前回ご紹介した(社)日本通信販売協会(JADMA)が2014年に実施した新聞折込チラシの通信販売広告実態調査結果(※)より、今回は表示に問題のあった個別広告事例を解説します。
調査報告書では、「一部不適正な表示が見られ、改善が必要な広告」「通販に関連する法令に抵触する怖れのある広告」について紹介されています。
違反内容は過去調査と大きな違いは見られませんでした。
≪問題広告事例≫
事例1:ありえない「通常価格」、「景品の金額」(オイルヒーターの二重価格表示広告)
事例2:医療関係者の推奨(シミ専用クリームの効能・効果訴求広告)
事例3:社名・所在地不明(ミシンの限定数量販売広告)
事例4:簡単に痩せられる(ダイエットサプリ広告)
事例5:根拠不明な「No.1」表示
《通販に関連する法令に抵触する怖れのある広告》
・特商法の記載事項や返品特約が不記載であり、意図的とも取れる広告。
・商品の説明について、通販関連法令に抵触するおそれのある表示が散見する広告。
・意図的に消費者の誤認を誘発しようとするような表示が散見する広告。
事例1:ありえない「通常価格」、「景品の金額」(オイルヒーターの二重価格表示広告)
JADMAコメント:
・2台目までは単価6,980円であるが、その後は29,800円としている。即ちこの商品の通常価格は29,800円ということである。したがって3台買うと合計25,760円ということになる。しかし、このような買い方をすることは決してありえず、実質通常価格は存在しないのではないか。
・「買上げ顧客にもれなく高級毛布プレゼント」とあり、毛布の価格は5,980円と表示。
二重価格表示の注意点~セール時の価格表示~
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事例2:医療関係者の推奨(シミ専用クリームの効能・効果訴求広告)
JADMAコメント:
・化粧品の広告表示においては、医療関係者が登場して商品を推薦することは避けなければならい。皮膚科医が登場、「安全・安心」であることを訴求している。
・コピーの中でも「シミが薄くなった」と医師と絡めて効能・効果を表示している。
《一部不適正な表示が見られ、改善が必要な広告》
・特商法の記載事項や返品特約の一部記載漏れが散見される広告。
・商品の説明について、景表法や薬事法等の関連法令に抵触はしていないものの疑念を生じさせる広告。また合理的・客観的に説明がなされるかが疑問視される広告。
・消費者の視点に立った場合に、誤認を招きかねない表示が一部みられる広告。
事例3:社名・所在地不明(ミシンの限定数量販売広告)
JADMAコメント:
・屋号のみで正式社名が未記載
・ミシンの機能・性能を知ることはできず、消費者が安心して購入するに足る情報が不足。
事例4:簡単に痩せられる(ダイエットサプリ広告)
JADMAコメント:
・発酵サプリを食することで痩せられると表示し、この商品を使用することのみで「簡単に痩せられる」とイメージ訴求している。
・誇張された「個人体験談」を中心に効能・効果を訴求する構成となっているのが特徴的。
事例5:根拠不明な「No.1」表示
JADMAコメント:
・期間が不明、その日だけの1位、どの商品ジャンルの1位なのかわからない、自社内だけでカウントしたデータ等。
他社広告でやっているから大丈夫ということではなく、正しい法律理解と消費者にわかりやすく信頼される広告制作を心がけたいものです。
※
通信販売取引改善のための通販広告実態調査 (2014年度調査)
(社)日本通信販売協会 JADMA NEWS
《関連記事》
求められる折込チラシの通信販売広告改善、商品不適切表示は約3割
(JADMA「平成25年度 通販広告実態調査(新聞折込チラシ編)」)
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