「美白・美肌」「男性機能」「ダイエット」等、健康食品通販80品目中67品目に表示違反の疑い(28年度東京都健康食品試買調査)

東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善等を行っています。
平成28年度の調査では、消費者への注意喚起として、以下の事例が示されています。

【不適正な事例】
「ドライアイ、目の炎症や充血を抑える効果」
「物忘れ・認知症の予防に」
「カラダの不要なものを外へ排出」
「肥満成分の燃焼のサポート」

広告表示違反の傾向について、確認してみましょう。


●試買品目数の67%が法令違反の疑い
今回調査で購入した健康食品125品目のうち84品目で、試買品目数の67%に製品表示や広告に法令違反又は違反の疑いあり。
購入方法別では、店頭購入45品目中17品目、ネット購入80品目中67品目と、ネット購入品目での不適正な表示・広告の多さが特に目立つ。
前回27年度調査では、店頭購入46品目(内、違反品目29品目)、ネット購入80品目(内、違反品目74品目)で、ネット購入品の違反品目割合が上昇した。

また、2製品から医薬品成分が検出された。

注目されている製品テーマ(購入品目の多いもの)として、昨年度に引き続き、特に「美白・美容・美肌」「男性機能向上」「ダイエット効果」「抗糖化・エイジングケア」
試売調査_購入方法別_H.28

●表示違反が多い法律は、医薬品医療機器等法が突出
医薬品医療機器等法が66件と突出している。次いで、特定商取引法52件、景品表示法40件、食品表示法(保健事項)21件となっている。

製品テーマ別では、「美白・美容・美肌」では医薬品医療機器等法、景品表示法、特定商取引法、「男性機能向上」では特定商取引法、医薬品医療機器等法、景品表示法、食品表示法(品質事項・衛生事項)、「ダイエット効果」では医薬品医療機器等法での違反が目立つ。
試売調査_法令別_H.28

今回の調査で、違反又は違反の疑いがあるとみなされた表示です。
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●製品についての不適正な表示・広告の事例
健康増進法:
・健康の保持増進効果等に関する誇大な表示
「集中力・記憶力の低下を防ぐ効果があると言われている」「力強い肉体作り」
「運動後の効果的なリカバリーが期待できる」
・保健機能食品と紛らわしい表示
「機能性サプリメント」「機能性乳酸菌」「○○国の機能性食品」 景品表示法:
・表示の裏付けとなる合理的根拠が無く消費者に優良誤認させる表示
「ついてしまった肥満成分を燃焼」「1日たった1粒でウエスト-○cm!体重-○kg!」
「カラダの不要なものを外へ排出してくれる」「飲めば飲むほど『めぐり』が良くなりお肌・体にもイイ事づくし」 ・表示期間中に限り特別価格で販売という表示を継続し消費者に有利誤認させる表示
「お得に始められるのは今だけ!!」「今なら!期間限定のお得なキャンペーン実施中!」

医薬品医療機器等法:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
「アトピーのかゆみ・あせもの治療」「生活習慣病予防」「抗腫瘍作用」
「ADHDの改善をサポート」「偏頭痛持ちの方」
・身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当
「大脳を活性化して女性ホルモン・成長ホルモンを促す」
「鎮静作用」「脱毛抑制」

●法令で義務付けられている表示についての不適正な事例
食品表示法:
・一括表示の欠落
・製造者の氏名及び製造所の所在地が記載されていない
・新旧混在の表示
・表示文字が小さい
・名称が商品名で記載されている
・原料原産地名表示がどの原材料の産地を示しているのか不明確である
・栄養成分表示が正しく記載されていない
栄養成分を示唆する表記があるにもかかわらず、栄養成分表示がない
栄養成分表示の表示順が正しく記載されていない。
栄養強調表示をしているにも関わらず、栄養成分表示が「推定値」となっている。
・栄養機能食品の必要表示事項が正しく記載されていない
栄養成分の機能の表示が、一部欠落している。
機能を表示する成分の栄養素等表示基準値に占める割合が正しく記載されていない。

特定商取引法:
・返品に関する事項の表示が不明確である
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不適正な表示・広告を行った事業者に対しては改善等を指導しており、他の自治体が所管する事業者については当該自治体に通報し、指導等を依頼しています。

他にも東京都では、インターネット広告表示監視事業により発見された不当表示に対して改善指示を行ったり(※1)、消費者庁では、国と地方、地方の間での調査情報、被疑事案情報の共有を図ることを目的とした『景品表示法執行NETシステム』を、2012年4月から運用しています。

国や自治体の行う不適正表示の調査内容をチェックして、自社の広告を再確認することをお勧めします。

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健康食品の不適正な表示・広告にご注意!平成28年度健康食品試買調査結果
(2017.3.28 東京都福祉保健局生活文化局)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/28/12.html
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(※1)平成27年度インターネット広告24,000件監視結果公表(東京都)

<関連記事>
・平成27年度健康食品試売調査(東京都)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。