居酒屋チェーン、チムニーの料理の魚介類配送表示に景表法措置命令。商品仕入れに伴う誤表示に注意!(消費者庁:平成30年11月7日)

消費者庁は11月7日、東京都の居酒屋チェーン、チムニー(株)に対し、同社が運営する店舗(「はなの舞」「さかなや道場」)で提供している魚介類の刺身、握り寿司の表示について、景品表示法の措置命令を行いました。

同社は、本件料理の原材料である魚介類について、水揚げされた当日のうちに店舗に配送されたものであるかのように示す表示していましたが、実際には水揚げ日の翌日以降に配送されたもので、優良誤認表示とみなされました。

———-
チムニー株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(平成30年11月7日 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181107_0001.pdf
———-

最近の措置命令では、外部への製造委託や、商品仕入れに伴う誤表示が問題となったケースが増えています。
内容を確認します。


【対象料理】
「はなの舞」「さかなや道場」関東地域の23店舗において提供する、刺身及び握り寿司

【表示媒体】
POP、ポスター

【表示期間】
平成28年8月1日から平成29年12月1日まで

【違反内容】
表示:

「超速鮮魚と既存流通の違い なぜ鮮度が違う?」
「超速鮮魚 当日(産地によっては前日)到着」と記載するとともに当該記載の直下に産地で水揚げされた魚が店舗に配送されるまでの流通経路を示すイラストを掲載することにより、あたかも、本件料理に使用している魚介類は、一部の産地を除き水揚げされた当日のうちに店舗に配送されたものであるかのように示す表示をしていた。

実際:
使用している全ての魚介類は、水揚げされた当日のうちに店舗に配送されたものではなく、翌日以降に配送されたものだった。
平成28年3月31日までは表示内容どおり一部の産地を除き当日のうちに店舗に配送されていたが、同社が物流を変更し、自社の物流センターを経由することとした結果、平成28年4月1日以降は翌日、産地によっては翌々日に店舗に配送されることとなった。

表示例:
チムニー
同社は処分が公表された11月7日に謝罪文を発表し、誤りを生じた原因と再発防止策について次のように説明しています。

●原因
・問題となったPOP表示は、料理の原材料魚介類の一部を仕入れている仕入元がその納品物の品質に関して自主的に作成し、当該仕入元から提供を受けたデザインを用いたものであった。
・当該仕入元が物流の全てを担当する場合には、表示どおり水揚げ日は店舗到着の「当日(産地によっては前日)」だった。
・一方、当該仕入元が物流の全てを担当せずに同社の物流センターを経由する物流ルートでは、店舗への到着時刻が遅れるのにもかかわらず、同社において本件POPの記載内容の確認を行わずに使用してしまっていた。
・また、物流ルートの社内周知が不十分であったために、本件POPの掲示を行った対象店舗でも表示の誤りを認識することができなかった。

●再発防止策
(1)広告物、掲示物等については、社内で制作したものはもちろん、仕入元など外部から支給されたものであったとしても、表示内容の事前確認を必ず行うことを徹底する。
(2)表示等管理責任者を選任し、その権限と責任を明確化し、適切な表示がなされるための取り組みを実施する。
(3)役職員に対する、表示に関する知識と取り扱う食材についての知識(物流についての知識を含む。)の向上のための教育を強化する。

●返金対応
同社で扱う魚介類は、徹底した温度管理の下で運送・保管しており、店舗においても品質管理のための社内ルールを遵守して取扱っているため、本件誤表示に関わらず、全ての店舗において品質面で問題はないとして、返金対応はしていない。
チムニー_お詫び
————
消費者庁の措置命令についてのお詫びとお知らせ
(チムニー株式会社 平成30年11月7日)
https://www.chimney.co.jp/ir/pdf/news/20181107.pdf
———–

本事案では、同社が物流ルートを変更した際、配送サービス内容が変更となり、仕入元が作成していたPOPの表示内容に影響があるにもかかわらず、表示内容の確認を行わずに使用した点が問題となりました。
仕入れ先自体の品質管理や広告表示内容に問題はありませんでした。

景表法の措置命令は故意、過失を問わない無過失責任となっています。また、不当な表示について、「自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず、他の者に表示内容の決定をゆだねた場合」も景品表示法の規制対象となります。

自社で販売する商品について、社内外での情報の確認・共有、広告に関する法規制の理解浸透が求められます。

≪関連記事≫
・求められる仕入れ先の商品管理体制。恒づねの和牛表示に景表法措置命令

・キリンシティの料理メニューに景表法措置命令。製造委託、仕入れ商品の誤表示に注意!

・グリーンコープ連合に景表法措置命令。仕入れ先メーカーの品質管理ミスで(消費者庁:平成30年3月27日)

・ホクレンに景表法措置命令。加工食品の店頭POPの道産原料表示に誤り(北海道:平成29年8月22日)

===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
http://compliance-ad.jp/service03/
===================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。

登録はこちら

————————————————————-

関連記事

  1. 東京都がLibeiroに業務停止命令(3カ月)。化粧品のネット通販定期…

  2. 体重増量効果サプリ ふるさと和漢堂に景表法措置命令(消費者庁:2019…

  3. 全国初!大阪府が産経新聞社の高額景品に景表法措置命令。都道府県による処…

  4. 大阪府、景表法と特商法の同時適用。健康機器のSF商法エコ関西に措置命令…

  5. 中古バイク3社に景表法措置命令、「走行距離数」54,372キロを「12…

  6. 「クラスTシャツ」通販の納品遅れに消安法の注意喚起。SNSの販促ツール…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

最近の記事

2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。