消費者庁は、2019年12月26日、化粧品、健康食品(ダイエットサプリメント)等を販売する通販事業者の(株)TOLUTO(2019年9月30日付でe.Cycleから商号変更)と同社の前代表取締役に対し、特定商取引法違反で3カ月間の業務停止を命じました。
また、業務停止命令と併せて、今回の違反行為の発生原因について調査分析の上検証することなどを指示されています。
違反の内容は、不適切な「定期購入」契約に関する表示に対するものです。
定期購入契約については、12月10日に、健康食品などを販売する(株)財宝(鹿児島県)の電話勧誘販売に対して、特定商取引法に基づく指示処分が出されています。
・定期購入契約のアウトバウンド営業に注意!健康食品販売の(株)財宝に特商法で指示
(消費者庁 2019年12月10日)
処分の内容を確認します。
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特定商取引法違反の通信販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示並びに
当該業者の前代表取締役等に対する業務禁止命令(3か月)について
(消費者庁 2019年12月26日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_191226_01.pdf
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【事業概要】
取扱商品:「REGRE リンクルセラム」と称する化粧品、健康食品(ダイエットサプリメント)等
取引類型:通信販売 ウェブサイト「ERUFLE」
代表者:代表取締役 佐々木 信一
【認定した違反行為】
同社は、次のとおり、特定商取引法の規定に違反する行為をしており、通信販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。
顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為
(特定商取引法第14条第1項第2号の規定に基づく施行規則第16条第1項第1号及び第2号)
少なくとも2019年5月16日から同年11月7日までの間、申し込みの最終段階の画面上において、
(1)定期購入契約の主な内容である、2回目以降に引き渡される商品の代金支払い時期を表示していなかった。
→
定期購入契約の申し込みとなることを容易に認識できるように表示していなかった。また、申し込みの内容を容易に確認し、訂正できるようにしていなかった。
(施行規則第16条第1項第1号及び第2号)
(2)申し込み内容について、申し込みを完了させるボタンよりも下に、そのボタンの文字の大きさに比べて著しく小さい文字で表示していた。
また、当該表示部分を多数回スクロールしなければその内容を最後まで確認することができないように表示しておきながら、その表示部分にスクロールバーを表示していなかった。
→
顧客が申し込み内容を容易に確認・訂正できるようにしていなかった。
(施行規則第16条第1項第2号)
【表示例】
【処分の内容】
(1) 業務禁止命令
内容:
通信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
1)同社の行う通信販売に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
2)同社の行う通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
3)同社の行う通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。
期間:
2019年12月26日から2020年3月25日まで(3か月間)
業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。
(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築して、これを同社の役員及び従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
2.同社は、業務停止命令に係る業務を再開するときは、同社の行う通信販売に係る表示について、特定商取引法の各規定を遵守した表示をすること。
上記指示に違反した者には、100 万円以下の罰金、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。
また、平成29年12月1日に施行された特商法の改正では、刑事罰の強化として以下が盛り込まれています。
●次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者への対処
・業務停止を命ぜられた法人の「取締役」や「取締役と同等の支配力を有すると認められるもの等」に対して、停止の範囲内の業務を、新たに法人を設立して継続することを禁止する。
⇒違反した場合、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金<新設>
本件においても、株式会社TOLUTOの前代表取締役(2019年10月16日付で退任)が、同社に対し取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者であり、かつ、同社が停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしている者に該当するとして、3か月間、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁じる処分が下っています。
通販の定期購入契約トラブルが増加する中、取り締まりは、今後、一層強化される見込みです。
購入手続き画面表示のOK、NG具体例など、以下の記事も併せてご確認ください。
・通販の定期購入契約、購入手続き画面表示の具体例を解説(特定商取引に関する法律施行規則改正(平成29年12月1日施行))
・国セン3度目の注意喚起。監視強化必至の通販定期購入の注意点とは
・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)
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