個別学習指導の比較広告に景品表示法による処分です。
消費者庁は3月2日に、学習塾を運営する(株)5コーポレーション(広島市)が提供する個別指導の料金表示に有利誤認による措置命令を行いました。
最近、不適正な「No.1」表示が問題視されているところですが、他社との比較という観点では「比較広告」にも注意が必要です。
処分の内容と比較広告の注意点を確認します。
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株式会社5コーポレーションに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2023年3月2日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/031751/
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【違反内容】
対象役務:
「毎日コース(定額)」と称する個別指導サービスのうち、中学1年生を対象とするもの
《有利誤認表示》
表示媒体・表示期間:
自社ウェブサイト:2022年4月1日、5月2日、5月27日
表示内容:
「他の個別指導塾との料金比較表」
(自社及び他の事業者がそれぞれ提供する個別指導の月謝や指導時間数等に関する比較表)
記載内容:
「お月謝(中1)」、「指導時間数(月あたり)」、「定期テスト対策」の各項目について、
「毎日個別塾5-Days」として、
「19,800円(平日週3から週5回まで定額)」、「月20時間+α可能(1時間あたり@835円)」、「追加料金なし」
「他の個別指導塾」として、
「22,000円(指導回数が増えれば月謝は積上)」、「月8時間(1時間当たり@2,500円)」、「追加料金あり(1時間あたり単価×回数の積上)」と記載。
「他個別指導塾との授業料比較イメージ」
(自社及び他の事業者がそれぞれ提供する個別指導の月謝を比較したグラフ)
記載内容:
「お月謝3万円の差が年間にすると36万円になります」、「他の個別指導塾をご利用の場合、回数を増やせば増やすほど、当然ながらお月謝は高くなります。毎日個別塾5-Daysでは、週5回まで定額料金でお通いいただけ、通えば通うほどお得になります。」と記載。
あたかも、本件個別指導は、1時間当たりの授業料金が835円であり、また、本件個別指導と同等の条件で提供されている他の事業者の個別指導に比して月謝が安いかのように表示していた。
実際:
本件個別指導の1時間当たりの授業料金は1,188円であり、また、比較対照とした他の事業者の個別指導の月謝は、本件個別指導と同等の条件のものの月謝ではなかった。
【表示例】自社ウェブサイト
商品比較は公正な条件で
本件の比較広告が不当表示とみなされたポイントは、比較対象とした他社サービスが自社と同等の条件のものではなかった点です。
比較広告において、現在販売されていない商品や、社会通念上又は取引通念上、同等のものとして認識されていない商品を比較対象商品に選ぶのは認められません。
比較広告は有効な広告手法ではありますが、優良誤認、有利誤認につながらないよう、注意が必要です。
「比較広告」を行う際の景品表示法上の注意点について、以下の記事で解説しています。
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家庭教師・塾、講座関係の過去の措置命令事案においては、優良誤認では「満足度1位」「期間限定キャンペーン」「受講生の合格実績」「教師登録数」「講師出身校」、有利誤認では「解約料」「二重価格表示」などによる違反が多く見られます。
ご注意ください。
≪参考記事≫
・オンライン個別学習指導のバンザン、不適正な「満足度1位」と期間限定キャンペーンに景表法措置命令。(消費者庁 2023年1月12日)
・資格取得講座の二重価格と期間限定キャンペーンに有利誤認。「未来ケアカレッジ」のEE21に措置命令 (消費者庁:2022年3月24日)
・埼玉県、家庭教師派遣(株)ワン・ツー・ワンに景表法措置命令。合格率や教師登録数、解約料等の表示に誤認認定 (埼玉県 2020年9月14日)
・日本教育クリエイト 介護・医療事務講座の「通常」価格表示に有利誤認措置命令!(消費者庁:平成29年5月19日)
・学習塾(株)進学会、講師出身校表示に景表法 優良誤認措置命令(消費者庁 平成26年 5月20日)
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