T.Sコーポレーション男性用育毛剤のアフィリエイト広告に、消費者庁による初の景表法措置命令 (消費者庁 2021年3月3日)

アフィリエイト広告に対する監視が強まっています。

3月1日に、シミ消し化粧品のアフィリエイト広告に、初の消費者安全法による注意喚起が行われたばかりですが、今回3月3日に、消費者庁によるアフィリエイト広告の表示に対する初の景品表示法違反(優良誤認) の措置命令が出されました。

育毛剤等の販売業者(株)T.Sコーポレーション(東京都港区)に対し、発毛効果を標ぼうする男性用育毛剤に関する表示に不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
男性用の育毛剤の広告に対する処分も初めてです。

過去に、消費者庁によるアフィリエイト広告を行っていた事業者への措置命令には、2018年6月のブレインハーツ事案がありました。その違反認定は自社ECサイトに対するもので、アフィリエイトサイトの記事内容についての違反認定には至っていませんでした。
それに対して、本件、T.Sコーポレーションについては、アフィリエイト広告そのものを対象表示として違反認定されたもので、自社Web サイトは違反認定されていません。

処分のポイントについて確認します。

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株式会社T.Sコーポレーションに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2021年3月3日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_210303_1.pdf
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


●違反概要
【対象商品】
「BUBKA ZERO」と称する育毛剤及びBUBKA ZEROを含むセット商品の各商品

【表示媒体・期間】
アフィリエイトサイト①:2019年9月25日
アフィリエイトサイト②:2019年7月30日

【違反内容】
アフィリエイトサイト①
「『有名大学がマウス実験で実証』 医療関係者も勧める『90%がフサフサになった育毛剤』がヤバイ!」、毛髪が薄い頭頂部の画像及び毛髪が濃い頭頂部の画像を矢印で結んだ画像と共に、「悩んでいたのがウソのように、たった2ヶ月で髪がフサフサになったんです!!!今ではもう頭皮が見えないくらい生えるので、理髪店に行っても『髪の量多いですね~』と言われるように(笑)抜け毛が嫌だったシャンプーもガシガシ洗えるし、まるで20代に戻ったみたい です。」等と表示。
あたかも、本商品を使用するだけで、本商品に含まれる成分の作用により、短期間で、外見上視認できるまでに薄毛の状態が改善されるほどの発毛効果が得られるかのように示す表示をしていた。

違反表示例:
T.Sコーポレーション_1
(消費者庁資料より引用)

アフィリエイトサイト②
「【新常識!薄毛の原因は●●だった】世界的な科学誌が推奨の毛髪再生法 有名医科大のマウス実験で実証済!試した90%以上がボリューム復活!?」、「長年ハゲとバカにされてきた私がたったの1か月で 」、並びに「before」と記載のある毛髪が薄い頭頂部の画像及び「after」と記載のある毛髪が濃い頭頂部の画像と共に、「『カツラ!?』同僚から疑われましたw」と表示。
あたかも、本商品を使用するだけで、本商品に含まれる成分の作用により、短期間で、外見上視認できるまでに薄毛の状態が改善されるほどの発毛効果が得られるかのように示す表示をしていた。

実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

●本商品に含まれる成分の作用
本商品にはマジョラムエキスが配合されており、頭皮に浸透させることで発毛促進のための17型コラーゲンが生成されると表示されていました。
しかし、消費者庁の調査によると、17型コラーゲンが減少することで老人性薄毛が起きるという研究結果があるだけで、当該成分が17型コラーゲンを増やすというエビデンスはなく、発毛再生効果のエビデンスもありませんでした。また、頭皮に塗布することで17型コラーゲンを増やす成分は見つかっていないということです。

違反表示例:
T.Sコーポレーション_2
(消費者庁資料より引用)

●打消し表示について
「※イメージです」、「※個人の感想です。」等と表示
していたが、当該記載は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。

●広告主にアフィリエイト広告「自ら決定」認定
T.Sコーポレーションは、ASPを通じて、本件アフィリエイトサイトの表示内容を自ら決定しているとみなされました。
消費者庁の説明によると、アフィリエイト広告を制作していたのはアフィリエイターであったが、T.Sコーポレーションは表示内容を事前、事後に確認していました。
なお、確認していなければ不当表示とならないわけではなく、確認の有無だけでなく、アフィリエイト契約の内容、報酬の支払い方法、どのようなやりとりをしているかも含めて個別に判断されるとしています。

本事案は、医薬部外品の育毛剤ですので、「育毛、薄毛、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進」に対する効能効果は薬機法上認められています。
しかし、商品に含まれる成分(マジョラムエキス)の作用に関する表示のエビデンスが認められず、表示された短期間での薄毛の改善効果について優良誤認と認定されました。

アフィリエイト広告が違反認定された措置命令事案には、過去に、サプリメントの痩身効果に対するニコリオ事案 (埼玉県 2020年3月31日)があります。
また、大阪府警による健康食品通販会社ステラ漢方(株)及び、広告代理店、委託先の制作会社の社長や従業員の薬機法違反逮捕が、2020年7月にあります。

・健康食品「肝パワーEプラス」の記事態広告アフィリエイトで薬機法違反。広告主、広告代理店、制作会社社員が同時逮捕

アフィリエイト広告に対する国による景表法の措置命令が下され、いよいよアフィリエイト広告の適正化に本格的な法執行が進みそうです。
今後、広告主となる事業者やASPにはアフィリエイト広告の管理責任が強く求められていくことになりそうです。

《参考記事》
・アフィリエイト・ドロップシッピング運営上の景品表示法上の留意事項

・アフィリエイトサイトの表示規制。消費者庁の本気度

・ネット上の健康食品の成分に関する記事体広告、薬機法に抵触する境目は?

・アフィリエイトサイトの不適切な表示の法的責任主体は?

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。