食品衛生法改正に向け「健康食品」健康被害防止規制強化の方向へ。リスクコミュニケーションを重視(厚労省 食品衛生法改正懇談会)

リスクの高い成分を含む「健康食品」による健康被害防止に向けて、国の規制が強化されそうです。
11月15日、厚生労働省が食品衛生法改正に向けた懇談会の取りまとめを公表しました。
懇談会において、健康食品の規制強化についての提言がなされた背景として、今年7月に起きた「プエラリア・ミリフィカ」の健康被害問題が引き金となった模様です。

食品衛生法では、健康被害発生時の対応として、健康に危害を及ぼす食品の「販売禁止措置」(第6条)と「暫定流通禁止措置」(第7条)の規定があります。6条の運用は、因果関係が明確であることが必要ですが、7条は因果関係が不明瞭な場合に適用されます。

過去にも、「コエンザイムQ10」「スギ花粉」「アガリクス」等の健康被害問題がありましたが、食衛法の販売禁止や暫定流通禁止の適用はありませんでした。
(営業の自由に対し大きな影響を与える等の理由から)

今回のプエラリア問題では、国民生活センターに、過去5年で不正出血など209件の危害情報が寄せられ、これを受けた厚労省の調査でも223件の被害事例が明らかになりました。
ただ、本件も食衛法の販売禁止や暫定流通禁止の執行には至らず、消費者への注意喚起と事業者への通知による安全性の対策強化のみ。このため委員の問題意識が健康食品の安全対策の不備に集中したといえます。

「食品衛生法改正懇談会」の報告書より、健康食品に関する主な提言内容を確認します。


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「食品衛生法改正懇談会」の報告書を取りまとめました
(厚生労働省 平成29年11月15日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000184683.html
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《主な提言内容》
・健康被害防止の観点から、いわゆる「健康食品」等について、法的措置による規制強化も含めた対策の検討

・対策の実効性の観点から、リスクの高い成分、抽出・濃縮された(カプセル・錠剤等の形状)特定成分を多量に摂取する可能性がある食品に、対象を限定することも考慮

・長期的な課題として、食経験のない食品や摂取方法(濃縮等)については上市前にリスク評価を行う仕組みを検討

・適切な規制活用のために、行政がいわゆる「健康食品」の製造事業者を把握する仕組みを設ける

・製造工程管理や原材料の安全性の確保のための、GMP(適正製造規範)の義務化の検討

・事業者から行政への報告の義務化を含む、健康被害の情報収集・処理体制整備

・収集した健康被害情報のうち、特に重篤と考えられるものについては、因果関係が明らかでなくとも、迅速に情報提供や注意喚起を行う

・インターネット上の情報について監視。その際、いわゆる「健康食品」は食品であって、医薬品のような効能効果はなく、医薬品の代わりではないという前提を特に強調すべき。

いわゆる「健康食品」だけでなく、保健機能食品も視野に入れた健康被害防止の国の取り組みが本格化しそうです。
品質管理の側面だけでなく、消費者に対するリスクコミュニケ―ションも重視される中、デメリットよりも効能効果に着目しがちな広告表示のあり方にも影響を与えることになりそうです。

《関連記事》
・プエラリア健康食品の健康被害問題の課題と今後の対応
・特別用途食品、プエラリア健康食品の監視指導が重点に。年末一斉、食品表示の取締り。(平成28年12月 消費者庁)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。