健康食品の通販、化粧品の連鎖販売取引に多い特商法違反。平成28年度の東京都による不適正取引の行政指導・処分

東京都では、不適正取引による消費者被害の拡大防止を図るため、消費生活センター等からの通知又は職権探知により、特定商取引法及び東京都消費生活条例に基づき、不適正取引を行っている疑いのある事業者に対し調査を行っています。
不適正取引と認めた場合には、行政指導又は行政処分(事業者名公表)を行います。

この取引指導事業は昭和63年度から実施されており、悪質事業者の取締り強化として、不適正取引に対する立入調査等の体制を強化し、業務の停止など厳格な処分を行い、警視庁の摘発にも協力しながら、悪質事業者を排除していくものです。

平成28年度の事業者指導及び処分の概要と主な事例についてご紹介します。(※1)

【事業者の行政指導等の結果(件数)】
平成28年度は、行政指導を98件、行政処分・勧告等を13件実施しました。
東京都特商法指導件数 (28年度)


【取引類型別の概要と主な不適正行為】
取引類型別で見ると、「訪問販売」が42件で最多、次いで「通信販売」26件、「連鎖販売取引」12件、「訪問購入」7件、「特定継続的役務提供」6件、「電話勧誘販売」「業務提供誘引販売取引」1件となった。
東京都特商法指導取引類型別 (28年度)

(*)連鎖販売取引:商品を買って販売組織に参加した会員が、同じように友人・知人を組織に加入させ、新たに会員になった人がさらに新しい会員を加入させ組織を拡大していく取引。マルチ商法、ネットワークビジネスともいう。
(**)業務提供誘引販売取引:仕事をあっせんすると誘い、あっせんする仕事のための商品やサービスを販売する取引。
(***)特定継続的役務提供:エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスで、一定期間を超えて、一定金額以上の金額を支払うサービスの提供。

【不適正行為事例】
訪問販売:

屋根工事、外壁工事、排水管洗浄、布団、新聞等について、有名店の名前を偽って訪問する、断っている消費者に無理やり勧誘する、契約書を消費者に渡さないケース。
(事例)
・「2,000円でエアコンの清掃ができます。」などと高齢者等に告げて訪問の約束を取りつけ、後日その消費者宅を訪問し、清掃後、キャンペーン価格等と称した価格を示して別の部分のハウスクリーニングの契約を締結させていた事業者に業務停止命令(3ヶ月)
・「換気口の点検に来ました。」等と設備点検を装い消費者宅を訪問し、「フィルターは洗ったら効果が無くなる。」などと嘘を告げて、換気口用フィルターを販売していた事業者に一部業務停止命令(6ヶ月)
・高齢者宅を訪問し「11%の利息がつきます。」などと事実と異なることを告げて、CO2排出権に関する差金決済取引とその取引に付随する投資一任サービス契約の勧誘等をしていた5事業者に対して業務停止命令(3ヶ月)
・消費者宅に訪問し「屋根の釘が何本も浮いています。」などと事実と異なることを告げて、屋根リフォーム工事を勧誘していた事業者に一部業務停止命令(6ヶ月)

連鎖販売取引:
化粧品、投資用学習商材、水素水生成器等について、病気が治るなどとウソをつく、会わせたい人がいると言い人気のないところへ連れて行く、「支払えない」と言うと借金をするよう強要するケース。
(事例)
「お茶しませんか。」などと呼び出した消費者に、旅行を楽しんで収入も得られるなどと書かれた書面を読ませて説明会に誘い出し、消費者が断っても複数の会員が執拗に勧誘して、旅行等会員権の連鎖販売を行っている事業者に一部業務停止命令(3ヶ月)

特定継続的役務提供:
エステ、日本語学校等について契約時に書面を渡していない、途中で解約したいと申し出ても解約できないケース。
(事例)
SNSで仲良くなった消費者をサロンに誘って無料でマッサージを行った後、消費者金融等で借入れをさせて高額なオイルマッサージ等の契約を結んでいた事業者に一部業務停止命令(12ヶ月)

電話勧誘販売:
福祉活動への協力等と言って本来の目的である書籍の販売について告げないケース。
(事例)
消費者宅に電話を掛け、「全国障害者福祉協会です。」などとあたかも福祉関係団体であるかのように告げて書籍の勧誘を行い、消費者に誤認させたまま、後日書籍及び請求書、さらには督促状を送付し、代金の払込みをさせる等により売買契約を締結していた事業者に対して、一部業務停止命令(3ヶ月)

通信販売:
健康食品、情報商材等について、返品方法についての記載が十分でない、消費者が勘違いするような広告を載せるケース。

訪問購入:
貴金属買取等について、消費者が勧誘を断っているにも関わらず勧誘する、貴金属の購入が目的であることを告げない等のケース。

業務提供誘引販売取引:
タレント登録・レッスンについて、クーリングオフはできないとウソを告げる、レッスン代の支払いのために収入等をウソの理由で申請してカードを作るよう指示する等のケース。

(※1)
平成28年度 不適正取引に係る事業者指導等の概要(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/f_tori/28shidou.html

特定商取引法及び東京都消費生活条例に基づく事業者処分情報
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。