「滝風イオンメディック」のアップドラフトに景表法措置命令。ウイルス除去、空間除菌、疾病予防効果に優良誤認(消費者庁:2021年6月17日)

消費者庁は6月17日、健康機器等の製造販売事業者(株)アップドラフト(仙台市)に対し、同社が販売する空気清浄機の表示について、景品表示法違反の措置命令を行いました。

消費者庁及び公正取引委員会事務総局東北事務所の調査による事案です。

同社は、商品のカタログや自社ブログに、商品によって発生するマイナスイオンの作用によるウイルス除去効果、空間除菌効果、各種疾病改善効果を表示していましたが、優良誤認表示とみなされました。

今回の違反も不実証広告規制(※)を用いた処分となっており、表示の裏付けとなる「合理的な根拠」が認められませんでした。また、一部の表示には、「商品の体感、効果には個人差がございます。」と打消し表示をしていましたが、打消し効果は認められませんでした。

アップドラフトは、不適切表示を修正し「製品の性能には全く問題がなく、製品リコールの命令もないので安心して使用できる」として、返金対応は行っていません。

違反概要と、措置命令に対する同社の対応について確認します。


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株式会社アップドラフトに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2021年6月17日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024604/
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。

【事業者の概要】
(株)アップドラフト
仙台市、健康機器等の製造販売業等

【対象商品】
「滝風イオンメディック」と称する商品

【表示媒体・期間】
カタログ:遅くとも2019年5月1日頃から2019年9月30日までの間
「Ameba」サイトにおける「滝風イオンメディック」と称する自社ブログ:
2019年11月21日、11月27日、12月11日

【違反内容】
カタログ:
あたかも、本件商品は2400万ions/㏄以上のマイナスイオンを発生させ、商品を使用すれば、商品によって発生するマイナスイオンの作用により、6畳から最大80畳までの空間において、浮遊するインフルエンザウイルスを除去及び付着するインフルエンザウイルスを不活化する効果、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌及びレジオネラ菌を除菌する効果、アレルギー物質、浮遊ウイルスを分解、除去する効果並びに衣類の付着臭を分解、除去する効果が得られるかのように示す表示をしていた。

表示例(カタログ 赤枠部分):
(消費者庁公表資料より引用)

自社ブログ:
あたかも、本件商品は2400万ions/㏄以上のマイナスイオンを発生させ、商品を使用すれば、以下の効果が得られるかのように示す表示をしていた。
・白血球が大きくなって、免疫力が高くなる効果が得られる
・最大80畳までの空間において、付着臭等を消臭する効果、血圧を下げる効果、電磁波を除去する効果、血流を促進する効果、活性酸素を除去する効果、関節炎を改善する効果、糖尿病を改善する効果、慢性肝炎を改善する効果、慢性腎不全を改善する効果及び動脈硬化症を改善する効果が得られる
・室内に浮遊する花粉を吸着、除去する効果並びに花粉症による涙目、かゆみ、鼻水及びくしゃみを解消する効果が得られる

表示例(自社ブログ 赤枠部分打消し表示):
(消費者庁公表資料より引用)

実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

●打消し表示について
自社ブログの表示について、「「商品の体感、効果には個人差がございます。」と表示していましたが、当該表示は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。

●措置命令に対するアップドラフトの見解と対応
アップドラフトは、ホームページ上で発表した措置命令に対する謝罪告知において、次のように説明しています。

・令和元年10月以降のカタログでは指摘を受けた箇所を訂正し、更に問題の指摘されたブログは適宜削除するなど対応している。
・弊社製品につきましては、日本機能性イオン協会技術委員会にて最高クラス6の性能を有している。
・製品の性能には全く問題がなく、あくまで指摘を受けたのは表示の部分(2年前のカタログ等)であり、製品リコールの命令もない。

お詫びとお知らせ ((株)アップドラフト 2021年6月19日)
https://up-d.jp/
https://up-d.jp/%e3%81%8a%e8%a9%ab%e3%81%b3%e3%81%a8%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b/

アップドラフトが作成した商品カタログや自社ブログに関しては不適切表示を修正していたとしても、本件商品を消費者に販売している事業者の販売サイトには、今回指摘を受けた表示内容が未修正のまま表示されているのが散見されました。

6月11日に優良誤認認定となった「首下げ型の空間除菌製品」の店頭POP表示では、小売業者である(株)ププレひまわりが自社で作成した広告物として処分となりました。(製造業者においては、不適切表示は認められなかった)

・「消費者庁公認」を謳った首下げ型の空間除菌製品。ドラッグストアチェーンのププレひまわりの店頭POP広告に景表法措置命令(消費者庁 2021年6月11日)

景表法の規制対象となる事業者は、「表示内容の決定に関与した者」です。
「表示内容の決定に関与」とは、
・自ら又は他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した場合
・他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合
・他の者にその決定をゆだねた場合
となっており、不当表示の故意又は過失があることは要しないとされています。

今回のケースにおいて、仮に製造業者(アップドラフト)の誤った説明に基づいて小売業者が不当表示と知らずに販売サイトに表示していたとしても、小売業者は景表法の処分を受ける可能性はあります。
(措置命令が出された後に関しては、「過失」とはみなされない可能性もあります)

また、アップドラフトは「製品の性能には全く問題がなく、製品リコールの命令もないので安心して使用できる」としていますが、広い空間でのウイルス除去、除菌効果、疾病改善効果等があるという広告を信じて、1台24万円(税抜)で販売されていた商品を購入した顧客に対して返金対応しないのは、誠意のある対応とはいいかねます。

●ウィルス対策商品の処分続く
新型コロナウイルス対策を謳った「マイナスイオン発生器」に対する措置命令は、今年3月にも(株)GSDに出されています。

・コロナ予防効果広告、GSDのマイナスイオン発生器に景表法措置命令(消費者庁 2021年3月31日)

コロナ禍以前には、2016年1月に、PM2.5対応のプラズマイオン空気清浄機を販売していた(株)ユーコーに対して、措置命令が出されています。

・「PM2.5対応プラズマ空気清浄機」、通販のユーコーに景表法措置命令(消費者庁 平成28年1月26日)

イオン発生性能に関して客観的に実証されたものであると同時に、商品による効果や作用を訴求する場合には、その内容に適切に対応した客観的根拠が求められます。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。