非会員価格を比較対照価格にしてもOK?ジャパネットたかたの二重価格表示に景表法措置命令(消費者庁:平成30年10月18日)

消費者庁は10月18日に、家庭用電気製品等の通販事業者(株)ジャパネットたかたが供給するエアコン、テレビに関する表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。
販売実績のない二重価格による有利誤認表示とみなされました。
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株式会社ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく措置命令について
(平成29年10月18日 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181018_0001.pdf
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本件の二重価格表示では、会員価格に対して非会員価格を比較対照価格としていた点、比較対照価格での販売期間が問題となっています。


【対象商品】
シャープ エアコン【G-TD シリーズ】(AY-G22TD、AY-G25TD、AY-G28TD、AY-G40TD)シャープ 50V型4K液晶テレビ「アクオス」(LC-50U40)

【表示媒体・期間】
ア)エアコン
会員カタログ:平成29年5月19日、5月26日
新聞折り込みチラシ:平成29年6月3日、6月9日
ダイレクトメール:平成29年6月5日
自社ウェブサイト:平成29年6月1日~14日

イ)テレビ
ダイレクトメール:平成29年7月24日

【違反内容】
表示内容:

対象商品について、下記の表示例のとおり記載するなど、あたかも、「ジャパネット通常税抜価格」等と称する価額は、ジャパネットたかたにおいて本件商品について通常販売している価格であり、「値引き後価格」等と称する実際の販売価格が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。
実際:
「ジャパネット通常税抜価格」等と称する価額は、ジャパネットたかたにおいて、本件商品について、最近相当期間にわたって提供された実績のないものであった。

【表示例】
エアコン:
例えば、会員カタログにおいて、「ジャパネット通常税抜価格 79,800円」、「2万円値引き」、「さらに!会員様限定2,000円値引き」「値引き後価格 会員様特価 57,800円」と記載。
ジャパネット_1
テレビ:
ダイレクトメールにおいて、「会員様限定 3万円値引き」、「ジャパネット通常税抜価格139,800円」及び「値引き後価格 会員様特価 109,800円」と記載。
ジャパネット_2

同社は措置命令が公表された10月18日、自社のコーポレートサイトおよびECサイトに「消費者庁の措置命令についてのご報告とお詫び」と題した通知を掲載しました。その中で、表示に対する自社の考えと事実、消費者庁の判断について述べています。

1)比較対象価格について
エアコンの比較対照価格を「非会員価格」の意図で「ジャパネット通常価格」と称して記載していたが、消費者庁としては、「ジャパネット通常価格」は「過去の会員価格」との解釈で、「非会員価格」を指す表示であるとは認められず、該当金額での販売実績がないとして、不当表示と評価された。
当該カタログ発行時点における「非会員価格」は表示していたとおりの金額だった。「会員価格」と「非会員価格」での販売を同時期に実施しており、より明確に差別化を図っていたが、消費者庁には一般消費者を誤認させると評価されている。

2)比較対照価格での販売期間について
エアコンの比較対照価格での販売期間が、消費者庁のガイドラインによると少なくとも14日以上でなければならなかったところ、実際には13日間の販売実績しかなかった。

3)比較対照価格での過去の販売実績について
テレビの比較対照価格である非会員価格での過去の販売実績が、消費者庁が定める「2週間」以上経過していた。ダイレクトメール発行時点での販売実績の確認が十分になされていなかった。

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消費者庁の措置命令についてのご報告とお詫び
(株式会社ジャパネットホールディングス 平成30年10月18日)
https://www.japanet.co.jp/shopping/jh/pressroom/pdf/181018.pdf
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ジャパネット_3

本事案のようなケースで、ネット通販でポピュラーな会員制において「非会員価格」を「通常価格」として比較対照価格に設定することは注意が必要です。
消費者庁が公表している二重価格表示ガイドラインでは、以下のように説明しています。

【不当表示に該当するおそれのある比較対照価格】
●会員制の販売方法において非会員価格を比較対照価格に用いる場合
容易に会員になることが可能であって、その価格での購入者がほとんど存在しないと認められる販売価格を非会員価格として比較対照価格に用いること。

会員制の販売方法において、会員価格と比して高額な非会員価格を表示しているが、実際には、購入を希望する一般消費者は誰でも容易に会員になることが可能であり、非会員価格で販売されることはほとんどない場合、その非会員価格は有名無実のものです。そのような非会員価格を比較対照価格として表示してはいけません。

容易に会員になることが可能な場合とは:
入会金が無料であったり、手続が簡単(チェックボックスにチェックを入れるだけなど)であるなど。

ジャパネットたかたの会員登録は無料で、誰でもオンライン登録できるものでした。

◆ジャパネットタカタECサイト
Web会員様大募集
https://www.japanet.co.jp/shopping/webmember/member-recruit.html

参照サイト
—-
不当な価格表示についての景品表示法上の考え方
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf

≪参考記事≫
・【景表法】二重価格表示の注意点~販売条件が異なる販売価格~

・アビバ、二重価格表示に措置命令。「通常」価格と表示してよい販売期間の考え方

・二重価格表示の注意点~セール時の価格表示~

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。