マカフィー 期間限定キャンペーンの「標準価格」「特別価格」に景表法措置命令!打消し表示にも注意(消費者庁:平成30年3月22日)

消費者庁は3月22日に、マカフィー(株)が提供するセキュリティソフトの使用許諾の表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。
不当な二重価格表示による有利誤認表示とみなされました。

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マカフィー株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(平成30年3月22日 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180322_0001.pdf
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今回問題となった期間限定キャンペーンや値引き販売時の二重価格表示と、打消し表示について、景品表示法上の留意点を確認しておきましょう。

【対象役務】
セキュリティソフトウェア6製品の使用許諾
・マカフィーリブセーフ1年版
・マカフィーリブセーフ3年版
・マカフィートータルプロテクション1年版
・マカフィートータルプロテクション3年版
・マカフィーインターネットセキュリティ1年版
・マカフィーインターネットセキュリティ3年版
※いずれも2017年版

【表示媒体・期間】
自社ウェブサイト
表示期間:
平成28年10月14日~平成29年11月21日

【違反内容】
表示内容:
・マカフィーリブセーフ1年版
「実施期間2016/12/5まで」「標準価格8,208円(税込)」「今なら2,462円お得!」「30%OFF」「特別価格5,746円(税込)」
・マカフィーリブセーフ3年版
「2016年12月5日(月)まで」、「標準価格:15,408円(税込)」、「Special Price!」、「今なら5,408円お得!」及び「特別価格:10,000円(税込)」
・マカフィートータルプロテクション1年版
「2016年12月5日まで」、「標準価格:7,862円(税込)」、「今なら1,965円お得!」「25%OFF」、「特別価格5,897円(税込)」
・マカフィートータルプロテクション3年版
「2016年12月5日(月)まで」、「標準価格:14,558円(税込)」、「30%OFF」、「今なら4,367円お得!」「特別価格10,191円(税込)」
・マカフィーインターネットセキュリティ1年版
「2016年12月5日まで」、「標準価格:7,180円(税込)」、「25%OFF」、「今なら3,034円お得!」「特別価格9103円(税込)」
・マカフィーインターネットセキュリティ3年版
「2016年12月5日まで」、「標準価格:12,137円(税込)」、「25%OFF」、「今なら3,034円お得!」「特別価格9,103円(税込)」

下記の表示例のとおり、Webサイトに「標準価格」「特別価格」を記載。あたかも、「標準価格」と称する価額は、当該セキュリティソフトウェアの使用許諾について通常提供している価格であり、かつ、記載された期限までに申し込んだ場合に限り、「特別価格」で提供を受けられるかのように表示していた。

実際:
「標準価格」は、セキュリティソフトウェアの使用許諾の提供開始日から提供終了日までの間、提供された実績のないものであり、かつ、同期間において、「特別価格」と称する価額で当該役務の提供を受けることができるものであった。
同社は表示内容を記載したWebページとは別のページで、「標準価格」は当該セキュリティソフトウェアの使用許諾の自動更新時に適用される価格である旨を記載していたが、表示内容を記載したWebページと同一視野に入る箇所に記載されたものではなく、Webページに付されている当該別のWebページへのハイパーリンクの文字列は、当該別のウェブページが「標準価格」についての重要な情報の所在であることが明瞭に記載されたものではなく、一般消費者が前記の表示から受ける認識を打ち消すものではない。

【表示例】

同社は、期間限定の値引き販売であるかのように見せかけながら、実際には期間限定ではなく、かつ、販売実績のない「標準価格」を表示していたことになります。
期間限定キャンペーンを行う際は、広告した販売条件をきちんと守る必要があります。
二重価格表示を行う際、比較対照価格として「標準」価格と表示するには、最近相当期間にわたって販売された実績があることが必要です。

また、標準価格の打消し表示の表示方法についても指摘されています。
消費者庁が2017年7月14日に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」では、打消し表示の配置箇所について、Web 広告において問題となる表示方法として、次のような場合には景品表示法上問題となるおそれがあるとしています。

・打消し表示が強調表示から離れた場所(※)に表示されており、一般消費者が打消し表示に気付かない。
・打消し表示に気付いたとしても、当該打消し表示が、離れた場所に表示された強調表示に対する打消し表示であると認識できないような場合。
※1スクロール以上離れた場所に表示された打消し表示を一般消費者が認識できるか否かを判断する際は、(ⅰ)強調表示の前後の文脈や強調表示の近くにある記号等から一般消費者が打消し表示の存在を連想するか否かという点に加えて、(ⅱ)どの程度スクロールする必要があるのかという点等も勘案される。

上記のような表示方法により、打消し表示の内容を一般消費者が正しく認識できず、商品・サービスの内容や取引条件について実際のもの等よりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるときは、景品表示法上問題となるおそれがあります。

打消し表示を行う際には、留意事項を確認しましょう。

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打消し表示に関する実態調査報告書
(消費者庁 平成29年7月)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0002.pdf
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≪参考記事≫
・アビバ、二重価格表示に措置命令。「通常」価格と表示してよい販売期間の考え方

・二重価格表示の注意点~セール時の価格表示~

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。