イマジン・グローバル・ケア、「ブロリコ」成分の研究コンテンツによる広告手法に景表法措置命令(消費者庁:2019年11月1日)

11月1日、消費者庁は、健康食品の製造、販売事業者イマジン・グローバル・ケア(株)に対し、成分による免疫力向上、疾病の治療又は予防の効果を謳った表示について、景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を行いました。

「成分」の効能効果をうたったウェブサイト、冊子、チラシと、最終商品とを結び付かせる手法について、一体となる広告とみなされました。

優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
また、チラシに掲載された体験談に対する打消し表示は、認められませんでした。

処分のポイントについて確認します。

———-
イマジン・グローバル・ケア株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成31年11月1日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/017233/
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


●違反概要
【対象商品】
「ブロリコ」と称する食品

【表示媒体・期間】
a)「ブロリコ研究所」と称する自社ウェブサイト
b)「免疫力を高めるブロリコとの出会い」と題する冊子
c)「病気を予防したいあなたへ。」等と題するチラシ

2016年11月2日から2019年1月28日までの間

【違反内容】
自社ウェブサイトを通じて「ブロリコ」と称する成分に関する資料を請求した一般消費者に対して、冊子及びチラシを送付するとともに、商品の注文はがき付きチラシ及び商品の無料サンプルを送付していたところ、下記の表示により、あたかも、対象商品を摂取するだけで、免疫力が高まり、疾病の治療又は予防の効果が得られるかのように示す表示をしていた。

表示内容:
a) 自社ウェブサイト
例えば、トップページにおいて、「免疫力を高める方法についての情報 ブロリコ研究所」、「免疫低下で病気を招く」及び「免疫を高めるブロリコ」、「もっと知りたい! 今話題のブロリコと自然免疫活性成分って?」並びに「免疫力を高めるブロリコ」と表示。

違反表示例:自社ウェブサイトの画面
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_02.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_03.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_04.pdf

b) 冊子
例えば、冊子において、「免疫力を高めるブロリコとの出会い」、「免疫が下がるとあらゆる疾病リスクが高まる」等と表示。

違反表示例:冊子
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_05.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_06.pdf

c) チラシ
例えば、「糖尿病で、ほんとうに怖いのは、合併症です。」及び「糖尿病による悲劇を避けるには『合併症』と、その『予防』についての正しい知識が大切です。」等と表示。

違反表示例:チラシ
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_07.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_08.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_09.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_10.pdf
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191101_11.pdf

実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

・景品表示法(優良誤認)の不実証広告規制。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは

●体験談広告の打消し表示について
チラシに掲載された体験談において、「※個人の感想であり体感には個人差があります。」との打消し表示を記載していましたが、当該記載は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされました。

イマジン・グローバル・ケアは処分前の2019年3月7日に、不当表示を認める謝罪広告を日刊新聞紙2紙掲載。このため、消費者庁は再発防止策の構築等のみを命じています。
今回、措置命令処分前に誤認排除措置がとられたことは、課徴金納付命令を意識した対応がうかがえます。
ただし、同社のホームページ及びショップサイト上には措置命令の「お詫び」や返金対応の告知掲載はなされていません。

《関連記事》
・クロレラ訴訟と消費者契約法改正の行方。「適格消費者団体」とは?

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。