ダイエットパッチの販売業者3社に景表法措置命令 痩身効果に不実証広告規制(消費者庁:2019年11月29日)

消費者庁は11月29日、痩身効果を標ぼうするダイエットパッチの販売業者3社(株)シンビジャパン(東京都)、(株)ユニッシュ(大阪市)、(株)tattva(タットワ:東京都)に対し、景品表示法違反(優良・有利誤認) の措置命令を行いました。

優良誤認は、ダイエットパッチの痩身効果に関する表示について、不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
体験談に対する打消し表示についても言及されています。
有利誤認は、実態のない「通常価格」による二重価格表示の違反となっています。

処分のポイントについて確認します。

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痩身効果を標ぼうするダイエットパッチの販売事業者3社に対する
景品表示法に基づく措置命令について
 (消費者庁 2019年11月29日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/018077/
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


●違反概要
【対象事業者・商品・表示媒体・期間】
(1)株式会社シンビジャパン

商品:「ロロチェンジ」と称する商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト「韓国女子会セレクトショップ」
遅くとも2019年4月4日から同年5月17日までの間

【違反内容】
《優良誤認表示》

例えば、
・「密着シートがお腹まわりをシェイプ!」と記載し、本件商品を腹部に貼り付けた細身の人物の写真と共に、「貼るだけカンタン!薄いから目立たない 就寝時や、服の下に着用ながらダイエット」と記載。
・「気になるおなか・わき腹に 短期集中ダイエットパッチ ロロチェンジ」
・「お尻や太ももなどウエスト以外にも!! セルライトやむくみを改善して美しいボディーをキープ!!」及び「BEFORE AFTER」と記載し、人物の臀部の比較写真を掲載。
等。
あたかも、本件商品を身体の部位に貼付するだけで、当該部位に短期間で著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

違反表示例:ロロチェンジ

【対象事業者・商品・表示媒体・期間】
(2)株式会社ユニッシュ

商品:「カーブシート」と称する商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト「カーブシート」
遅くとも2019年4月3日から同年9月19日までの間

【違反内容】
《優良誤認表示》

例えば、
・「夢のダイエットシートは運動・食事制限なし!貼るだけで痩せるってどういうこと?」及び「ついに『夢』のようなダイエットアイテムが開発されました!!辛いことは何もせずに、ただ気になる部位に一定時間貼って寝るだけ。たったそれだけで痩身効果を得られる夢のダイエットシート、その名も『カーブシート』」
等と記載。
あたかも、
本件商品を身体の部位に貼付するだけで、当該部位に短期間で著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

違反表示例:カーブシート

【対象事業者・商品・表示媒体・期間】
(3)株式会社tattva

商品:「スリムデトパッチ」と称する商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト「スリムデトパッチ」
遅くとも2019年4月3日から同年5月20日までの間

【違反内容】
《優良誤認表示》

例えば、
・本件商品③及び本件商品③を腹部に貼り付けた細身の人物の写真と共に、「この一枚があなたの身体を変える!! ただ特殊DIETパッチをへそに貼るだけでくびれが出現!!」等と記載。
あたかも、
本件商品をへそに貼付するだけで、短期間で著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

違反表示例:スリムデトパッチ

実際:
3社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、3社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

●体験談広告の打消し表示について
(1)シンビジャパンは、自社ウェブサイトの表示について、「※個人差あり」と表示して
いたが、当該記載は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。

《有利誤認表示》
(3)株式会社tattva

表示媒体、表示期間:
自社Webサイト「スリムデトパッチ」
遅くとも2019年4月3日から同年5月20日までの間
表示内容:
例えば、
「5袋+1袋プレゼント(72日分) 通常価格99,000円→特別価格19,800円」、「3個セット(36日分) 通常価格59,400円→特別価格11,880円」及び「単品購入(12日分)通常価格19,800円→特別価格3,960円」と表示することにより、あたかも、「通常価格」と称する価額は、本件商品について通常販売している価格であり、実際の販売価格が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。

実際:
「通常価格」と称する価額は、tattvaが任意に設定したものであって、同社において販売された実績のないものであった。

3社のうち、tattvaは、処分を前に日刊新聞紙2紙に不当表示を認める謝罪広告を掲載。このため、消費者庁は残る2社に誤認排除措置を命じています。また3社に対して再発防止策の構築等を命じました。

各社の措置命令に対するHPでの告知状況は、ユニッシュとtattvaについてのみ以下の通り確認されましたが、シンビジャパンについては現時点で確認できませんでした。

(株)ユニッシュ
HP掲載「カーブシート」の広告表示に対する措置命令について(2019年11月)



(株)tattva
HP掲載 弊社商品「スリムデトパッチ」の表示に対する消費者庁の措置命令について
(2019年11月29日)

tattvaは、不当表示の原因として、社内のコンプライアンス体制が十分に構築される前に作成された表示が、社内体制の整備後に、再度のチェックが行なわれていなかったためと説明し、再発防止策として、過去に公表したものも含めて表示の検討を行うとしています。

平成26年12月の景表法改正により、事業者に広告表示を適正管理するための体制整備の義務付けが盛り込まれました。不当な表示が行なわれたか、その結果として消費者に被害が認められたかに関わらず、管理体制に不備があれば「公表」というペナルティが事業者には課されることとなります。

広告の社内適正管理についてしっかりとした体制づくりが求められます。

「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
(平成26年内閣府告示第276号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/pdf/141210premiums_3.pdf

指針に関するQ&A
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/guideline/

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《参考記事》
・シミ消し、痩身効果、二重価格、Growasの健食、化粧品、下着5商品に景表法措置命令(消費者庁:平成31年3月28日)

・痩身効果及び筋肉増強効果を謳った加圧シャツの表示に景表法措置命。消費者庁による9社一斉処分(消費者庁:平成31年3月22日)

・課徴金1億886万円 シエル「置き換えダイエット」系青汁に景表法措置命令

・言歩木のアイケア酵素飲料に景表法措置命令と課徴金1814万円

・痩身系健康茶、ティーライフ(株)に対し景表法措置命令。体験談広告の問題点は?
(消費者庁:平成29年9月29日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。