット検索すると、同社の乳酸菌の研究コンテンツの独立サイトページや同社の特定の商品の広告サイトが上位に表示されます。
「発酵乳・乳酸菌飲料の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」では、商品の取引において、「発酵乳・乳酸菌飲料が、病気の予防等について、効能又は効果があるかのように誤認されるおそれがある表示」は不当表示として禁止しています。
また、薬機法では食品の含有成分の説明により、その商品の医薬品的効能効果を暗示させることを禁じています。
CMでは試験データの映像に打消し表示として、「インフルエンザAに関する研究機関による報告であり、特定商品の効果を保証するものではありません。また、必ずしもすべての人に当てはまるものでもありません。」と小さく表示されていますが、その打消し効果が認められるとは思えません。
もし、このCM を消費者庁が放置するならば、「この広告手法ならOK」という判断基準が業界内の暗黙の了解事項となりかねません。
これまで消費者庁は、健康食品の効能効果に対する暗示的な表現を厳しく処分してきました。
消費者庁の動きを注視したいと思います。
◆発酵乳・乳酸菌飲料の表示に関する公正競争規約 平成30年10月29日施行
(発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会)
http://www.nyusankin.or.jp/knowledge/knowledge04.html
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