キリンビバレッジの果実ミックスジュースパッケージ原材料表示に優良誤認。誤認排除措置は?(消費者庁 2022年9月6日)

消費者庁は9月6日に、清涼飲料の製造及び販売事業者キリンビバレッジ(株)が販売する果実ミックスジュースのパッケージ表示に対し、景品表示法(優良誤認)の措置命令を行いました。

原材料の98%程度はぶどう、りんご、バナナの果汁を使用しており、メロン果汁は2%程度しか使用していないのに、大部分がメロン果汁と思わせるパッケージにしたのは、優良誤認に当たるとした処分です。
同社は、措置命令を前にパッケージを変更し、同商品の販売を継続していますが、社告掲載などの「誤認解消措置」(※)は、まだなされていません。(2022年9月12日時点)
課徴金の側面から、対応を考察してみます。

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キリンビバレッジ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について 
(消費者庁 2022年9月6日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160310premiums_1.pdf
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【違反内容】

対象商品:
「トロピカーナ 100% まるごと果実感 メロンテイスト」と称する果実ミックスジュース

表示媒体:容器

表示期間:2020年6月9日から2022年4月13日までの間

表示内容:
「厳選マスクメロン」、「Tropicana® REAL FRUIT EXPERIENCE まるごと果実感」、「100% MELON TASTE」等と記載することにより、あたかも、対象商品の原材料の大部分がメロンの果汁であるかのように示す表示をしていた。

(消費者庁発表資料より抜粋)

実際:
原材料の98パーセント程度はぶどう、りんご及びバナナの果汁を用いており、メロンの果汁は2パーセント程度しか用いていないものであった。


キリンビバレッジは措置命令の公表日9月6日と同日付で自社HPに謝罪文を掲載し、次のように述べています。

お客様に誤解を与えるようなパッケージ表示を行ったことに対し、当社商品をご愛顧いただいているお客様、お取引先様をはじめとする関係者の皆さまには、多大なご迷惑、ご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。
なお、現在販売中の商品は既にパッケージ表示を変更しており、今回の措置命令の対象外です。
1.措置命令の対象商品
「トロピカーナ100% まるごと果実感 メロンテイスト 900ml 紙パック(以下 本商品)」
賞味期限が2022年5月3日以前の商品が対象
※2022年5月4日以降の賞味期限の商品は、パッケージ表示を変更しているため措置命令の対象外

※なお、今回の措置命令は、パッケージ表示においてお客様に実際のものよりも著しく優良であると示す表現があった、という指摘となります。中味の品質には問題はございません。

景品表示法に基づく措置命令に関するお詫びと再発防止策について
(キリンビバレッジ株式会社 2022年9月6日)
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/0906_02.html

修正されたパッケージデザインがOKか否かは不明

消費者庁は、違反認定について、個別の表示を取り上げて認定したものではなく、表示全体から総合的に判断したとしています。
現在、商品は「100% MELON TASTE」の表示を「100% FRUITE JUICE」とし、りんごやブドウの画像を目立たせるなど、パッケージの表記を変更して販売されています。(商品名は変更なし)
しかし、変更後の表示に対して、景表法の仕組みとして、今ある表示に問題ないことのお墨付きを与えるものではないことから、適法か否かのコメントはできないとしています。

パッケージリニューアル後の「トロピカーナ 100% まるごと果実感 メロンテイスト」
(トロピカーナブランドサイトより抜粋 http://www.k-tropicana.com/

遅れる「誤認解消措置」。課徴金への影響は

2020年6月9日の本商品販売以降、2022年4月13日までの約2年間弱の期間において当該パッケージで販売され、パッケージデザイン変更時においても優良誤認表示であったことは消費者には知らされていません。その後、措置命令を受けて謝罪文の公表はされましたが、社告掲載などの「誤認解消措置」(※)は、まだなされていません。(2022年9月12日時点)
1度飲んで味が気に入った消費者は、誤認したままパッケージデザイン変更後も購入している可能性があります。

※一般消費者の誤認のおそれの解消措置(誤認解消措置)とは
事業者が、課徴金対象行為に関する表示が優良・有利誤認に該当する表示であることを、日刊新聞紙に掲載する方法等により、誤認解消するために一般消費者に周知する措置のこと。

課徴金の側面から考察すると、課徴金額の算定基準となる「課徴金対象期間」は、課徴金対象行為(不当表示行為)をやめて以降も取引が継続していた場合、不当表示行為をやめてから最大6カ月先までが対象となり、最大で3年間とされています。
「課徴金対象期間」をできるだけ短縮するには、不当表示行為をやめると同時に商品の取引を行わないようにすること、それができない場合は自主的な社告掲載などの「誤認解消措置」を取る必要があります。(法第8条第2項)

本事案については、当該商品は措置命令確定前に不当表示行為をやめているものの、販売は継続していますので、できるだけ早く誤認解消措置を取ることが望ましいでしょう。
また、今回の謝罪文を見る限り、返金対応は行わない模様です。すぐに消費される食品であり、販売期間も長期にわたることから、返金対応は困難なことが想像できますが、消費者に対して誠意のある対応が求められます。

なお、同社は、9月13日に発売予定していた「トロピカーナ ざくろ&プルーンテイスト」の発売を中止すると発表しています。
本処分を受けて、パッケージ表記を精査して改善を図る必要があるとの判断によるものとしています。

「トロピカーナ ざくろ&プルーンテイスト」
(キリンホールディングス提供)

さて、このパッケージを見て、消費者はザクロやプルーン果汁がどのくらい含まれているとイメージするでしょうか。

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「トロピカーナ ざくろ&プルーンテイスト」発売中止について
(キリンビバレッジ株式会社 2022年9月8日)
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/0908_01.html
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≪関連記事≫
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。