行政の広告監視動向をキャッチするヒント 「オーガニック」「天然由来」シャンプー、石けんの表示調査(平成26年度「東京都消費生活調査員調査」)

今回は、行政の広告監視動向をキャッチするヒントをご紹介します。

東京都では、平成14年度から開始した事業「東京都消費生活調査員制度」として、食品、生活用品、サービス等の表示や計量に関する法律の遵守状況などの調査を都民との協働により行っています。
調査結果は、事業者に対する指導、行政施策の基礎資料等に活用されています。

◆東京都消費生活調査員制度とは
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/chousa/t_chosain/

表示・広告調査では、200名の調査員が年3回、商品やサービスの店舗や広告等における表示の実態について、景品表示法等に基づき調査を行っています。
景表法規制においては、広告に表示されている事実や「印象」「期待感」と、実際のものが著しく乖離していることが問題となるため、一般消費者の目線が判断基準となります。
このような調査結果をチェックすることで、不当表示の判断基準を確認する一助となるでしょう。

平成26年度調査結果より、「シャンプー、石けん等の表示の調査」概要を紹介します。

【調査目的】
シャンプーや石けん等についての広告で、「自然派」や「オーガニック」、「天然由来」などの表示をしているチラシやカタログなどの媒体を調査し、消費者がどのような認識を持っているか、また、消費者に誤解を与える表示がないか、調査を実施した。

【調査対象】
新聞、チラシ、雑誌・通販カタログ等で、以下の表示をしているシャンプーや石けん等の広告のうち、表示の根拠があいまいなもの、または、二重価格表示や「期間限定」セール等の表示をして、お得感を強調しているものを調査の対象とした。
1) オーガニック
2) 天然(自然)由来
3) ノンケミカル
4) ヘアケア商品のダメージケアに関する表示
5) ヘアケア商品の育毛や抜け毛予防に関する表示
6) 石けんやボディソープの香りや消臭に関する表示
※ペット用は「調査対象外」
消費生活調査員(シャンプー・石鹸分類)

【調査結果】
調査対象広告172件のうち、不当な表示と思われると報告された表示は131件。
調査員から「適正表示ではない」と判断して報告された9事業者の表示について、景品表示法(優良誤認および有利誤認)に抵触するおそれの有無について調査を行い、そのうち8事業者に指導を行った。
消費生活調査員(シャンプー・石鹸)

【優良誤認のおそれがあった表示例】
シャンプー(1):
「天然素材と機能性の融合」「機能する天然素材」という表示に、複数の消費者が天然の根拠があいまい、意味不明などの不信感を示した。
天然由来であることを標榜する場合には、「何が」「どのように」機能するのかの根拠が必要であり、優良誤認を招かないために表現に留意するよう指導した。

シャンプー(2):
商品全部がオーガニックなのか、成分の一部がオーガニックなのかが判然としないが「オーガニック」「100% Fruits Organic Hair Care」と表示している。
「10種類のオーガニック認定フルーツ由来成分をたっぷり配合」とも書いているが、根拠なく表示すると優良誤認に抵触するおそれがある。
合理的根拠に基づいた表現への改善を促し、表示の再検討を指導した。

石けん:
「完全無添加」「自然由来」という表示をしているが、成分表示があいまいで、何が無添加なのか、何が由来の素材なのかが明確でない。優良誤認に抵触するおそれがあるため、完全無添加にはその根拠が必要であること、また、当該商品に含まれる成分が本当に自然由来なのかの根拠が必要であることを説明し、表示の再検討を指導した。

シャンプー等における「オーガニック」等の表示の現状と課題:
●何がオーガニックでどのように天然・自然であるのか、表示からは判然としない製品が多い
消費生活調査員によって不当な表示と思われると報告された表示131件のうち、約半数である62件において、その理由が「オーガニック」等の根拠があいまいと回答している。

●「オーガニック」「天然・自然」に関する定義がなく、消費者が混乱し、誤認を招く原因に
消費者は「オーガニック・天然・自然・ノンケミカル」等と表示された製品は、そうでないものに比べて、身体に害がない又は少ないというイメージを持っている。
しかしながら、国内においては、ヘアケア商品や石けんなどについて「オーガニック」「天然・自然」に関する明確な定義はなく、医薬品医療機器等法の考え方を参考にして表示者が自由に表示を行っているのが現状である。 「オーガニック」が、海外の認証機関の認証を受けた成分の使用を示しているのか、「天然由来成分」はどのように調達した成分が使用されているのか、などが事業者の考え方によって表示が異なり、消費者が混乱し、誤認を招く原因にもなっている。

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平成26年度第3回表示・広告調査結果「東京都消費生活調査員調査」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/chousa/t_chosain/documents/26bkekka_3.pdf
調査期間:平成26年12月5日~同年12月18日
調査方法:
消費生活調査員の身近にある新聞広告や新聞折り込みチラシ、雑誌広告、通販カタログやチラシ等の広告媒体において、シャンプーや石けん等の広告に「自然派」や「オーガニック」等と表示したものについて、広告全体から受ける印象が不適正な表示と思われるかどうかを判断してもらった。
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  1. 2016年 2月 25日

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。